庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

第50回イギリス研究会(2日目) 福島県いわき市

前日からの続きです。)


いわきへ

8時に茨城県ひたちなか市在住のKさんの車にFさんと乗り込み、福島県いわき市を目指します。Kさんは被災者でもあるので(昨日ご自宅の前を通りましたが屋根にはブルーシートが)、高速道路は無料でした。

だんだんと、家々の屋根にブルーシートが増えてきます。約1時間と少しでいわきに到着。車が徐々に揺れだしてきます。地震の影響でアスファルトが波打っているのです。

とはいえ、いわき市街はそれを除けば平穏そのもの。なじみのチェーン店も見慣れた看板に店構え、ここが被災地には見えません(実際には様々な影響があり市民の皆さんは大変なご苦労をされているわけですが)。しかし、その「意外」感も沿岸部に入ると打ち壊されてしまいます。


いわき沿岸部


沿岸部のセブンイレブン。店舗建物がこうなってしまったので、駐車場で車による移動営業をしています。


さらに北上すると、かつて住宅地であったらしいエリアが軒並み更地になっている地域が続き、言葉を失います・・・




かなりの建物やがれきがボランティアの方々の力で撤去されていますが、このように壊れたままの家々、建物もまだあります。


学校に集められたがれき。これだけの量を処理されたボランティアの方々に頭が下がりますが、家々がこのようになってしまった住民の方々の思いは・・・


かつて堤防があったけどすべて津波で流されてしまい、応急処置としてこうなっているようです。


現地を訪れて知ったこと

このような光景が延々と続くのを目の当たりにして、今更ながらにわかりました。福島といえば今世間では原発放射線の話ばかり(実際、道ばたの落書きに「心まで汚染されてたまるか」などのメッセージもありました)。しかし特に沿岸部では、このように津波地震による甚大な被害が現にあったということです。現地に来るまでそんなこともわからなかった自分を恥じました。

さらに驚いたのは、いわきのコミュニティラジオ。これを聞きながら進んでいたのですが、そこではまるで昨日起こった出来事のように、8ヶ月前の東日本大震災についてのインタビューが行われていたのです。3月11日に何をしていたか。その後どうしたか。あまりに「日常的」に会話が進んでいくので、これは3月に録音された番組の再放送かと思ったほどです。しかし出演者の方々は、11月に行われる復興関連イベントの話をされていました。東日本大震災が忘れられない出来事なのは日本在住者なら同じだとは思いますが、被災地の方々はそんなレベルではないわけです。


地元の人々

三つ目に驚いたことは・・・


四倉港にある「道の駅」。このようになっていますが・・・


なんとすぐ横で仮営業をしていました。

で、驚いたのはそのことだけではなく、店内の活気です。お客の入りもさることながら、お店の方々の明るさ、元気よさ。決して空元気ではない、地に足のついた陽気さです。逆にこちらが励まされます。


店内にある寄せ書き。ここに来た人たちが書いているみたいです。


お店のすぐ裏はこんな状態。店内の雰囲気とのコントラストにめまいがしそうでした。


花を咲かせるプロジェクト

別の地域久之浜地区では、解体が決まっている建物に所有者の許可をもらい花の絵を描いている方々がいるそうです。通称「がれきに花を咲かせましょう」プロジェクト。

こうしてみると、本当に荒野に咲く花のようです。


中にはこのようなまだ新しいお家が津波に壊されてしまったケースも。気の毒という程度の話ではないのですが、解体前に文字通り一花咲かせているのを見ると、この家の一生の最期の輝きを見ているような気分になりました。

すぐ近くの神社では七五三のお参りが行われており、子どもの明るい声が道路にまで響いていました。


いわき駅周辺

お昼近くになったので、いわき中心部に移動。

いわき駅と向かいにあるショッピングモール周辺はまだ新しく都市部と変わらないテナントが入っており、またしても沿岸部とのギャップにめまい。よく見ると道路が若干波打っていることで、旅行者の目にはここが被災地であることがわかる程度です。


願成寺阿弥陀堂

ここでFさんと分かれ、Kさんと昼食をとり、平安時代建立の願成寺阿弥陀堂へ。車で2,30分程度です。





極楽浄土を模したというこの静謐な世界。午前中、忘れ得ない光景を目の当たりにし揺さぶられた精神を落ち着かせてくれました。


尋ねたこと

14時過ぎにKさんと分かれ、7時間かけての帰途につくことにしました。

ご自身も被災者でボランティア活動も続けてこられたKさんに私は尋ねました。「関西にいる人間は、寄付や購買以外にどんな手伝いができるんでしょう。被災地の方々は何を必要としているんでしょう」 Kさんは「忘れないことだと思う」とおっしゃいました。

私はその後、TwitterでKさん作成の震災関連「Fukushima」リストをフォローしました。この日以来ほぼ毎日、このリストで復興ボランティアの方々、被災地にお住まいの方々、被災自治体の広報などのつぶやきを読んでいます。まずはここから。


リンク: Kさんのこの日のブログ


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