庭を歩いてメモをとる

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ハワーズ・エンド

ハワーズ・エンド [DVD]

[物語]
イギリスの3つの家族が登場。上流階級シュレーゲル家の姉・妹・弟。資産家のウィルコックス家。貧しい中芸術を愛する青年バスト。

シュレーゲル家は、ある出来事がきっかけで気まずくなっているウィルコックス家が向かいに引っ越してくることを知る。そんな中シュレーゲル家の姉マーガレットはウィルコックス夫人と気持ちが通じ合うようになり、夫人は別荘「ハワーズ・エンド」をマーガレットにという遺言を残すが、ウィルコックス家はそれをもみ消す。

シュレーゲル家の妹ヘレンは、音楽に関する講演をきっかけにバストと知り合う。ウィルコックスの当主はバストの勤務している保険会社の経営状態が思わしくないとシュレーゲル姉妹に告げたため、バストは転職するが・・・


[感想]
この作品が描き出している「力あるものの無思慮により力無きものが犠牲になる」悲劇。「グレート・ギャツビー」との共通点を感じました。まあ、まだ本作のほうが「ギャツビー」より、ささやかとはいえ救いは残されているとは思いますが。

一方で、ジェイムズ・アイヴォリー監督の美に対するこだわりは期待を裏切りませんでした。その中でも一番光っていたのは貧しくとも気品を保ち続けたバストのたたずまいだったと個人的には感じています。映像そのものももちろん素晴らしかったのですが。

総じて、実に小説らしい映画ですね。良質の小説を読んだ後の「物語の力によるひとことでは語りえない感情の変化」を映画という媒体を通して届けてくれた、そんな作品でした。


ちなみに、私のレーザーディスクプレーヤーは、本作の再生をもってその任を終えました。約20年間お疲れさまでした。


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