庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

ナムコのロゴデザインはジャズアルバムから(ゲームラボ「MORE ABOUT namco」)

ゲームラボ年末年始2021号のナムコ特集「MORE ABOUT namco」には驚きました。
ゲームラボ 年末年始2021 [雑誌]

80年代のナムコ企業情報

82~86年、当時小6~高1ごろの私は、ゲームセンターに足しげく通い、特にナムコのゲームのとりこになっていました。

次第に、ゲームだけでなくナムコという企業そのものにも惹かれ、ナムコについて知りたくてしょうがなくなっていきましたが、当時はとにかく情報がなかった。

「マイコンBASICマガジン」(Super Soft Magazine)や「オールアバウトナムコ」でやっとアーケードゲームの情報が一般書店で読めるようになったくらいの時代。雑誌「ゲーメスト」の創刊は86年ですが、その時も書店で普通に買えるアーケードゲームの専門誌がやっと出た、と感激したくらいです。

商品であるアーケードゲームでもそんな状況だったそのころ、地方に住んでいた中学生が株式会社ナムコについて知ろうとしても、直営ゲームセンターでたまに入手できた広報誌「季刊NG」かPHPの書籍「超発想集団ナムコ」でその一端に触れるのが限界でした(これは本当に貴重な情報源でした)。

あれから約35年、まさか雑誌で、こんなに詳細なナムコの歴史が活字で読めるとは。

namco一代記 中村雅哉とナムコの時代

このゲームラボの特集の一記事「namco一代記 中村雅哉とナムコの時代」には、「超発想集団ナムコ」にない情報が満載。中村雅哉氏がナムコの前身、中村製作所を創業するまでの記録だけで3ページを使う贅沢ぶりで、中村氏の少年・青年期の経歴から詳細に述べられています。中村氏が小学生だったころ、お母さんが八卦占いをしたところ「将来は海外に雄飛し客死」という相が出たという逸話など(前半、事業や商品については見事に当たってますね)初めて知ったことがたくさん。

写真も小さいですが豊富に収録。ナムコはアミューズメント業界で著作権を意識した最初期の会社としても知られており、60年代にオバQの遊具についてもきちんと藤子不二雄と小学館にロイヤリティを支払っているのですが、その関連で藤子不二雄両先生と中村社長の3ショット写真などもあります。

また、「超発想集団ナムコ」は1984年発刊なので当然それ以降のナムコの歴史は記されていませんが、この特集では2005年にバンダイと経営統合するまでの流れが網羅的に、筆者さんの思い出コメントなどなしで史実に即する形で綴られています。まさにナムコヒストリーサマリー(といっても16ページもある大記事ですが)の決定版といえる内容。これだけの内容をリサーチしまとめあげた筆者のぜくうさんには感謝申し上げたいです。

ナムコのロゴはジャズアルバムから

中でも驚いたのが、あのnamcoのロゴデザインについて。これは、mazdaのロゴとモダン・ジャズ・カルテットのアルバム"Third Stream Music
"の字体に影響を受けたもの、という記述。有名な話なんでしょうか。私は知りませんでした。(2021年1月4日追記:ぜくうさんのツイートによると、氏の「ギャラクシアン創世記」が初出、とのことです。)

Embed from Getty Images
このナムコのロゴ、1973年の投影型ドライブゲーム「フォーミュラーX」から使われたそうですが、50年近くたった今も古さを感じさせません。今はバンダイとの経営統合でこのロゴを見る機会は減ってしまいましたが、直営ゲームセンターでは残っていますね。

Embed from Getty Images
Third Stream Music by Modern Jazz Quartet (2013-06-26)

たしかにこの二つ、namcoロゴとの共通点を感じますね。

これをデザインしたナムコ社員・甲斐敏夫さんは元ジャズミュージシャンで、デザインの道を奨めた親類がマツダの社員だったそう。そんな縁と甲斐さんのデザインセンスが生んだ企業ロゴタイプの傑作というわけです。

ちなみにこの甲斐さん、私がはじめてお名前を拝見したのは世界最初のゲーム音楽アルバムといわれる「ビデオ・ゲーム・ミュージック」。このLPのライナーノーツにパックマンの音楽の作曲者としてクレジットされていたのです。つまり、デザインだけでなく音楽までなさる多彩な方なのですが、それだけではありません。

甲斐さんはその上、ナムコの有名な企業メッセージ「『遊び』をクリエイトする」や、社員募集広告のキャッチフレーズ「集まれ前科者。」(子どものころ好奇心がもとでおもちゃを分解して壊したような「前科者」をナムコは求める、というメッセージ)まで考案。さらにロジェ・カイヨワ「遊びと人間」やヨハン・ホイジンガ「ホモ・ルーデンス」を中村社長に紹介し特に後者はナムコの指針になるなど、ナムコのその後に大きな影響を与えた方とのこと。こういったこともこちらの特集で知りました。

遊びと人間 (講談社学術文庫)

遊びと人間 (講談社学術文庫)


本当に読みごたえがある記事でした。読後、久しぶりにPS1の「ナムコミュージアム」のギャプラスをプレイし、変わらぬおもしろさと35年前の想い出を確認してしまったくらいです。今はゲームセンターに行くのは年に数回レトロゲームをプレイするか子どもが「太鼓の達人」をやるのを横で見ているかくらいになってしまっていますが、このころのナムコは、自分にとってずっと特別な存在であり続けると確信させてくれた記事でもありました。



関連メモ


当ブログの関連メモ(Google選定)・広告


(広告)