庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

50歳になってやり始めたこと、整理したこと

(2023年7月17日更新:ドラム練習曲を追加)

去年、つまり2020年に50歳になったときは、30歳や40歳になったときより大きな衝撃と感慨がありました。

日本の男性の平均健康寿命は72.14歳*1

ということは、したいことを自分でできるのはあと20年ちょっとかもしれないのか・・・30歳から50歳までの20年間もけっこうあっという間だったしな・・・しかもこれ「平均」だから、これより短い場合も、もっといえば次の瞬間にも人生終了しているかもしれないってことだしな・・・と。

まだそういうことを考えるには早い年齢なのかもしれませんが、私は心身ともにあまりタフなほうではないので、人より早く行動を起こしたほうがよいと考え、次のことを始めてみたり、整理したりしてみました。

グッズ - ちゃんと使う、さもなければゆずる

最初に変えたのは、いわゆるグッズ系の扱い。

ここでいうグッズ系とは、ライブ会場やイベント、旅先で買ったTシャツ、マグカップ、タオル・・・買って楽しく、使わなくても持っているだけで満足できる、でも自分を含めたごく限られた人たちだけに価値のあるもののことです。

今までは

今までは、グッズが傷むのがいやで、ほとんどただしまっておくだけでした。たまに思い出したり、掃除のときに出てきたのを眺めるくらいの存在。

でも、もう、傷むのを気にするのはナンセンス。グッズが傷んで擦り切れるより、自分がそうなるほうが早いかもしれない年齢になったんだから。

何より、これらのグッズは、世の中の大多数の人たちにとっては特に価値がないものです。

ならば、引き出しの中で新品同様のままにしておくよりちゃんと使い、使わないものは価値を認めてくれる人にゆずる。このほうがグッズも人生(?)を「全う」できてうれしいのでは。

これからは

そんなふうに考えて、まずは着なくなった服(グッズ系以外)をまとめてリサイクルに出してワードローブのスペースを増やし、しまい込んでいたグッズ系Tシャツとタオルをそこに全部入れました。

言うほど持ってないTシャツとタオル。それでも毎週末に着まわすだけで1か月以上かかります。

他のグッズも普段使いのスペースに移動させ、すぐ手に取れるように。キャップは玄関に、マグカップはキッチンのカップボードに。

それ以外のものは今一か所に固めています。これらはいずれ、同じ道を歩いている後輩に譲り、それもできないときはメルカリで売るつもりです。

ちなみに、グッズではないですが、手持ちの大半の音楽雑誌も、あるイベントでたまたまお会いできたビートルズのカバーバンドをしているという高校生にお譲りすることができました。喜んでくださって、ゆずった雑誌を本棚に収納した写真まで送ってくださいました。

