庭を歩いてメモをとる

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アナログ初心者がビートルズUKオリジナル盤に惹かれる理由、求めるコンディション

レコードプレイヤーを入手してまだ3年、その間に買ったアナログレコードは3枚だけ。

そんな初心者が、ビートルズが本国イギリスで最初にリリースしたレコード、いわゆる「UKオリジナル盤」に手を出し始めてしまいました。

なぜUKオリジナル盤に惹かれるのか、その理由というか、今の心境をメモしてみました。


なぜUKオリジナル盤か

四人の意図に近い?

なぜUKオリジナル盤(初盤)に関心があるのか。

それは、「もしかすると四人が意図したものに一番近いのでは」という妄想が働く余地が大きい(と考えている)からです。

あの四人が「こうしたい」と考えた音楽・サウンドプロダクションやジャケット、ポスターなどの付属品、つまり総体としての「作品」に一番近いのは本国イギリスで最初にリリースしたレコードなのではないか・・・

これは確証ではなく妄想なのですが、まあ私にとってはそういう「夢」を見やすい存在なのです。

音が好き

もうひとつの理由。それはシンプルに「音が好み」。

ガツンとくる迫力のある音像、エッジの効いたサウンド、(モノラルでも)広がりのある感覚。実にかっこいい、気持ちいい。

たとえばRevolver。Taxmanでギターのカッティング、ベース、ギターソロ、カウベルがそれぞれ入ってきたときの驚き。こんなにひりひりした音だったっけ? And Your Bird can Singのギターとかもそう。変なたとえですが、かゆいところをすごく上手にかいてもらっているような快感。

そしてTomorrow Never Knowsのめくるめくパノラマ感。モノラルなのに広がりと色彩を感じるような音世界。そういえば、ドラムの音の奥行きもデジタル音源とは違いが大きい気がします。


Revolverはジャケットの裏もかっこいいですよね。これもCDしか持ってなかったときには気づかなかったポイントです。


なんというか、曲の「いいところ」にスポットライトをあてるようなサウンドなんですよね。あるいは、聴き手が注目(耳)するとそれに応えてくれるということなのかもしれませんが。

そしてたいていの場合、挑発的なんです。「アナログレコードは音にあたたかみがある」という言説を時々見聞きしますが、ビートルズに関してはこれはだいぶ違うんじゃないかなあという気がしています。「どうぞ」というより「どうだ!」って感じです。

(以上は、UKオリジナルというよりビートルズのアナログ全般の傾向なのかもしれませんが、アナログはほぼUKオリジナルしか聴いたことがないのでなんともいえません。)



いろいろ書きましたが、なぜUKオリジナルなのか。それは私にとって「妄想しやすい」「音が好き」。この2点に尽きます。


最初に入手したUKオリジナル盤、Strawberry Fields Forever / Penny Laneのシングル。この世でもっとも好きな音楽のひとつであるこの作品。「UKオリジナル盤の音を聴きたい・手元に置いておきたい」と思い、後述するお店で試聴させてもらったときの衝撃。それがこの世界に足を踏み入れるきっかけでした。

UKオリジナルが絶対、とは考えていない

ところで私は、UKオリジナル盤が絶対だと考えているわけではありません。

ビートルズは極めて多くの形態で音源やマテリアルが流通しています。おそらく古今東西すべてのミュージシャンの中で最も多岐にわたっているのではないでしょうか。

リリース時期そして国・地域によって、編集・ミックスからプレス、ジャケット等、変化が実に様々な点に及んでおり、聴こえてくる音もそれぞれ違うようです。

そこには優劣などはなく、その違いの数だけ愉しみ方が存在している。その中のひとつがUKオリジナル盤。そんなふうに思っています(私自身も、デジタルの音も好きです。スクラッチノイズとピッチ変動がないことだけでも素晴らしいし。)。


求めるコンディション

ところで、UKオリジナル盤にもいろいろなコンディションのものがあります。私が今のところ求めているのは次の2点です。

モノラル

まずはモノラル盤から聴きたい。

これも「四人の意図」につながります。

オリジナルのモノ・ミックスは入念にチェックしていたメンバーたちも、ぼくらが新しいミックスをはじめたときには、まったく関心を示そうとはせず、セッションにもいっさい顔を出さなかった。あのころはそれくらい、ステレオが軽く見られていたのだ。

ジェフ・エメリック「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」 9章「傑作がかたちに」の「フラットにカッティングされたし」より

これはエンジニアのジェフ・エメリックによるアルバムSgt. Pepper's...を仕上げるときの回想ですが、セカンドエンジニアのリチャード・ラッシュも同様のコメントを残しています*1

ステレオ録音も私は好きですが、上記のようなビートルズの姿勢(個人的には、このモノラル一辺倒のメンバーの意識はホワイトアルバムのころから変わってきたようにも感じていますが)に向き合いたいと考えています。

