庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

星加ルミ子さん講演・サイン会(ペニーレイン神戸)+ご本

雑誌「ミュージック・ライフ」元編集長で、日本のジャーナリストとして初めてビートルズとの単独会見に成功し、その後も著名ミュージシャンへの直接取材を次々に成功させたことで知られる星加ルミ子さん。その星加さんが神戸で講演とサイン会をなさることになりました。

東京では時々講演などをされていますが、関西では私の記憶する限りでは初めて。この貴重な機会を逃してはなるものかとそのイベントに申し込んだところ満席・・・でしたが、キャンセル待ちを特別に受け付けていただいたところ、後日空きができたとの連絡をいただき、無事参加することができました。


会場のペニーレイン神戸へ

このイベントを企画してくださったのはThe Pennylane Kobe。宮崎県延岡市の観光事業会社「千雅(ちが)商事」が、以前から交流のあったリバプール市と同じ港町である神戸を選び、今年(2017年)の5月にオープンさせたばかりのビートルズ関連展示・イベントスペースです。


f:id:yositeru:20170731055105j:plain

当日昼過ぎ。神戸三宮駅の近くから送迎バスが。ビートルズ現役時代に実際にリバプールを走っていたバスだそうで、なんと粋な計らい。当然エアコンはないので相当暑いですが、このバスなら文句をつける気にはなれません。ちなみに駅から会場まで徒歩だと15分くらいかかります。


f:id:yositeru:20170731055146j:plain

会場ビル入り口。1927年に輸出生糸の検査を行う施設として建設された建物で、いわゆる阪神間モダニズムを感じさせます。

ここが2012年に「デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)」になりました。「デザインやアートにまつわるゼミ、レクチャー、展示、イベントを開催するほか、貸ホール、貸ギャラリー、貸会議室」などがあるそうです。この中の一室がThe Pennylane Kobeというわけです。


f:id:yositeru:20170731055223j:plain
ポスター


f:id:yositeru:20170731055243j:plain
会場入口


f:id:yositeru:20170731055325j:plain
会場内にはビートルズの写真やポスター、書籍などに加え、貴重なディスクやメモラビリアも。


星加さんの講演の前に、ガールズバンドTHE TOMBOYSのミニライブがあり、Tell Me Whyのカバーなどをやってくれました。ただ、普段はエレキでガンガン鳴らすらしいのですがここは会場の制限でアコースティックのみ。それに客層も普段と全然違うはず。健気にがんばっていましたがやはりやりにくそうでちょっと気の毒でした。オリジナル曲はわりと楽しませていただきました。


星加ルミ子さんのお話

そして、万雷の拍手の中星加ルミ子さんが登場。ご本人曰く、神戸へは博覧会「ポートピア'81」以来、とのことですから30年以上ぶり?やはり神戸で星加さんのお話が聴けるのは貴重な機会なんだな、とテンションがさらに上がります。

約1時間、内容はいろんなところで読んで知っていたエピソードでしたが、やはりご本人から直接お話を伺うと臨場感がまったく違います。この方が、日本から持ち込んだ日本刀の真剣をエプスタインに渡して直談判したんだ。この方が、会うことすら困難だったビートルズに会えて、30分のはずが3時間もビートルズを取材できたんだ。この方が、ビートルズに名前も覚えられて、"Fool on the Hill"のレコーディングという貴重な現場も取材できたんだ・・・

星加さんのこういったエピソードは、今聴いても、というかビートルズの研究が進んだ今だからこそより凄さがわかる本当に貴重なものですが、さすがにこのイベントに足を運んでおられる方々は皆さんご存じのようで大きな驚きはなかったようです。ただ、以下のエピソードには感嘆の声が漏れていました。

  • 66年のアメリカ公演(結果的には最後のツアー)にはエプスタインから同行取材に呼ばれ、ビートルズ一行と行動を共にした。朝食でリンゴ・スターと一緒になって、スクランブルエッグなどを取り分けてもらった。
  • 69年のルーフトップコンサートの日も別の用事で偶然ロンドンにいた。電話でビートルズが演奏していることを教えられ現場に行くと、ルーフトップから降りてきたポールに「もうロンドンに住んでるの?」と言われた。

私もこれらのエピソードを知ったのはつい最近ですが、本当に凄いというか、ここまでビートルズ中後期の重要シーンを現場で体験されているというのは神がかり的なものを感じます。そして、そのご本人が目の前でそのことをお話になっているのです・・・

他には、当時の星加さんの上司だった草野昌一さんと訳詞家・漣(さざなみ)健児さんが同一人物ということもあまり知られていなかったようです。
(漣健児さんとビートルズといえば、やはりこれがインパクト大でした。それと東京ビートルズですね。)


星加さんがビートルズの信頼を得た理由

それはさておき、星加さんはそのお話の内容だけではなくて、お話ぶりもとてもチャーミングでした。端々でニコッと微笑んだり屈託のない笑い声を発されたりされるのですよね。ご自身では「運と日本刀でビートルズに会えた」とおっしゃっていましたが、それだけじゃ決してない。ビートルズの厚意と信頼を得られたのは、やはり星加ルミ子さんという人格・キャラクターがあってこそなのだ、ということがお話ぶりやたたずまいからわかりました。

