買って(使って)よかったもの
次世代睡眠薬ベルソムラ
朝早く目覚めてしまって、その後二度寝ができない。結果、日中いつも眠い。
これがこの20年くらいずっと続いた悩みでした。食事、運動、まくら、睡眠カウンセリング、心理療法、漢方薬、お医者への相談+睡眠薬などいろいろ試してみました。生活からカフェインもなくしたり。でも、それぞれ少しずつ効果はあったとは思いますが、大きな改善にはつながらなかった。
そんな長年の悩みがやっと今年解消されたのです。この薬、ベルソムラ(MSD・第一三共)のおかげで。
※ベルソムラ服用には、医師による処方が必要です。
この薬は次世代睡眠薬といわれています。何が違うのか?
まずはその仕組み。「眠たくする」のではなく、「目覚めの力を弱くする」のです。
しかもお医者さんによると依存性がない、つまりやめようと思えばすぐにやめられるし、そのための離脱症状も基本的にはないそうです。すごい。
2018年に開発された薬で、私のような早朝覚醒に悩んでいる人には基本的にはこれをすすめているとのことでした*1。
これを服用したら・・・
- 今までは:寝始めて4時間半くらいで目が覚めてしまって、その後、眠いのに二度寝ができない。日中細かい仮眠を何度かとって、計6時間眠れたら上出来、7時間眠れて頭がすっきりするのは年に数回
↓
- ベルソムラ服用初日:いきなり連続7時間半眠ることができました。
今ではそこまでではないですが、大体6時間半ぐらいは連続して眠れて、7時間以上眠れることが週に2日くらいという感じです。私にとっては劇的な変化。起きているときにあまり眠気を感じないと言うのは実に快適ですね・・・早朝覚醒のない人には、これが通常運転なのだと思いますが、私にとってはQOL (生活の質)爆上がりです。
もちろん、薬の効き方は個人差がとてもあるので、以上はあくまで個人的な経験にすぎませんが、「合う薬」のすごさを実感した次第です。
ところで、この薬は薬局では買えません。そんなものをなぜここで紹介したのか?その理由は二つあります。
ひとつは、「以前は睡眠薬を試してみたけどだめだった」という場合でも新しい薬を試す価値はある、ということを書きたかったから。私自身がまさにそうでした。以前処方してもらった睡眠薬は「二度寝はときどきできるが日中も眠くてつらい」ので、1か月でお医者さんが止めましたから。
もうひとつは・・・これを処方してもらったのは心療内科。心療内科というと心理的ハードルを感じる人も多いかもしれませんが、私は「睡眠の問題を心療内科で解決できることもある」ということを知って、実際にそうしてみて、結果この薬を処方してもらってよかったと心から思っています。このことが自分にとって大きなものだったので、あえてご紹介した次第です。
参考:
- お医者さんによるベルソムラについての解説(私がお世話になっているクリニックとは異なります):ベルソムラの特徴が分かります | 阪野クリニック
- 一般社団法人 くすりの適正使用協議会「くすりのしおり」:ベルソムラ(2024年12月31日現在、システムメンテナンス中)
スマートリモコン Nature remo nano
スマートフォンを家電リモコンに変えられるアプリと機器(リモコン赤外線送信装置)を自室に導入しました。アプリは無料、機器は有料。私は4,000円ちょっとで購入しました。
天井の照明、オーディオ、エアコン、扇風機をスマートフォンで操作できるようにしています。
何が便利なのか?
