[概要]
フリーダ・ケリーは、ビートルズの大ファンだった17歳の時ビートルズの秘書になり、その後11年間彼らとともに仕事をした。彼女はそのことを自分の家族にさえ話したことがなかったが、息子が亡くなったとき「何も伝えられなかった」と感じたことと、孫に自分の経験を伝えたいと思ったことから、その貴重な経験について、甥のドキュメンタリー映画監督に家族向けの映像作品を撮ってもらうことにした。監督は、撮影を続けるうちにこれは映画にして公開すべきだとフリーダを説得した。そして本作品は公開された。
[感想]
これはビートルズファンでない方にも響く力をもった作品だと思います。
フリーダは、自分自身のゆるぎない原則をもとに人生を生きています。
ビートルズの秘書になった後もメンバーのファンであり続け、同時のファンの気持ちを理解し続けた。
ビートルズへのファンレターには可能な限り返事をしようとする。ビートルズの髪がほしいというファンレターに妹の髪を入れたスタッフは即解雇。そんなごまかしは絶対ばれることがないなんて選択肢はとらなかった。
相手が間違ったことを言ったら、ジョン・レノンでも謝らせひれ伏させる。
父の体調が思わしくないときに父の住まいから離れるようになると、仕事を離れる決意をする(結局はそのまま仕事を続けていいことになった)。結婚して家族ができると、家族を優先するためにビートルズから離れる。
ビートルズとの貴重な経験は、本にしたり記事を提供すればかなりの金額になるはずだが、50年間一切そうしなかったどころか、自分の娘にすらほとんどその話をしたことがない。
今も法律事務所の秘書として日々働いている。
こういった愛と原則が、ビートルズのメンバーやスタッフからの絶大な信頼の基盤となっているのでしょう。
映画の演出という面では、ビートルズやフリーダの貴重な写真はもちろん、フリーダの今の日常、朝食をとり出勤するところからはじめ、最後は帰宅するところで終わるという構成にも感じ入るところがありました。フリーダは今も仕事をし日々を生きている。ビートルズとの思い出にふけるような毎日ではないのです。
人間、生きていく上で何が大事かということを改めて考えさせられました。そしてその大事なことというのは、誰もが知っているシンプルなものであるということも。