庭を歩いてメモをとる

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半日で巡る大和三山ハイキング

フェルメール展のためにせっかく天王寺まで来たので、ここから直通で電車で行ける奈良の橿原市で大和三山をめぐってみようかとふと思い、実行してみました。

行ってみて、歩くのにどれくらい時間がかかるのか、山の険しさはどうか、休憩する場所はあるのか、混み具合は・・・などを経験したので、こちらに書いてみます。


大和三山とは

大和三山は、奈良盆地の南部にある3つの山、畝傍山(うねびやま)、香久山(かぐやま)、耳成山(みみなしやま)のことです。

それぞれが古い和歌に詠まれるなど由緒ある存在で、三山に囲まれた平野部分には、古代の都・藤原京の中心であった藤原宮がありました。

ただ、奈良の有名な観光地、例えば東大寺大仏、薬師寺や法隆寺などからは離れており、公共交通機関を使うと1時間以上かかります。

  • 参考:和歌
    • 香具山は 畝火ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし 古昔も 然にあれこそ うつせみも 妻を あらそふらしき 中大兄皇子(万葉集)
    • 春すぎて 夏来(き)にけらし 白妙(しろたへ)の 衣(ころも)ほすてふ 天(あま)の香具山(かぐやま) 持統天皇 (新古今和歌集 百人一首にも収録)


ロケーションとモデルコース

大和三山のロケーション

今回はまず鉄道で橿原神宮前へ行きました。

  • JR大阪駅からJR環状線または地下鉄御堂筋線で約20分、近鉄大阪阿倍野橋駅へ(天王寺)(ここでフェルメール展を観た)
  • 近鉄大阪阿倍野橋駅から急行で直通約40分、橿原神宮前駅へ

橿原神宮前駅は、初代天皇と言われている神武天皇をまつった橿原神宮があることで有名な場所です。ただし神武天皇両は以前行ったことがあるので今回は行っていません。
(参考:神武天皇陵に行ったときのメモ)

この駅からハイキングをスタートしました。

三山の位置関係


一番上の山が耳成山、左下が畝傍山、右下が香久山です。

三山はそれぞれ数キロ離れています。

今回は三山の間も歩いてみました。

モデルコース(ウォーキング用マップ)

詳細なウォーキングルートは、近鉄が提供しているこのPDFを参考にしました。


畝傍山へ

まずは、橿原神宮前駅から畝傍山へ。

橿原神宮

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橿原神宮。神武天皇をまつるため1890年に創建。
皇紀2679年の文字が見えます。


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境内から畝傍山を臨みます。

畝傍山を上る

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門を抜けるとすぐ登山口が。ここから畝傍山に上ります。


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畝傍山の説明。


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山道。雨でなければスニーカーで十分。


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頂上から見える香久山。

三山の頂上の中ではこの畝傍山がもっとも見晴らしがよく、香久山と耳成山の両方が眺められます。

山道の入り口から頂上まで徒歩約20分でした。


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頂上近くには神社の禁足地があり、ここが信仰の地であることを感じさせられます。

ここで少し休んだ後、香久山を目指します。


香具山へ

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徒歩移動中に目にした蓮華畑とこいのぼり。

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香久山が見えてみました。畝傍山を下山してからここまで40分。

5月の頭にしてはかなり日差しの強い日で、畝傍山から香久山までの徒歩が一番体力を消耗しました。

途中の道は、田んぼと住宅がほとんどで、日差しをさえぎるものがありません。


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さすがに休憩したい気分に。
 
ちょうどいいところに「みるく工房 飛鳥」が。製品には自家牧場の牛乳だけを使っているそうです。


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濃厚なソフトクリームをいただきながら休憩。

ゴールデンウィークの最中ですが、この大和三山巡りで、人が3人以上集まっている空間は、橿原神宮を除けばこちらだけでした。


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お店を出てすぐ、少し北の住宅街に香久山への登山口があります。


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山道。


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香久山頂上。山道に入ってから6分。山というより丘を上ったような感覚です。