リモコンを探す必要がなくなるのと、リモコンがなくなるので部屋とデスクがすっきりするのが快適です。
操作が楽になるのでは?それは、正直なところもともとのリモコンを手に取って操作したほうが指を動かす時間も回数も少なくてすみますので、思ったほどメリットは感じません。やはり「すぐ見つかる、すっきりする」のが一番のメリットです。
iPad Pro 12.9インチ 第3世代
iPadのうち、一番画面が大きいものの、2018年モデル。
もともとは、ドラムの練習のために使うウインクでスコアをめくれるアプリ「Piascore」が目的でした。予想通りこれが実に便利で、これだけでも買ってよかったと思っているんですけれども、他にも思わぬ副産物が。
まず、アプリ*2を使えば、リビングのテレビ全録機にWi-Fiで接続して、自分の部屋で録画した番組が見られる。たったそれだけなんですが、これがすこぶる便利で、2倍速再生なんかもできるので、ドキュメンタリー番組好きの私にはとてもありがたいです(音楽や映画は当然等倍で観ています)。感覚的にも、これくらいがちょうどいい(等倍だとまどろっこしい)。
それに自室だとちょっとした空き時間にも見ることができたりして、録りためていた番組がすごく減り、とハードディスク容量が増えました。
もう一つは、私は今でも学生時代の友人知人たちの複数のコミュニティでそれぞれ年に数回集まっているんですが、卒アルや当時の懐かしい写真、あるいは近境のわかる写真をこのiPadの中に入れておいて、関連する話題が出た時にみんなに共有すると「話が早い」し楽しいです。当然卒アルよりもずっと軽いから持っていきやすいし。
あと、dマガジンみたいな雑誌サブスクもめちゃくちゃ読みやすい。ほぼ原寸大ですからね。
そんな感じで思った以上に大活躍してくれています。
ちなみにこの最大サイズのiPad、現行機種を新品で買うと20万円以上しますが、この第3世代は6年前の機種ですから、中古で3分の1近い価格で入手できました。中古でも傷などもほとんどないし、バッテリーの持ちがやや弱い以外は全く問題なく使えています。
無印のペンケース(防災に転用)
今年から愛用というか常備し始めたのはこれもそうですね。
本
「遺伝と平等 ―人生の成り行きは変えられる―」キャスリン・ペイジ・ハーデン
私にとっての面白い本の定義とは「読んだ後世界が変わって見える本」なのですが、今年、その定義でいけばナンバーワンは間違いなくこれです。
遺伝によって生まれつき人の優劣は決まっているから、優秀な人は優遇してそうでない人を排除する・・・これが優生学の考え。
そんな考えは野蛮で、人間にはそれぞれ無限の可能性があり、みんな平等だ・・・この考え方が最近スタンダードになってきたかもしれません。
でも、本書は、この両方の考えに真っ向から異議を唱えます。
なぜか。それは、ビッグデータ分析が可能になったことで、遺伝が、これまで考えられていたよりもずっと人の人生に影響を及ぼしているということが明らかになってきたからです。
たとえば、やり抜く力(グリット)があれば、人生を有利な方向に導き出せると言う言説が一時期はやりました(今もかな?)。才能や環境で不利な立場にあっても「やり抜く力」があれば逆転できる、と。しかし、その「やり抜く力」も実は遺伝の影響がかなり大きい - つまり、生まれつきやり抜く力のある強い人とそうでない人がいる - 明らかになってきています*3。
ここまでが本書の「世界を違って見せる」力のその1です。
そしてその2は、ならばどうすればいいのか?という点。
遺伝の影響がそんなに大きいの?じゃあ、生まれてから努力しても、教育などの環境を整えても意味がないのか?
