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地獄の黙示録 特別完全版

芸術、特に映画と絵画については、作品そのものもさることながら、その作品をつくりあげた作者の執念に圧倒されることがたまにあります。こんなもんよう創るわ、何考えとんねん、という驚きがまずあり、それが、こんなん普通は、いや普通でなくてもここまではやらんで、という感嘆に変わっていく。関心が作品から作者にフォーカスしてしまうようなショックです。それは今まで、たとえばデヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド」や、ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」など少数の作品にしか感じたことがなかったのですが、今回新たにリストに追加されたのがこの「地獄の黙示録」です。

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ただし、映画全体からそれを感じ取れたわけではありません。私が監督の執念に圧倒されたのは前半、アメリカ軍の上官がサーフィンをやるためにベトナムの浜辺を爆撃するシーンです。シーンそのものもショッキングですが、これを撮ったコッポラ監督こそどうかしてる・・・と戦慄しました。

そしてこの狂気のシーンに、一種の爽快感を味わってしまった自分にも少しショックでした。そういう、人の心の根っこにあるデモーニッシュなものを引きずり出す力をもったシーンだとも思います。

ただ、この「力」がこの映画全編によどみなく流れているかというと、残念ながらそうは感じませんでした。とても完成度の高い、執念をもって創り上げられた作品だとは思いますが、私の中ではあのヘリコプターのシーンが際だって突出しているという感想です。

こういうショックを味わわせてくれる作品やシーンには、これから何回出会えるんだろう。


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