ビートルズの大ファンのあるミュージシャンが、ビートルズのメンバーに縁のある人を訪ね歩いて撮ったインタビュー集。
「縁のある人」には、メンバーの古くからの友人、ミュージシャン仲間(ブライアン・ウィルソンやアート・ガーファンクルのような大御所も)、たまたまメンバーと接触する機会のあった人、大ファンなど様々。共通しているのはみんなビートルズについて語るとき本当に目がきらきらしていること。
いろんな人が延々と「ビートルズと私」について語るだけの映画なので、ビートルズファンであったとしても人によってはきついかもしれないこの映画ですが、インタビュイーのいきいきした表情は誰にでも伝わるのではないかと思います。例えばスザンナ・ホフスなんか完全に「リンゴファンの少女」って感じでしたし(そういう雰囲気がいまだにしっくりくる彼女の変わらぬ魅力もたいしたものですが)。
もうひとつのこの映画の重要性は、これ、多分10年後にはつくるのが難しい映画だってことです。ビートルズのメンバーより年長の人もけっこういる。セス・スワースキが今、この映画をつくりリリースしたことは大いに意味のあることだと思います(そして改めて、この作品に出てくる人々と比べてのポールの若々しさに驚きました)。
見たことのない写真が多数出てくるのと、インタビュー内容にぴったりの写真を引っ張り出してくる(いくつかは「再現写真」なんでしょうがそれでもすごくよくできている)ところもすごい。映像はハンディカメラのものも多いのでしょうが、トータルでは大変な手間をかけているのでしょう。いろんな写真に心奪われましたが、個人的ベストは、ビートルズが招待されたガーデンパーティでポールがしゃがんで少年に語りかけている写真かなあ。そしてその少年がその時のことについて語り出すのがこの映画なのです。
セス・スワースキのビートルズ愛がインタビュイーと共鳴して輝いている、そんな雰囲気の作品でした。