庭を歩いてメモをとる

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ベルンハルト・シュリンク「朗読者」

朗読者 (新潮文庫)

出張の際空港で空き時間ができそうだったので、数年前に話題になっていたなと思い出して読んでみました。

1960年頃に、15歳の主人公は30歳代後半の女性と恋に落ちる。その女性ハンナは、主人公に本の朗読をせがむ。しかしハンナは突然疾走。何年もたった後、主人公がハンナを見つけた場所は・・・そんな物語です。

第2次大戦の影がその時代にはまだまだ残っていたことを痛感させられる物語ではあるし、ハンナの生き様は波瀾万丈といってよいものなのですが、静かなトーンが作品全体を支配しています。これはハンナや主人公の抱えていた孤独感なのか、戦争がもたらした悲劇の余韻なのか。わたし自身、その理由はわかりませんが、この独特の静寂が印象深い作品でした。


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