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阪急グループ創始者・小林一三の足跡-第61回イギリス研究会(1) 池田

イギリス研究会のメンバー4人と、少し汗ばむ陽気の中、大阪府池田市へ(今回もイギリスとは特に関係ありません)。

阪急電鉄、阪急百貨店、宝塚歌劇団、阪急東宝グループ等阪急グループを創始した実業家で、車内吊り広告、駅直結百貨店、沿線不動産開発、宿泊特化型ビジネスホテルなどの今は多くの鉄道会社で採用されているビジネスモデルを考案したアイデアマンでもある小林一三(1873~1957)の足跡をたどります。

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晩年の小林一三(パブリックドメイン画像)


阪急沿線に住むようになって7年の私も、一三翁の業績は知っていてもゆかりの地を訪れたことはないので興味津々で参加しました。


邸宅レストラン・雅俗山荘

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大阪[梅田]駅から30分くらい郊外に行き、阪急池田駅を降りると掲示板はチキンラーメンのひよこちゃんだらけ。池田はインスタントラーメン発祥の地だからですね。駅近くには体験型の楽しいインスタントラーメン発明記念館もありますが、今日は駅を降りて博物館とは逆方向へ。


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15分ほど歩き、坂を上り、小林一三記念館へ。


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この中に旧小林一三邸・現レストラン雅俗山荘があります。


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雅俗山荘入り口。


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部屋の様子(4人がけテーブル)。明るく開放的かつ落ち着きがあり、気持ちが華やぎました。


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6人がけテーブルで乾杯。


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ランチ。一番安い4,200円のコースですが味と雰囲気からするとお得感さえ感じます。給仕の方のご説明も丁寧ながらフランクでもあり、気持ちよく楽しく過ごせました。


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奥はシックな雰囲気。


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レストランを出て階段を上り2階へ。


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一三の書斎。


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夫人の部屋。

一三が夫人を大切にしたエピソードが書かれてありました。ただ、実は最初の妻と結婚した直後もこの夫人に会っており、結局最初の妻とは離婚した件については触れられていませんでした。NHKのドラマではきちんと描いていましたが(そのかわり阿部サダヲ演じる一三はちょっと軽い感じでしたが)。


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夫人の部屋のすぐ近くにあるバスルーム。夫人のために設置したのでしょうね。


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応接間。


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裏庭から邸宅を。


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庭にある茶室。


他にも館内には、小林一三の略歴についての説明・展示もありました。大金持ちの家に生まれたわけではないこと(商家だった)、関西出身ではないこと(山梨)、若い頃は小説家になりたがっていたこと、松岡修造さんも子孫の一人であることなどは、あまり知られていないようです。

公式サイト:邸宅レストラン・雅俗山荘 - GAZOKU SANSOU -


小林一三記念館

同じ敷地内にある、一三翁の業績面にスポットをあてた展示があります。

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阪急電車の車内をモチーフにし、そこに一三翁を象徴する帽子とステッキ。なかなか粋な演出。

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「箕面ゆき」創業当時の様子。

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「梅田ゆき」最初は梅田駅もこんなに小さかったんだなあ。

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「神戸ゆき」

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1939年の路線すごろく。自分の住む沿線がすでに今とほとんど変わらないことを確認。ふりだしが梅田で上がりが宝塚。甲子園球場なども見えますね。

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「宝塚ゆき」

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1939年、第二次世界大戦が始まった年の「世界進出双六」。

これがおもしろかった。タイトル部分にフィーチャーされている満州、イタリア、ナチスドイツ、日本の国旗(枢軸国ですね)、今なら出せなさそうな「未開の人」の描写などに加え・・・

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ベルリンでは「右手を挙げてハイル・ヒツトラーと云ふこと」。歴史を知る貴重な資料ですね。

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「東京ゆき」阪急に東京行きはありませんが、東京での事業を紹介。

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別室にはビデオコーナーがありました。そのビデオが映し出されているテレビはパナソニックからの寄贈。

「松下幸之助翁と小林一三翁の交友のしるし」と言えば、松下幸之助に茶道を薦めたのも一三翁だったそうですし、幸之助翁が兵庫県西宮市に邸宅を建てた時には一三翁も招かれています。
経済 - 一三ネットワークの100人 - 小林一三.com(松下幸之助)


雅俗山荘も記念館も、展示物がそれほど多いわけではないのに見応えがあり、レストラン含めて4時間以上楽しませてもらいました。


公式サイト:小林一三記念館 | 阪急文化財団


その後は、数分歩いて、一三翁が収集していた美術品を展示している逸翁美術館へ。


逸翁美術館

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逸翁美術館。

絵巻物の特集でした。酒呑童子の物語など。いつも思うのですが、こういった大資産家の人たちはこれだけの美術品を収集するのもすごいがさらに保管する場所もコストもカバーしていたわけですよね。ちょっと想像がしにくい世界の話です。

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館内にあったゆるキャラ風?一三翁

公式サイト:逸翁美術館 | 阪急文化財団



小林一三の一連の足跡を見て、その業績や人生、人柄もさることながら、阪急グループが実にうまく一三翁をブランドイメージとして「活用」していること、また一三翁がそういった「活用」に応えられるだけの現代的な魅力をもった人物であることを強く感じた次第です。

あと、やはり地元ゆかりの人のことを知るのは愉しいですね。遠くを旅するのもいいけど、身近な人・歴史を少し掘り下げてみるのもいいものです。

つづき


関連メモ

メンバーScouseKatsさんの同じ日のブログ

前回

イギリス研究会のあゆみ


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