庭を歩いてメモをとる

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カート・ヴォネガット・ジュニア「スローターハウス5」

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)

[物語]
ビリー・ピルグリムはアメリカの検眼医。けいれん的時間旅行者で、人生の過去と未来を行き来できるが、コントロールはできない。若い頃ドイツで捕虜になり、ドレスデン爆撃を経験した。トラルファマドール星人に誘拐され、有名女優と動物園に入れられた。検眼医の旅行で乗った飛行機が事故を起こし、同乗者の大半が死んだ。気がつくとまたドイツで行軍している。目を開けると妻と結婚した日に自分はいる・・・

[感想]
いろんな時代をランダムに行き来するナンセンスの連続なのに、なぜか読みやすく、にくめないユーモアに満ちた作品。そして、このユーモアの中でこそ、連合国側が1963年までひた隠しにしていたというドレスデン無差別爆撃の悲劇性が浮き上がってきていました。

しかしこの小説一番の収穫は、「人が死ぬとき、その人は死んだように見えるにすぎない。・・・過去では、まだその人は生きているのだから」そんなメッセージを、少なくともこの小説を読んでいる間は、受け入れることができたことです。一文では頭から相手にしないような言葉でも、小説全体なら心に染みこむ。そういう物語の力を感じさせてくれた小説でした。



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