当日のご本人の写真は・・・肖像権の問題などがあるかもしれないので、The Pennylane Kobe公式ツイッター画像へのリンクをはっておきます。
トーク中の星加ルミ子さん(画像)


サイン会

当日、星加さんの本を買った人にはサインと記念写真の特典がありました。もちろん買いました。

f:id:yositeru:20170811112334j:plain
サイン会の様子(プライバシー保護のためぼかしてあります)

このイベントには友人知人がわりと多く参加していたので、サイン会に並ぶ姿をお互い写真に撮っていたりしたのですが、改めてそれを見るとみんなかなりかしこまってるんですよね。もちろん私も含めて。星加さんの前では足をきちんと揃えて手を前に添えて姿勢を正しているのです。その写真を見てちょっと笑ってしまったのですが、一方であれだけの取材を成し遂げた方の前では当然か、とも思いました。

直接ご挨拶できて感じたことは・・・とにかく自然体の方だなあ。冷たいわけでももちろんなく、かといって営業スマイルがあるでもなく。相手に緊張感を与えない方でした。とはいえ私のほうはやはり緊張して、通り一遍のご挨拶をするのがやっとでした。

f:id:yositeru:20170731055525j:plain
いただいたサイン


「私が会ったビートルズとロック・スター」

サインをしていただいた本は「私が会ったビートルズとロック・スター」。

星加さんは何冊も本を出されていますが、その都度異なるテーマを設定されているようです。もちろんビートルズとの有名な数々のエピソードはどの本にも書かれてあるみたいですが、この本のテーマはロックスター本人だけではなくマネージャーやプロデューサーにもスポットを当てる、というもの。星加さんが本当にロック界の多くの人々とお会いになっているのが再確認できる、星加さんにしか書けない本ですね。

特に印象に残った箇所は次の通りです。

  • ビートルズ初取材では、私とビートルズを合わせるべく力を貸してくれた人たちが保護者の如く来てくれていた。ディック・ジェイムズ(ノーザン・ソングス社長)、スターン・スタン(EMI海外販促部長)など。
  • 1967年に"Fool on the Hill"のテイク1のレコーディングの時にスタジオにいたが、帰り際にジョージ・マーティンが「もう帰るの?」と呼び止め、10分ほど話ができた。一番聞きたかった質問「これまでどんな音楽を聴いてきたのですか?」に対する回答は:
    • 「南太平洋」「王様と私」「サウンド・オブ・ミュージック」の楽曲は今でも最高だと思っているよ。
    • レナード・バーンスタインの「ウエストサイド物語」にはとても影響を受けたね。
    • ビッグ・バンドのジャズが好きだよ。デューク・エリントンとカウント・ベイシー、ベニー・グッドマンなんかね。
  • ビートルズの初取材のとき、ビートルズのことはよく知らなかった。イギリスと聞いてすぐ頭に浮かんだのがシャーロック・ホームズ。小中高を通じて読破したと思います。
  • カーナビーツの名付け親はかくいう私。漣健児にバンド名をどうするか相談され、ロンドンの若者に一番人気のあるカーナビ-ストリートとビートを一緒にしてカーナビーツはどうですか?と提案したら採用された。
  • 50年間、多くのミュージシャンやマネージャー、周りにいた人と会ったが、みんな親切で礼儀をわきまえていた。パーカー大佐(エルヴィス・プレスリーのマネージャー)を除いて。

ジョージ・マーティンへの質問は、よくぞ訊いてくれましたって感じですし回答もすごく納得がいきます。

この本には上記以外にもきら星のごとくロックスターたちが登場し、星加さんが彼らに会った時のことが書かれていて興味深いです。ミック・ジャガーが会ってみると音楽やステージとはまったく違って紳士だったこと、ピーター&ゴードンがブレイクする直前に車に乗せてもらったらゴードン・ウォーラーが一方通行を無視したこと、デレク・テイラーとスコットランドのポールの農場に行ったがポールには会えなかったことなど・・・

あと、星加さんがわりと最近(とはいっても流行とは違いますし新しくはないのですが)のデイヴ・マシューズなどもちゃんとチェックされているのが書かれていて、さすがだなとも思いました。


アフター

f:id:yositeru:20170731055438j:plain

サイン会のあと星加さんは退席されましたが、会場側がつまみと飲み物(ギネスとバスペールエールがあったのが「らしく」てよかった)を用意してくださり、ファン同士の懇親会に。もともとの友人・知人のみなさんとも、初対面の方ともいろいろお話し。はじめてご挨拶した方の中にはこのブログやツイッターを見てくださっていた方もいらしてうれしく思いました。

その後は三宮の喫茶店でファン仲間の方々と落ち合って、解散。ビートルズづくしの7月1日でした。そういえば星加さんも、51年前の今日は日本にビートルズがいた日だと講演でおっしゃっていました。


関連メモ



広告