庭を歩いてメモをとる

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MY FATHER

マイ・ファーザー 死の天使 [DVD]

[物語]ナチス強制収容所で数多くの人体実験を行ったヨーゼフ・メンゲレ。彼は戦後も南米に逃れ、裁判にかけられることなく生活していた。一方彼の息子ヘルマンは、父に会いにブラジルを訪れるが・・・

[感想]
メンゲレは、ナチ時代にアウシュビッツで囚人をガス室に送るか働かせるかを判別した医師です。彼は同時に双子の子どもに異常な執着をもち、ほとんど価値のなさそうな数々の実験*1を行い、失敗しても成功しても解剖して殺してしまったりしています。

こういう人物の息子として生まれ、しかも父の思想と全く離れていた場合、どのようにして父との関係に折り合いをつけるのでしょう。しかも、訪れた現在の父は地域から感謝されている医師であり、子どもたちのよき遊び相手であったりします。それでいて、ナチ時代から思想や哲学はまったく変わっていないのですが・・・

その苦悩と父への逡巡を、トーマス・クレッチマンはよく演じていたと思います。個人的には、ただ苦悩するだけの展開には消化不良の感もありますが、これが息子ヘルマンの実際の姿(息子の実際の名前は違うようです)だったのでしょうし、父メンゲレを追っていながら余生を全うさせてしまったユダヤ人たちの苦悩でもあるのでしょう。

もうひとつ印象的だったのがメンゲレの態度と思考です。過去の非道に対する責任を感じるどころか責任などまったくないと信じ切っているその姿には、「驚き」と「そうだろうな」の両方の思いを抱きました。悪を成す人にも、それが悪とわかって成す人とそうでない人がいて、当然のことながら後者ほど危険で被害者にとって許しようのない存在はないんだろうな。

そんな感じで、もう一度観るかと言われると多分観ることはないと思う作品ですが、いくつかの忘れがたいポイントのあった作品ではありました。

*1:目に注射して瞳の色を変えようとしたり、双子の血管をつないで人為的シャム双生児をつくろうとしたり。



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