本書は、この考え方にもNOを突き付けています。それは結局優生学の考え方。環境が人間に及ぼす影響はとても大きい。遺伝ですべて決まるから社会が何もしなくていいというわけでは決してない。それは「遺伝」という不平等を無視することになる・・・と。
具体的には、潜在能力を最大化するというアプローチ。そしてこの遺伝という「くじ」について、最もつらいくじを引いた人に合わせて社会を設計する・・・といったことが提唱されています。整理するとこんな感じです*4。
- 優生学:遺伝によって社会的役割・地位を決めよう
- ゲノムブラインド:みんな同じ可能性をもっている
- アンチ優生学:遺伝データによって潜在能力を最大化しよう ←本書の立場
一方で、実は犯罪の起こしやすさ(暴力傾向など)も遺伝による影響が大きい*5らしいのですが、だからといって「この人は生まれつき暴力を起こしやすいので刑罰は他の人より軽めにしましょう or 社会に出られないようにしましょう」とするのはちょっとありえない。ではどうすれば?・・・というような議論も数多い。
あまりにも「情報量」と今後の取り組みについての「問い」が多い本なので、こんな簡単にはまとめられないんですけれども、とにかく読んでから世界の見え方が変わったという点では、今年の中で飛び抜けてすごい本でした。この本について考えがある程度まとまったらこのメモにも書きたいんですが、もう何度も読み返しているのに一向にまとまりません。
なお、現時点で、この本の提唱する考え方の中で一番はっとさせられたのはこのことばです。
「運が良いことを、立派なことだと勘違いしないようにしよう」*6
「検証 ナチスは『良いこと』もしたのか? 」小野寺拓也・田野大輔
「ナチスはとんでもない悪である事は間違いないが、成功した政策もある」この考え方は、ある程度の「常識」になっているのではないでしょうか。
例えばアウトバーン。ナチスは、きたるべき車社会の到来を見越して、また、戦争の際には滑走路としても使えるようにという先見の明をもって大々的に建設投資を行い、社会インフラを整えるとともに、当時最悪だったドイツの失業率を劇的に改善させた・・・というように。
ところが、長年ナチスの政策を研究してきた著者は、こういった「常識」が誤っていることをことごとく指摘しています。
アウトバーンは、実はナチス政権になる前のワイマール時代に考えられた政策で、すでに一部はそのときに実行されており、逆にナチスになってからの1941年には建設を中止しています。また、軍用滑走路としての使用実績もほとんどなかったとのこと。いやあ、これはまったく知らなかった。
研究者が地道な研究・地道な資料の掘り起こしによって事実を整理すると、こういった「常識」も誤っていたことがわかってくるのですね。薄い本(全119ページ)ですが、こういった「常識」を一つ一つ丹念に「実際はどうなったのか」と明かしていっています。
そして、この本の素晴らしいところは、そういった丹念な研究の成果だけにとどまりません。ではなぜ人はこういった「ナチスも良いことをした」と言う話をよく持ち出すのか・・・という事象への考察もです。
まとめると「ものを自由に言える欲求」と「本当のことを知っているという優越感」。これが人々をこういった「常識に切り込む意外な真実」を惹きつけるのではないかという指摘がなされています。これは昨今のSNSがらみのいろんな事象を思い起こすと、実に鋭いと言えるでしょう。
ところで、ふと我に返ったのですが、この本を紹介しているこのブログ自体が「ものを自由に言える欲求」と「本当のことを知っているという優越感」によるもの、ということもできるのかもしれません。なんといっても、私もこの本を読んで「常識に切り込む意外な真実」に惹きつけられているわけですから。
なので、別の視点からものごとを見る必要があるかと考え、まずは本書についての学術的な批判があるかどうか、あればそれはどんなものかを知りたいと思い、webを検索してみました。現時点では見つけることはできませんでしたが、見つかったらちゃんと読んで、それから本書について再度考えたいと思います。
「城」フランツ・カフカ・・・原作小説と映画
測量技師が「城」に仕事を頼まれるが、いつまでたってもその仕事に着手できるところか、城にたどり着くことすらできないという未完小説。
これがなぜ印象深かったのか。不条理の程度が絶妙だったからです。
ダリみたいな不思議な光景が広がるのではなく、わけのわからなすぎる話が展開するのでもなく、実際に起こりそうではあるけれども、微妙にずれた物語が延々と続いていく。
たとえば、技師が酒場に出かけると、突然そこの女主人が盛り上がってるお客を追い出し、カウンターの下に隠れてその技師とねんごろになる。あなたは何をしに来たの?