グッズにもこんな「第二の人生」を歩んでもらえたらと思います。


身体の変化に合わせる - 聴覚編

耳が少しずつ遠くなっていく、だから

歳を重ねた結果、身体のどこが最初につらくなっていくのかは、人によってかなり違うと思います。膝、腰、目、耳・・・

私は耳でした。人との会話で聞き返すことが増えてきました。

そういえば、私の母も50代くらいからそうなっていました。で、今(78歳)は、普通の声量で会話しようとすると補聴器が必要な状況です。

遺伝子を半分もらっている母がそうなのであれば、自分もそうなる可能性が高い気がします。

ということは、音楽をいい音で楽しめるのに残された時間はそんなになさそうだ・・・平均健康寿命から計算できる「あと20年ちょっと」より短いだろう。

今のうちにいい音を楽しむために

今までに、PCにつなぐスピーカーをグレードアップさせたり、DACを入れて音を整えたりはしています。

でも、もっと細やかに音楽を楽しむには、ちゃんとしたイヤホンがあったほうがいい。

そう思って、これを使ってみることにしました。

2~3万円クラスのイヤホンは「ちゃんとした」うちに入らないとお感じの方もたくさんいらっしゃると思いますが、私にとってはこれで十分でした。

なにしろ、今までほとんど聞こえなかったいろんな音がはっきり聴こえるのですから。

何百回聴いたかわからない曲・演奏も、薄もやが晴れたようにクリアに聴こえる。

この機種は、そもそもノイズキャンセリング機能が非常に優秀*2なものの音質はそれほどではないと言われている*3のですが、それでも。

ただ、こういったオーバーヘッド型のイヤホンは頭を締め付ける力があるので、私はこれで音楽を聴けるのは1日2時間が限界ですが、それはそれでよかったと思っています。そういった制限がなければ、ずっとこの音にはまり込んで抜けられないでしょうから。

何はともあれ、音源やオーディオ機器の質がいくらよくても自分の耳がそれを聴き分けられなければどうしようもないのですが、そうなる前に「今まで聞こえなかった音」を聴けるようになったのは実にうれしいことです。

(なお、この機種には後継機WH-1000XM4が出ています。)



(2023年追記:その後、ささやかながらアナログのオーディオ環境も整えました。)


身体の変化に合わせる - 視覚編

目に負担のかからない環境とは

耳がそんな状態である一方、目のほうは今のところそんなに衰えを感じていません(ずいぶん前に老眼にはなりましたが)。

とはいえ、今までと同じような負担をかけ続けるのはよくないな、とは思っていました。

それに、週の半分以上が在宅勤務になった今、自宅のPCまわりの視覚環境を整える意味は増してきた。

じゃあどんな環境がいいのか。

厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」を確認したのですが、あんまり明確なことは書いてないんですよね。

  • できるだけ明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせない
  • ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上
  • グレア(不快感のあるまぶしさ)の防止
  • ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整させること
  • 反射防止型ディスプレイを用いること

前掲ガイドラインから抜粋

デスクライトとディスプレイを替えてみた

それなら、ちらつきが少なく、明るさと位置の調整がしやすく、評判のいいデスクライトとディスプレイを選ぼうということで、自分なりに選んだのがこちらです。

このデスクライト・山田照明 Z-LIGHT Z-10RSLは、ちらつきがないのと明るさが十分なのは当然として、光の色味が自然こと、そしてライトの位置と角度の調整がきめ細かにできる点も非常によいです。あと、シンプルなデザインも好み。

ディスプレイ・EIZO EV2460(23.8インチ)は、同じサイズの一般的なディスプレイの3倍ほどの価格なので買う前に躊躇しましたが、それまで使っていたディスプレイとは画質と色味がはっきりわかるくらいに違うので、高いだけのことはあるなと感心しています。

ちなみに今まで使っていたディスプレイは、在宅勤務時にサブディスプレイとして今もがんばってくれています。

使ってみたら

使ってみた結果は「びっくりするほどの差ではないけど、もっと早くからこうすればよかった」。

劇的な変化があるわけではないんです。

あ、なんか今までより「しっとりしてるな」というのが第一印象。光がしっとりってどういう意味やねん、って感じですが、ほんとにそんな感じなんです。今まで刺激があったものがやさしくなめらかになったような、それでいて見えているものはきめ細かくなったような。

で、夜、在宅勤務を終えたとき、目の疲れが今までよりもましだなと気づく。そんな程度です。

ただ、これ、毎日毎日(Every Single Day of My Life)のことなんですよね。この積み重ねは大きいと思います。ならば、人生に必要(Got to Get "Them" into My Life)、もっと早くからこうすればよかった。そう思っています。



キャリアチェンジ

社会人になってから、ほとんどずっと法人営業職についていました。

クライアントと信頼関係を構築し、クライアントと自分の会社の双方に利益を生み出しそれを継続させるというプロセスと、多種多様なクライアントの事業や経営スタイルに関わることができるこの仕事は、こう書くと語弊があるかもしれませんが、私にとっては、いろんな本を読んで著者と「対話」し物語を深めていくことやいろんな場所を旅して想い出ができる感覚に似ていて、おもしろさを感じる場面がたくさんありました。

