大阪のフェルメール展に行ってみると、フェルメールはもちろん素晴らしかったのですが、それ以外にも予想外に愉しめたところがいくつかありました。
大阪市立美術館の建築
まずは会場の大阪市立美術館そのものです。
正面。堂々としながらも品もよく、まさに美術館といった趣き。
エントランスホールの天井。コンサートが催されることもあるとか。いい音がしそう。
2000年の「フェルメールとその時代」展もここが会場でしたが、当時は何も感じなかったな・・・入場までの行列で疲れ果てたせいかもしれません。
なお今回は、フェルメール展の公式ツイッターアカウントで混雑状況をチェックしてから行ったので入場は待ちなしでした(この日は朝8:30~10:00が空いているとツイートあり)。助かりました。
参考:フェルメくん@フェルメール展 大阪(公式) (@Vermeer_Osaka) | Twitter
美術館の裏の庭園「慶拓園」
ところでこの美術館の裏には、こんな素晴らしい庭園があります。
沿革。もと住友家の庭だったのですね。さすが・・・
ちなみに、大阪市立美術館も、土地は住友家が寄贈しています。
参考:大阪市立美術館 | 住友の歴史 | 住友グループ広報委員会
都心であることを忘れそうです。
滝まであります。
しかし、振り向けばあべのハルカス。ここは天王寺なのです。
素晴らしい名画の数々を堪能した後、余韻にひたりながら散策するのに最適でした。
入園料は150円、フェルメール展の大人当日券の1/10以下。
参考(大阪市公式):慶沢園・茶臼山|天王寺動物園
フェルメール展の感想
で、フェルメール展はどうだったのか。
今回初めて観たのは「取り持ち女」。初来日。
取り持ち女
実物を観て最初に感じたのは、客が女の胸に手を当てているその指のまわりだけ絵の具が盛り上がっていること。画集やPC画像ではまったく気づかなかった点です。これだから実物鑑賞はやめられません。
実はこの画、フェルメールの中ではもともとそれほど好きな画ではないのですが、フェルメールの画にしては大きいので混雑していても「観やすい」のもよかったです。
それは「マルタとマリアの家のキリスト」にもあてはまるかと思います。
マルタとマリアの家のキリスト
初期の作品らしく、筆遣いも粗いので全体的に大雑把な印象だけど、大きくて「観やすい」のです。
一方、「恋文」「手紙を書く女と召使い」などは初めて観たときも今回も小ささに驚きましたし、よくこんなサイズにあれだけの緻密で一瞬の緊張を描けるものだと感心しました。
恋文
手紙を書く女と召使い
あと、フェルメール以外の画家の作品も「肖像画」「風景画」「静物画」などジャンルごとに整理されてあったので比較などもでき興味深かった。
個人的に一番気に入ったのは、デ・ホーホ「人の居る裏庭」かなあ。フェルメールに似ているといわれることも多い画家ですが。
フェルメールのいくつかの作品をサンプリングして再構成したみたい、といったら言い過ぎでしょうか・・・でも現物を観ると質感はわりと違っていました。フェルメール作品より線がシャープで、より繊細。デ・ホーホなりの持ち味は確実にあります。
フェルメール作品のうち人気なのは?
ミュージアムショップで複製画が売られていたのですが・・・
「ミルクメイド(牛乳を注ぐ女)」が圧倒的人気でした。
牛乳を注ぐ女
以前、別の展覧会で同じように複製品の売れ行きをチェックしたら、やはり有名なあの画がトップでした。
関連メモ
これまでに観たフェルメールの履歴。20世紀中は海外旅行の合間に・・・というパターンで観るしかなかったのが、今や数年おきに来日してくれるようになりありがたいです。