技師が街の有力者のもとに書類探しのお願いに行ったら、有力者は書類探しの名人といわれる自分の奥さんにそれを探させるが、彼女は書庫を床に引き倒して中の書類を引っ掻きまわす。子どものギャグまんがにもならん展開やな・・・
こんなふうな場面の連続で、読んでいるうちに、自分はきちんと文章を読めているのだろうか、自分の想像力は正常に機能しているのだろうかという疑いがどんどん頭の中に広がっていくような作品なのです。
そんな中、ミヒャエル・ハネケ監督がこの小説を映像化していると知って観てみました。これがまた勝手な脚色などせずに、小説を非常に忠実な映像化していたのですよね(長めの小説を映画化したわけですから、当然、途中の省略はたくさんありますが)。
おかげで、自分の想像力はそんなにおかしくはなかったと安心しつつ、その安心感をもって微妙にずれた物語を楽しむという、独特の映像体験をもたらしてくれました。
「対話する社会へ」暉峻淑子
友人に紹介してもらった本ですが、生活や社会について違和感を感じたときにどんなアプローチがあるのかという問いに対して、「対話」という手法の重要性を様々な実例を挙げて紹介してくれ、励ましてもくれるという、非常に地に足のついた本でした。
96歳の経済学者・暉峻淑子さんがご自身の身を持って書かれたこの本に、私はすぐに影響を受けまして、早速友人たちとこの本で実践されている「対話会」の自分なりにアレンジした版を開いてみました。第一回目の様子はこちら↓。
2回目もマイナンバー制について対話することができました。
今後も続けていく予定です。やはり地に足に着いた本や言説を読むと、自分でも行動に移してみたくなるものですね。というか、本書がそういう力をもった本、ということなのだと思います。
放送大学
(本ではなく音声メディアですが)
去年たまたま聴いた「音楽・情報・脳」があまりにもおもしろかったので、他にもあればと思い金鉱脈を見つけたようなわくわく感とともにシラバスを見ずに授業科目名だけを見て面白そうなものを片端から60講義60科目× 15講義= 900本ほど一気にPCで録音しました*7。
で、少しずつ聴いているのですが、とにかく無駄がないというか、聴きやすい。逆に対面講義でないせいかとても練られた講義内容が教授陣それぞれの個別の工夫によってとても興味深く聴けるようになっています。特に自分が大学生だった頃に経験した講義と比べて思うのは、皆さんやはり話す訓練や工夫をしっかりされているな、ということです。
今年聞いて特に面白く感じたのは次の講義。
- 「刑法と生命」和田俊憲(東京大学教授)
- 和田教授の本もかなりおもしろかった(笑える要素も多め)。
- リンク
- 「異文化との出会い」滝浦 真人(放送大学教授)、野崎 歓(放送大学教授)
- 「睡眠と健康」宮崎 総一郎(日本睡眠教育機構理事長)、林 光緒(広島大学教授)-
本にまつわる二つの特別な体験
読書そのものというより、読書がもたらす体験のうち、今年は特別なものを2つ経験しました。それがこちら。
村上春樹さん・川上未映子さん新作朗読会
坂本龍一さん蔵書実物を手に取って読む 「坂本図書」
音楽
今年よく聴いた音楽は次のとおりです。
2024年再生回数上位20ミュージシャン
- 坂本龍一
- J.S.バッハ
- 渡辺美里
- The Beatles
- namco
- Paul McCartney
- oasis
- BOøWY
- Falcom Sound Team jdk
- L⇔R
- The Rolling Stones
- Bllie Eilish
- ファントムシータ
- Aphex Twin
- Elvis Costello & The Attractions
- St. Vincent
- ヤナーチェク
- SAHAji
- SEKAI NO OWARI
- The Beach Boys
この中で、今年出会った音楽はファントムシータですね。女性5人組のアイドルグループでAdoさんがプロデュースしています。物騒な歌詞と、それに見合ったちょっとひねった音楽が耳を惹くのと、11月に行われた日本武道館公園のカバー曲目は非常に興味深くて、ぜひ聴いてみたい・ステージの演出を見てみたいなと思わせる内容だったので(結局今に至るまで見ることができていません。現時点ではおそらく公式非公式を問わずリリースはされていない模様)。