しかし、40代に入ってからは残業が毎年300~400時間前後がふつうに。特に45歳を過ぎたころからはこれがかなりしんどくなってきました(同じくらいの年齢でもっと働いている人はいくらでもいると思いますが、私はこれくらいが限界でした)。身体が追いつかないってこういうことなのかと身に染みてわかった。当然、仕事にも行き届かないところが出始めてきます。

これはキャリアチェンジのタイミングかもしれない。

そう考え、上司や人事担当者に面談の機会を設けてもらい、キャリアチェンジの相談をしたところ、真摯に対応してもらえ、50歳になる直前に、残業の少ない新たな仕事に移ることができました。

新たな仕事は社内組織の事業計画・契約管理。営業職で得た契約関連のスキルや事業計画の策定・管理経験が活用できる内容で、かつ残業時間は1/3~1/5くらいになりました。負担は減りつつ手ごたえはある業務で、異動の調整に時間を割いてくれた方々には今も感謝の気持ちでいっぱいです(実際に、異動に労を尽くしてくださった人事担当の方にお礼のメールをお送りしたところ、とても喜んでくださいました。)。

限界を感じてからのチェンジだったので、もう少し早いタイミングがよかったのかもしれませんが、営業最後の職場で受注した案件で表彰をいただくことができたので、「遅きに失した」まではいかなかったと勝手に思っています。今後は、新しい仕事をきちんと遂行していきます。


自室の整理整頓 - 「仮」から「本番」へ

自室にいる時間が突然増えた

無事実現できたキャリアチェンジですが、今度はコロナ禍がほぼ同時にやってきたので、自室にいる時間が劇的に増えました。

それまで2日に1回は出張(そして月に2~3回は新幹線か飛行機)していたのが一気になくなり、さらに週の半分は在宅勤務になったので。

自室には、それまで「いつか整理したいけど、今はここに置いておこう」「いつか家具を同じトーンでそろえたいけど、今はこの箱で間に合わせておこう」・・・そんなふうに「仮」ですませていたものがたくさん。なのでそれらに向き合う時間も増え、そうすると居心地をちょっと悪く感じる時間も増えていく。

それに、この歳になって「仮」だと、このままずっと「仮」のままで、一生「仮」のままになってしまう・・・

そう思い、「いつかやろう」を「コロナの間にやろう」と切り替えて、整理を始めました。

無印のシェルフとSeriaのボックス

まずは、すでに持っていた無印良品のユニットシェルフを増設。今あるものは10年前に買ったものですが、今も同じものが売られています。それに、収納用品のサイズが同じ規格で作られているので、増設や収納ボックスの入れ替えもスムーズで助かりました。何より、同じトーンで家具をそろえることができるのが魅力です。

増設後、このシェルフに、今まで「仮」でなんとなくいろんな箱に入れたりしていたものを整理整頓していきました。2021年のお正月はコロナ禍で初詣も友人たちとの恒例の飲み会もすべてやめたので、その間に(部屋の模様替えは冬がいいですね。かなり身体を動かすので。)。

