田島隆作・東風孝弘画「カバチタレ!」を読んで、新たに知った世の中のルールをメモしてみました(中には「常識」もあるのかもしれませんが・・・)。
※以下のメモは、まんがに書いてある内容をそのまま要約しています。裏はとっていません。また、その後の法改正等についてもチェックしていません。ご了承下さい。
第1巻
・慰謝料を支払いたいのに相手がそれに納得せず受け取ってくれない場合、その慰謝料を法務局に供託すれば相手が受け取らなくても支払ったことになる。
第2巻
・検察は、告発状の不受理はできない。
・検察は、基本は2次捜査(1次捜査は警察)だが、必要があれば自ら(先に)捜査できる。
・従業員が仕事中に怪我をした場合、労災保険に入っているか否かを問わず、会社は治療費を出す義務がある。解雇もできない。
・会社が、従業員が安全に仕事ができるようにする配慮を怠っている場合、安全配慮義務違反となり損害賠償の対象になる。
・裁判所に遺言を検認してもらう場合、申し立てから1ヶ月半くらいかかることがある。当日は審判廷で裁判官立ち会いのもと中身を確認する。が、裁判官は「親父さんの字に間違いないか」くらいしか訊かないらしい。
第4巻
・起訴猶予になれば罰金も前科もつかない。
・退職金制度を設けるかどうかは経営者の自由。
・現役の取締役が会社と同じ商売を始めるには取締役会の承認がいる。
第5巻
・自動車のウインカーが壊れた場合整備不良になるが、整備不良は「故障によって交通に危険が生じるか他人に迷惑を与える場合」のみ違反になる。一方で、道交法では手信号が認められている。よって、ウインカーが壊れただけでは即反則切符の対象にはならない。
・警察の「捜査関係事項照会書」は警察署長印で発行できる(ので発行しやすい)が、強制力はない。一方、正式な令状は裁判官の審査が必要。
・昭和42年8月1日付警察庁乙交達発第7号・警察庁次長通達には、「身を隠して取り締まり予防制止すべきものを黙認し検挙してはならない」とある。
・略式裁判は、「ただの書類審査」「罰金刑を下すためのただの事務手続き」で、書類のつじつまが合っていれば被告人は有罪になるシステム、とのこと。
第6巻
・妻が、夫に暴力をふるわれて行くところがなくなったときは、各県にある「婦人相談所」に泊めてもらうことができる。原則、利用するには原則市町村の福祉事務所を通すことになるが、夜中に逃げ出した場合などは直接行ってもよい。費用は無料、給食あり、日用品・衣類も必要に応じ支給。利用は最大2週間、入所中は相談所が携帯電話と貴重品を預かる。
第7巻
・暴行罪は、驚かせる目的で目の前に石を投げただけでも成立する。
第8巻
・少額訴訟は、1回の裁判で判決が出、費用も1万円程度。ただし、負けても控訴できない。条件として、争っている金額は30万円以下、訴えは年間10回以下、金銭の支払い以外の訴え(建物の明け渡しなど)は不可。
第9巻
・刑事記録は、判決が確定し刑事裁判自体が終わらないと公開されない。不起訴の場合は裁判が終わっていないとみなされるため、弁護士からの請求でも実況検分調書しか公開されない。
・検察の不起訴決定を覆すには、検察審査会でその不起訴決定の妥当性を審議してもらうという方法がある。審査員は、一般市民がくじで選ばれる。
・B社がA社の専属的な下請け会社である場合で、A社が実質的な指揮監督関係を持っているとみなされる場合、B社の損害賠償の責任は、A社も連帯して負うことになる。
第11巻
・アルバイトでも半年以上勤務すれば有給休暇は付与される。日数は勤務日数と勤続年数により決められる。1時間だけ働いて帰っても勤務日数は「1日」と算定される。
・レジの打ち間違いで損害が出た場合でも、レジ打ち係本人だけでなく、店側の管理責任問題も問われる。判例では、労働者側に責任があった場合でも労働者側には4分の1程度の責任しか認めていない。
・使用者(会社)は、アルバイトであっても期間を定めずに労働者を雇用した場合は、解雇予告手当金を支払う義務が生じる。懲戒解雇であっても同様。
・使用者は、アルバイトやパートでも正社員の4分の3以上出勤している場合は失業保険をつけなければならない。
・離婚後の子どもの親権については、子どもが10歳くらいまでなら母親になることが多い。15歳以上くらいだと子どもの意思で決まることが多いらしい。
第13巻
・レストランを始めようとして物件を探していたところ、調理設備などが整った部屋が見つかったためこれを契約した。しかし、前の持ち主は、設備を別の人物にも売っていた(二重譲渡)。このような場合、設備を先に管理し始めたほうが勝つらしい。
第14巻
・交通事故で入院しても自賠責保険で支払われる費用は1日4200円、小指を失っても後遺障害による慰謝料は32万円だけ。
第17巻
・企業の内部告発者を保護する法律(公益通報者保護法)では、会社の社員が会社の不正を訴える場合は保護されるが、ある業界の下請け会社が元請けや同業者の不正を訴える場合は保護されない。
第19巻
・占有の権利は、債権額の3分の1くらいが相場らしい。
・離婚した父親に対し、母親がしばらく養育費の支払いを求めていなかった場合、判例では、それまでの養育費の支払いをさかのぼって取り返すのは難しいが、今後の養育費は請求できる。そもそも、養育費請求は子どもが有する権利なので、母親がそれを行使しなかったからといって消滅するわけではない。
・勤務している企業が倒産して給料を払ってもらえなくなった場合は、労働者健康福祉機構という独立行政法人が未払い賃金を立て替えてくれる。
以上、労働者の権利って、法律・制度上はかなり手厚く保護されてるんだなってちょっと驚きました。逆に言うと、それくらいしないとすぐ「搾取」されるのが労働者ってことかもしれないし、これだけルールがあるからこそ企業が雇用に慎重になってしまう(時もある)のかもしれないし。