Adoプロデュースアイドル・ファントムシータが武道館で初ワンマン「恐ろしく美しい世界を楽しんで」(ライブレポート) - 音楽ナタリー
それ以外の今年の動きとしては、渡辺美里さん、BOØWY、Falcom(ゲーム会社)がかなり上位に来ている件。これは今年、空き家になった実家に整理などで何度も足を運んでいたのですが、そのとき、親も含め家族全員が一番元気だったころ(私が高校生だった1980年代後半)を懐かしんで聴きながら作業していたためですね。
ほか、ローリングストーンズやオアシスは、バンド(後述)でこの曲が選ばれたので、その練習のため再生回数が増えています。
「ビートルズ創造の多面体」から知った「ビートルズをインスパイアした音楽」
他にいろんな発見があったのは、友人に紹介してもらった「ビートルズ創造の多面体」(高山博さん著)。ビートルズという存在とその楽曲について、今まで知らなかった・気づかなかった多くの考察がなされている(そしてその多くに個人的には納得のいく)非常に興味深い本なのですが、ビートルズ一部の曲に、4人をインスパイアしたいわゆる「元曲」があることも本書でより幅広く知ることができました。そんな例がこんなにたくさんあるとは知らなかったなあ。そして、改めてビートルズの昇華センスのすごさを再確認することにもなりました。
たとえば、テレビ版バットマンのテーマとTaxman、"Bad Penny Blues"と"Lady Madonna"など。私にとっては知らなかったいろんな楽曲紹介が新鮮で、Spotifyで検索しながら聴いていたらいつの間にかこんなプレイリストができました。
バンド
音楽体験という点では、3年前から一人で(スクールに通いながら)淡々と練習していたドラムについてもありがたい変化がありました。学生時代の友人たちにたまたま声をかけてもらって、バンドで叩くようになったのです。当たり前ですがバンドでやるとおもしろさが全然違いますね・・・声をかけてもらって感謝です。
アート・イベント
對龍山荘庭園
今年も様々なところを散策しましたが、最もインパクトに残っているのがこちら。京都南禅寺界隈の別荘郡のうちのひとつで、通常非公開なんですが、NITORIホールディングスが所有してから特別公開の日程が組まれるようになって、その1つに運良く申し込むことができたので行ってきました(現在は公開日なら予約なしで見学できるようです
。
日本庭園の中で、これだけ工夫・見どころが多い庭ははじめてです。ブログ・SNSでの写真公開はNGとの事なので(撮影して個人で楽しむのは可)、ここで写真をご紹介できないのが残念なのですが、とにかく多彩で見事でした。
對龍山荘。今まで観た日本庭園の中で最も多彩でどの角度から観ても見所があり感激。公開を決断した所有者ニトリホールディングス、ここまで庭園を丁寧に管理育成してきた植彌加藤造園(無鄰菴も感心した)には心から感謝。庭園内写真撮影可だがSNS不可なので門だけをアップ。 pic.twitter.com/ibelzpHLIT
— よしてる (@yositeru) September 23, 2024
大塚国際美術館
今年は久しぶりに家族4人で宿泊旅行をしたのですが、その行き先がこちらでした。アートに関心のある高校生の長男、Eテレ「びじゅチューン」が好きだった中学1年の次男、そして妻と私が全員が楽しめる旅先は何かということで思いついたのがこちらでした。
ご存知かと思いますが、この美術館の所蔵作品は、世界の名画を権利者の許可を取った上で大塚グループの陶板技術で完全複製したものです。1000点以上あるので二日かけてまわったのですが、泊まりがけで行く価値は十分にあったと感じています。
絵画を精巧に、かつ実物大で複製してあるということだけでも相当すごいと思いましたが、実物では絶対に無理な「最後の晩餐」の修復前と修復後を同じ部屋に展示したり、ばらばらに散逸したエル・グルコの祭壇画を本来あった状態に戻して展示するなど、単なる複製に留まらない様々な工夫・試みに感嘆しました。