たったこれだけでも、かなりすっきりしました。毎日目にするところから「仮」がなくなったので、大げさに言えば、精神衛生上の効果があった気がします。

もちろん、ものがすぐに取り出せ、しまうときも迷わないというのも楽で気持ちいいです。


「やってみたいな」と思い続けていたことをやってみる

空きスペースができたので

自室を整理整頓すると、それなりの空きスペースができました。

そういえば、別の部屋にある、子どもが一時期はまっていた初心者用の電子ドラムセットが今ほこりをかぶっている・・・

そして自分は、以前から音楽を聴くとき、ドラムのパートがけっこう気になっていた。

もっと正直にいえば、ドラム、やってみたい。

でも中学生のころから練習しては止めての繰り返しで今に至るピアノは、いまだにまったくものになっていない。ドラムも多分そうなるだろう。いいのか。

いや、もうあと20年あるかないかわからないし、始めるならこのタイミングしかないだろう、ということで電子ドラムを自室に移動しました。

電子ドラム

それから半年、ほぼ毎日、少しずつ練習、というより遊んでいます。YMO / Cueからはじめて、The Beatles / She Loves You、今はBack in the USSR(無謀)。※2023年7月17日追記:その後ドラムスクールに通い、なんとかこの2曲とYMO / 体操 をへて、今は椎名林檎 / 正しい街 の仕上げに入っています。

なお、ピアノの練習も同時に復活し、こちらもほぼ毎日続いています。今のところは。

ものになるかといえばならない気がしますが、身体が思うように動かなくなってから「やっとけばよかった」と悔しがるよりは、触るだけでもやっておいたほうがいい。そんな気持ちです。


これから ー 旅

いろいろ書きましたが、ここまで、「元気なうちにやっておく」もので真っ先に思い浮かびそうなものが出てきていません。

それは旅行です。

実はもっと若い時、同じように考え、20代のうちに「47都道府県」「5大陸」をそれぞれピンポイントで訪れる計画を立て、実行しました。

でも今は、コロナ禍の影響はもちろん、それがなかったとしてもまとまったお金と時間が確保できなさそうなので(まあやる気の問題だとも思いますが)、これはちょっと保留になっています。

その分、地元関西を週末に少しずつ愉しんでいく予定です。コロナ前に始めていましたが中断しています。


これから - 食・酒

もうひとつ「今のうちに」やっておきたいのがおいしい食事とお酒。

今のところ、医師から食事制限が指導されているような状況ではないですが(卵は控えた方がいい、とは言われていますが)、親と遺伝子検査の結果を見ると、指導される日は遠からずやってきそうです。

であれば、「今から節制しよう」という考えが健全なのでしょうが、私は逆で、「今のうちに好きなものを食べて飲んでおこう」としか考えていません。

これは、さあやるぞ、と思った段階でコロナ禍に入ったので、これからの楽しみにしているところです。リストアップしているお店がその時に続いていることを祈るばかりです・・・


親との時間を確保する

これまで、自分のことばかり書いてきました。

しかし、「今だからこそやっておきたい」ことはそれだけではありません。

親と過ごす時間と、子どもと過ごす時間です。どちらも時間に限りがある。

子どもは一緒に暮らしていることもあり、自然と一緒に過ごす時間が持てています。しかし、親は同居していないので、時間をつくる必要があります。


5年ほど前、父に声をかけ、父方の家系のルーツとなる場所(鉄道で片道3時間くらい)に二人で行き、ご先祖のお墓やお寺、ゆかりの地に行きました。祖父が書いた自分史をもとに、祖父の足跡もたどりました。引継ぎを受けた気分でした。

母とも、母が結婚するまで住んでいた街(鉄道で30分くらい)に行き、思い出話を聴き写真をたくさん撮り、アルバムにして渡しました。

父はその2年後に亡くなり、母は「あのとき連れて行ってくれてよかった。今はもう無理やな・・・」と言います。


上にさんざん書いたいろんな目論見もやっていきたいけど、親と子どもたちとの時間こそ、今大切にしたい、と思います。

in English (この記事の英語版)


関連メモ




注釈

*1:図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省

*2:もともとは聴覚過敏の家族が使うことも想定して購入したのですが、聞こえなくしたかった音が出なくなったので、今はすっかり私の音楽鑑賞専用になっています。なおノイズキャンセリング機能は評判通り実にパワフルで、外で歩きながらなんて車や自転車に気づかずぶつかりそうで怖くて絶対使いたくないレベルです。

*3:まあちょっと音が整えられすぎてる気はしますね。


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