それにそもそも、訴えかけるようなダイレクトな迫力と安定感のあるモノラルの音は実に気持ちいい。これも大きな理由です。

付属品も込みで愉しみたい

そしてもうひとつの条件。付属品がすべて揃っているいわゆる「完品」に惹かれます。

前述したように、音楽に加えて、ジャケットや付属品など総体としての作品を愉しんで、四人の意図に近づきたいと願っているからです。

たとえば・・・

これまでCDとデータ音源しか持っていない私は、Sgt.Pepper'sのカットアウト(ペパー軍曹やワッペンの切り抜き厚紙)やサイケスリーヴ、ホワイトアルバムのポスターも、実際はどんな大きさでどんな手触りなのかということを知らないままでした。


Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band UKオリジナル盤のカットアウトとサイケスリーヴ。



CDにもカットアウトのコピーはありますが・・・



オリジナルにはピーター・ブレイクのサインがこの場所にあり、CDにはありません。



CDでは分割されているホワイトアルバムのポスターも「こういうふうにつながっていて、こんなに大きいのか!」と今さらながらに驚いています。

(まあ、こういう付属品はUKオリジナル盤でなくても入手できますので、完品にこだわらず音だけ「UKオリジナル盤」、付属品は入手しやすいアナログ盤、という方法もありかもかもしれませんね。)

やはり「音」

そしてやはり、できれば音のいいもので聴きたいです。

それこそ「四人が意図したもの」に近づくならマトリクスやスタンパー(レコードに溝を刻むもとになるもの)*2の番号が若いものがよいのでしょうが、アナログレコードは盤質(傷み具合など)も音にかなり影響するようです。

UKオリジナル盤は当然ですがすべて中古なので、いつどこでどんな盤質のレコードが売られるかは予測できないわけですよね。一筋縄ではいきません。

さらには、オーディオ機器によっても音は劇的に変わってきます。これはアナログに限ったことではありませんが(この点をどうしたかは後述します)。

こだわりはじめるときりがない世界ですから、ここは運と財布との兼ね合いでどこかで着地点を見出すしかないですね。

音に関しては年齢による聴力の変化もあります。これもUKオリジナル盤を聴きたくなっている推進力のひとつです。大げさにいうと「残された時間は限られている」のです(詳しくは以下のメモに書きました。)。


どうやって入手するのか

さて、初心者にとって最大のハードルは「どうやって納得のいくUKオリジナル盤を入手するのか」というところかもしれません。

かつては、レコード店をはしごするしかなかったのでしょうね。それはそれで愉しそうですが、労力も膨大です。

今なら、まず思い浮かぶのはオークションサイトでしょうか。自分の求める条件を画面上で検索・確認できる利便性は本当にありがたい。

ただ、「すべてが一品もの」である中古レコードであり、それなりの値段がするビートルズのUKオリジナル盤。オークションサイトでも出品者の評価状態によってある程度の信頼性は担保できるとはいえ、できれば試聴したいと考える方も多いのではないでしょうか*3。私もその一人です。

そんなことを考えているときに出会ったのが、奈良にあるビートルズとソロのアナログレコード専門店、B-SELS

こちらのお店は、その品揃えと店主さんの知識と丁寧な応対に加え、試聴可能であるだけでなくすべてのレコードを店主さん自ら検品の上出品されています。つまり、私の上記の希望はここでかなったというわけです。

つけ加えると、奈良には私の実家があるのでお店に行くのも行きやすいという都合のよさもあります。私にとってはこれ以上ない素晴らしいお店です。

なお、このお店の概要と、前述の「オーディオをどうするか」問題への対応結果(このお店とできるだけ同じものを揃えました)、実際に入手したレコードについては、簡単ですがこちら↓のメモで記載しています。


これから

そんなふうに足を踏み入れた「ビートルズUKオリジナル盤」の世界。

まだ入り口をのぞきこんだくらいの段階ですが、目下の問題は、UKオリジナル盤をどこまで入手していくのか、という点です。

全部揃えるつもりはありませんが(そもそも経済面で無理がある)、じゃあどこまでなら満足するのか。それも自分自身、わかっていません。ポールのソロも欲しいしな・・・

こういう悩みも含めて、じっくり愉しんでいこうと思っています。


関連メモ


注釈

*1:マーク・ルイソン「ビートルズ レコーディングセッション」1967年4月7日の項

*2:(参考)マトリクスとスタンパーについて、ビートルズのレコードを例にまとめてくださっているページ:レコードのランアウト ハイファイ堂メールマガジン 第697号 ハイファイ堂レコード

*3:eBayなどでは出品されているレコードの音をアップしてくれている出品者さんもいます。その誠意は買いますが、アップした時点でそれはデジタル音源ですし・・・ノイズの有無などの参考にはなるのでありがたいのはありがたいです。


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