庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

社会と課題

人類はなぜネアンデルタール人などを駆逐して広がっていったのか? - マット・リドレー「繁栄−明日を切り拓くための人類10万年史」

この本の原題は"The Rational Optimist"(合理的な楽観主義者)。要するに「昔はよかった、これからは悲惨な世の中になっていく」という世間の声に真っ向から異議を唱えるのが主旨なのです。しかし、それ以外にも興味深い内容が多数含まれていたので整理しな…

なぜラーメンは「国民食」になっていったのか? - 速水健朗「ラーメンと愛国」

ご当地ラーメンは、なぜその地の産物と関係のないものばかりなのか?ラーメンが他の外食産業と異なる点は?

各業界の「相場」~コンビニ、ゲーセン、カフェ、声優、アダルトメディア、ホストクラブ等~ 鈴木みそ「銭」各巻別メモ

外からは見えにくいいくつかのビジネスの「相場」と「お金の流れ」を綿密な取材(と思われる)をもとにルポしてくれているまんがです。そのビジネスとは・・・ 「まんが業界は雑誌では利益を出せていないところが多い。では何でもうけているのか?」「コンビ…

小熊英二「社会を変えるには」

今までの小熊さんの本といろいろ違っていました。である調ではなくですます調。引用情報のソースは最低限にしか示さない。なにより、「で、どうすればいいのか」が以前の本に比べると明確に書いてある。これらの体裁から、より「幅広く読んでほしい」という…

日本と一番価値観の異なる国はエジプト?-高橋徹「日本人の価値観・世界ランキング」

世界価値観調査というものがあります。様々な国の人々に同じ質問をして、その答えから価値観の類似・相違を明らかにするというものです。この結果をまとめた本があったので、ここから、日本が上位5国または下位5国に入っているものをピックアップしてご紹介…

なぜ台湾は「親日」なのか

台湾が親日である理由4つのうちの1つを特にあてはまると考える理由を、沖縄との比較から考える。

第50回イギリス研究会(2日目) 福島県いわき市

(前日からの続きです。) いわきへ8時に茨城県ひたちなか市在住のKさんの車にFさんと乗り込み、福島県いわき市を目指します。Kさんは被災者でもあるので(昨日ご自宅の前を通りましたが屋根にはブルーシートが)、高速道路は無料でした。だんだんと、家々の…

第50回イギリス研究会(1日目) 茨城県ひたちなか市〜東海村

">イギリス研究会の記念すべき第50回は北関東で行うことになりました。メンバーの一人が茨城に住んでいて以前からそこでやろうかという話があったのと、その方の福島県いわき市での東日本大震災関連ボランティアの経験をうかがって、現地に足を運ぶ必要性を…

日本のナショナリズム、若者の生きづらさ〜小熊英二時評集「私たちはいまどこにいるのか」その2

その1「戦後日本社会の転換点と『1975年体制』」に引き続き、この本で特に印象深く感じたふたつの点についてメモします。 日本のナショナリズムまず、ナショナリズムがなぜ人を引きつけるのかという根本的な疑問について。いや、私自身もなんとなくその「魅…

戦後日本社会の転換点と「1975年体制」〜小熊英二時評集「私たちはいまどこにいるのか」その1

「思想の変化は社会実態の変化に15年ほど遅れて起こる」ことと、1975年が「経済成長を前提としたモデルの完成形」を作り上げた年であることについて。

タイタニック号生き残りの日本人が非難され、後に名誉回復した背景

その日本人は、そもそも非難されるようなことはしていなかった。ではなぜ?その背景について。

「ジャングル黒べえ」が絶版になっていた本当の理由

「ジャングル黒べえ」一時期絶版になっていた理由は、具体的な抗議があったからではなかった-その内容について、安藤健二「封印作品の謎2」をもとに整理したメモ。作品が誕生した70年代の雰囲気についての管理人の個人的な経験も少し書いています。

連合赤軍リンチ殺害事件をどう受け止めていくのが適切か

連合赤軍事件のこれまでの受け止められ方と、今後の受け止め方の提案。

連合赤軍はなぜ「同志」を12人もリンチ殺害したのか

連合赤軍はどのように誕生したのか、また「同志」へのリンチはどのようにして進行していったのか。そしてそれはなぜ起こったのか。、小熊英二さんの大著「1968」をもとに整理。

連合赤軍って何?