- 公式サイト:大塚国際美術館|徳島県鳴門市にある陶板名画美術館
ポール・マッカートニー写真展
ポールの公式イベントが大阪に来てくれる。ファンとしてはそれだけでも胸熱極まりないのですけれども、写真展の中身も想像していたよりずっと興味深かった。
ちなみに、ポール・マッカートニー「が」撮った写真が中心です。
#ポール写真展 ポールの腕前がどんどん上がるのも興味深い。メンバー素顔系で一番グッときたのはマイアミで水面から笑顔出してるジョンかも。メンバー以外系では空港整備士の表情もすごくいい。これを引き出し撮影するポールさすが。そしてジェーンアッシャーの特別感、やっぱり写真ってすごい。 pic.twitter.com/IXcWJ96fUI
— よしてる (@yositeru) October 20, 2024
#ポール写真展 2回目。1回目は写真を観る&撮るのに集中したが、今回はアプリでポールやキュレーターの音声ガイドを聴きながら。ポールの声を聴きながらポール撮影の写真を大阪で観られるなんて、と今更ながらに感慨深く。ちなみに前とはチケットカウンターの場所が変わってた(前は写真の奥の場所)。 pic.twitter.com/OF4UjCBI2l
— よしてる (@yositeru) December 15, 2024
家族や友人たちとの旅行以外では、最も得がたい経験と知識を得られたのは次の2つ。どちらも「まいまい京都」のツアーです。
部落史研究者とめぐる、京都最大の被差別部落
公式ページ:【東七条】部落史研究者とめぐる、京都最大の被差別部落:~首切り又次郎の生きた時代!崇仁地区から六条河原刑場跡まで~#ky24b2115 | 京都のミニツアー「まいまい京都」
ご案内くださった灘本昌久先生(京都産業大学文化学部教授)のお話を現地で聞くだけでも非常に興味深かったのですが、最も驚いたのは「被差別部落の起源は江戸時代に江戸幕府が身分制を強化するために作り上げたものだという、おそらく皆さんが学校で習った説は、今や部落史研究者の100人のうち99人は支持していません。」というお話。
では何が起源なのかというと、中世以降に災害避難民や障害を持った(持つようになった)人など、当時の福祉からこぼれ落ちた人たちだという説が主流、とのことです。詳細は灘本先生の講演録などに書いてあるので、関心のある人はお読みになられるとよいかもしれません。
社会問題を考えるにあたっては、最新の研究成果を学ぶこと、そして(可能なら)現地に足を運ぶことが大切なんだということを改めて学ぶ機会となりました。
サヨナラ味園ビル!アングラ界のレジェンドと“不夜城”特別潜入ツアー
70年代から80年代に関西でいた人なら、まず間違いなく目にしているテレビCM「レジャービル味園」がついに取り壊されるということで行ってきたのがこちら。これも得難い経験でした。
子供の頃CMを何回見たかわからないレジャービル味園、#まいまい京都 のおかげで取り壊し前に中を案内してもらえた。ここに書けない愉快なアングラ話満載の上、ラブドール喫茶で解散という盛りだくさんな2時間。敷居が一気に下がった。(((味園)))(((味園))) pic.twitter.com/3KzEfXHENr
— よしてる (@yositeru) September 12, 2024
ALL ABOUT マイコン BASIC マガジン III
感慨深さではこちらが一番かも。80年代、いわゆるパソコン少年、あるいはアーケードゲームに関心のある人たちはほとんどが読んでいたのではないかと思われる「マイコンBASICマガジン」。
当時、お顔などは全くわからなかったが誌面でその存在感が大きかった編集者の皆さん・ライターの皆さんたちが一同に介するというイベント。こんなチャンスはもうない(しかも大橋編集長が80歳を過ぎて勇退されることの記念イベント)と思い、新幹線に乗って行きましたが行ってよかったと心から思える、非常に濃密な5時間でした。なんというか、自分の10代のたくさんの思い出のうち、ある大きなパーツを総括し締めくくってくれた、広い意味では終活の一環でもあると感じたイベントでした。山下章さんはじめ主催者の方々に感謝です。
関連メモ