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頂上は木が生い茂っていてあまり見晴らしがよくありません。かろうじて畝傍山が見えます。


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香久山についての説明。

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下山すると神社があります。天香久山神社です。


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境内にある「朱桜」(にわざくら)という古名で知られる「波波架の木」(ははかのき)は、その昔、占いに用いられたと言われています。
平成2年の大嘗祭にも用いられたそうです。令和でも使用されるのでしょうか。

参考:橿原市/天香山神社

ここから、藤原京跡を経て耳成山へと向かいます。


藤原京跡を経て耳成山へ

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今度は西へ歩きます。午後なので日差しがきつい。北側には耳成山の美しい姿が見えます。


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藤原京跡に着きました。

香久山を下山して藤原京跡まで徒歩約40分。

藤原京跡から香久山を振り返ってみます。

いくつかの赤い「柱」の復元を除けば、大きな原っぱです。奈良市にある平城宮跡も、20世紀の間はこんな感じでしたが・・・


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藤原京跡を出た後は、北に向かって、こんなあぜ道と、


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住宅地を歩いていきます。耳成山が近づいてきました。


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耳成山のふもとに到着。

藤原京跡から耳成山まで、少し迷って徒歩30分。かなり足が疲れていますが、ここまで来たので耳成山も上ります。


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耳成山の説明。


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山道。


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耳成山頂に着きました。山道に入ってから約15分。香久山を臨みます。

山そのものがきれいな三角形をしている耳成山ですが、山頂からの見晴らしは残念ながら一番よくないです。

ごはん

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下山し、八木駅方面へ向かいます。

耳成山周辺からは住宅も多く、八木駅に近づくにつれさらにお店なども増えていき、「日常に戻ってきた」感覚に。

ごはんをいただく場所はあらかじめ決めていました。以前食事をしておいしかったし、古民家を改装した雰囲気もよかった「カフェ・ハックベリー」です。

(八木駅から一駅南の八木西口駅が最寄なので、耳成山から歩くと30分以上かかりました)


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カフェ・ハックベリー。


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トマトとチーズのドリアをいただきました。

よく歩いたあとのおいしいお酒とごはんは、おいしいだけでなく身体に染み入るような味わいがあり、大好きです。

この日の歩数は、午前中のフェルメール展も合わせてですが、38,000でした。この1年では一番歩いた日になったと思います。


大和三山に上ってみてわかったこと

なんとなく思いついて巡った大和三山。実際に上ってみてわかったのはこんなことです。

  • 連休でも混んでない。
  • 山を登ること自体はそれほどきつくない。
  • でも、山と山の間の移動はなかなか消耗する。ここはレンタサイクルでもいいかも(今回は使っていませんが、橿原神宮前駅近くにあるようです)。ただ、歩いてみてわかることもある(後述)
  • 山と山の間に、休憩する場所(お店)が少ない。特に香久山周辺。
  • 山頂からの眺めは三山それぞれ
    • 畝傍山頂上からは耳成山と香久山が見える。東側と西側が見える。三山の中では見晴らしが一番いい。
    • 香久山頂上からは畝傍山(東側)だけが見える。
    • 耳成山頂上からは香久山(南西側)だけが見える。三山の中では見晴らしが一番よくない。

さて、大和三山を上るだけでなくそれぞれの間を実際に歩いてみる。それはなかなか骨の折れる経験だったわけですが、それではっきりわかったこともあります。

山々の距離がほぼ等間隔で、しかもきれいに並んでいて、その中におさまるように都(藤原京)をつくろうという古代の人々の発想がフィジカルに体得できたのです。

これは地図を見ても簡単にわかることなのですが、現地で自分の足でそれを経験することで、歴史の一端に触れることができたような気がします。

藤原京にまつわる歴史に関心のある方で、歩くのがそれほど苦ではない方は、大和三山を移動も含めて歩いてみるのもいいのではないでしょうか。そんなふうに思っています。


関連メモ

以前、カフェ・ハックベリーや橿原神宮、その近辺を訪ねた時のメモ。


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