連合赤軍とは何なのか、何が連合してどんな性格を有するに至ったのかを、小熊英二「1968」の内容を元に整理。

個人的な不満と政治との関わりはどういうものになるのか? - 宇野重規「<私>時代のデモクラシー」

〈私〉時代のデモクラシー (岩波新書)posted with ヨメレバ宇野 重規 岩波書店 2010-04-21 Amazon楽天ブックス7net 一人一人の<私>というミクロな視点に立つことで、社会全体のマクロな動態を把握していくための本です。どこかの書評(失念失礼)で知って…

日本の有給休暇取得率が低い制度的な理由とは? - 大竹文雄「競争と公平感」

さすが、いろんなところで評判になっているだけあって、興味深い小ネタが読みやすく配置されていますね。さらっと楽しんで読めました。と、こう書くと内容が軽い本のように思われそうですが、豊富なデータと明晰さがうかがえる洞察がまんべんなくちりばめら…

日本の社員の解雇が難しい理由 - チームJ「日本をダメにした10の裁判」

最高裁の判例は事実上法令と同等の効力を有します。そのように大きな効力をもつ判例(最高裁以外も含む)の中から、特に後の世に大きな影響を及ぼしたものを紹介し、検証する本です。どの章も興味深い例を挙げている上に批判するだけでなく提言も行っている…

マッサージにおける不正保険請求が最も多いのは大阪?-吉田あつし「日本の医療のなにが問題か」

タイトルとは異なり、日本の医療を経済学の視点で捉えた本です。しかり、「看板に偽りあり」(きつい言い方ですが)ではあるかもしれませんが、羊頭狗肉ではない(内容は充実している)と感じました。医療の現状について豊富なデータを用い、極めて客観的に…

幸福度が低い人の傾向とは? - 大竹文雄・白石小百合・筒井義郎「日本の幸福度 格差・労働・家族」

この本は、アンケート結果を分析することで、日本に住む人のうち、どんな人が幸福だと感じている/いないことが多いのかを調査したものです。いつものように、印象に残った部分をメモします。 幸福度が低い人の傾向例えば、地方在住者より都市部在住者のほう…

「新しい歴史教科書をつくる会」関係者の特徴とは - 小熊英二・上野陽子「<癒し>のナショナリズム」

小熊英二助教授(当時)の論考と彼のゼミ生・上野陽子さんの卒業論文(2002年)で構成されている本。小熊さんの論考も興味深いのですが、ここでは上野さんの論文についてメモします。彼女の論文は、「新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部有志団体史の会…

日本人は集団主義ではない? - 高野陽太郎「『集団主義』という錯覚 日本人論の思い違いとその由来」

日本人は集団主義、アメリカ人は個人主義とよく言われる。しかしそれを実証した実験結果はない。よって、日本人は集団主義とは言えない。それがこの本の要旨です。著者は、日本人とアメリカ人を比較した実証研究を調査します。すると、対象となった19件の研…

死亡記事の面積ランキング−爆笑問題「爆笑問題の死のサイズ」

この本は2つの柱で構成されています。ひとつは新聞の死亡記事をもとにした爆笑問題の対談。もうひとつは1950年から99年までの新聞(おそらく産経)死亡記事の面積ランキングです。対談部分は、特に太田さんの読書量や知識が垣間見える内容で勉強にもなりつつ…

外交路線における3つの選択肢とは - 孫崎享「日米同盟の正体−迷走する安全保障」

職場の読書会で同僚がこの本について発表していたのを機に関心を持ったので読んでみました。2005年10月29日、日本の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官は、「日米同盟:未来のための変革と再編」という文書に署名しています。これは著者による…

アメリカ人による「アメリカは日本を断罪する資格があるのか?」という問い - ヘレン・ミアーズ「アメリカの鏡・日本」

「日本がなぜ戦争を始めたのか」についていくつかの本を読んでいたところ、職場の上司が「その時代に関心があるならこの本を読んでみてはどうか」と薦めてくれたのがこの本です。本書は、1948年、アメリカのアジア研究者でGHQの一員として日本の労働法の策定…

加藤陽子「それでも、日本人は戦争を選んだ」

このタイトルだけを見れば、日本がなぜ太平洋戦争を始めたのか、その理由とそれが避けられなかった事情が書かれている、そんな本だと思うでしょう。しかしそうではありませんでした。この本の実際の内容は、歴史学者である著者が、高校生を相手に、日清戦争…

気の毒な面もあるが、それでも - ハンナ・アーレント「イェルサレムのアイヒマン−悪の陳腐さについての報告」

ユダヤ人絶滅計画推進者アイヒマンの裁判記録を読んで感じたこと。アイヒマンには気の毒な側面もある。そして本書は現代の我が身を振り返る材料になる。

臼杵陽「イスラームはなぜ敵とされたのか」

911同時多発テロの1ヶ月後、友人たちとシンガポールに集まったとき、一人が言いました。「俺の乗った飛行機で、アラブの人が急に手を挙げるから、この飛行機が乗っ取られる合図かなとびびっていたら、ただ伸びをしただけだったよ。」私はこれを聴いて爆笑し…

ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」

経済学では、人間は合理的に行動することとされています。価格は需要と供給の一致で決まる。これも人が合理的であるからこそ成り立つ原則です。しかしこの本では、人間はよく不合理な行動をする−しかも予想通りに−ことが述べられています。未知の商品が出た…

大石繁宏「幸せを科学する」

これは、心理学的見地から「幸せ」を考察した本です。って、「幸せ」って多くの人にとって一番関心のある心理状態だと思うんですが、なぜそんな本が今ごろ?といぶかしむ方もいらっしゃるでしょう。私もそう思いました。しかし、これまでの心理学では、幸福…


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