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結局、どんな飲み方が健康にいいのか - 「酒好き医師が教える最高の飲み方」

お酒が大好き。でも健康も気になる。

少しだけのお酒は身体にいいらしいけど、少しってどれくらい?いろんな話を聞くけど、医学的に証明された信頼できるものはいったいどれ?

そんなふうに考えているお酒好きはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人でした。

そしてそんな人たちへの最高のガイドとなりそうなこの本、「酒好き医師が教える最高の飲み方」。

タイトルからして気になります。で、読んでみました。


タイトルに偽りなし

この本の巻末には取材協力者25名のプロフィールがまとめられていますが、そのうち24名は医師または大学教授です。

そして、どの方からどんな話を聞いたのか、そして数量をともなうお話には表・グラフ等を付記するなどしています。

とにかく、その道の資格をもった人物に丁寧に取材し、エビデンスをわかりやすく提示する。この姿勢が徹底しているのです。「タイトルに偽りなし」といえる本です。

では、その結果、医学的に証明された「健康にいい飲み方」とはいったいどんな内容なのでしょうか。


結局、どんな飲み方が健康にいいのか

こういう内容でした。

  • 健康リスクをとりたくないのなら飲まないのが一番
  • 飲みたいなら1日アルコール20gが許容範囲
ビール(アルコール度数5度) 中びん1本 500ml
日本酒(アルコール度数15度) 1合 180ml
焼酎(アルコール度数25度) 0.6合 約110ml
ウイスキー(アルコール度数43度) ダブル1杯 60ml
ワイン(アルコール度数14度) 1/4本 約180ml
缶チューハイ(アルコール度数5度) 1.5缶 約520ml

飲酒の基礎知識 −公益社団法人アルコール健康医学協会−

・・・これは、お酒好きの方にとっては「そんな殺生な」と言いたくなるような結果ではないでしょうか。

私もそう思いました。少なすぎる・・・(なお女性は、一般的に肝臓が男性よりも小さいので、アルコール許容量もさらに少なくなります)

著者の葉石かおりさんも、このような冷徹な事実に対し、読者と一緒に何度も「がっかり」なさっています(葉石さんが無類の酒好きであるだけに、酒好きの視点が一貫しているため、
ただ事実を提示するようなつきはなしたような書き方になっていないのも、本書のいいところです。)。

でも、お酒って身体にいいというデータもあったのではなかったかな?


少量の飲酒は身体によいのでは?

たしかにそういうデータもあります。いわゆる「Jカーブ効果」といわれるものです。

厚労省のデータ

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/img/a-03-001-2.png
厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒とJカーブ」


これですね。ほら、1日アルコール22g未満だったら(少ないけど)、まったく飲まないより健康にいいじゃないか。

でも、同じ厚労省のサイトに、こんなグラフもあるのです。


https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/img/a-03-001-1.png
厚生労働省 前掲サイト


虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)、脳梗塞、2型糖尿病はたしかに「少量の飲酒のほうが健康にいい」

でも、高血圧・脳出血・高脂血症(中性脂肪)、肝硬変は違います。「少しでも飲めばリスクが高まる」のです。

本書の結論

以上は厚労省のデータですが、本書でも同様の結論が出ています。

というか、より冷徹な結論です。上記の通り、「健康リスクをとりたくないのなら飲まないのが一番」。

そして、「Jカーブ効果が認められているのは、先進国の中年男女だけ」(よかった、あてはまる)とも書かれています。

お酒の「効用」は?

もちろん本書には、お酒の「効用」もしっかりレポートされています。

赤ワインのポリフェノールによる対心疾患効果、本格焼酎や泡盛の血栓溶解効果、日本酒のアミノ酸による美肌効果、ビールのイソα酸による脳内老廃物沈着防止効果など。

しかしこれらも、上記の飲酒リスクを打ち消すことはできません。やはり「健康リスクをとりたくないのなら飲まないのが一番」なのです。



本書からのアドバイス

なんとかならないのかな・・・

そこで、本書からは「工夫のしどころ」が挙げられています。

  • 1週間の「飲み計画」をたて、アルコール(エタノール)総量150gまでにする
    • ただし1日に一気に大量の飲酒はもちろんNG
  • 飲酒中には水をしっかり飲む

その他、飲み始めの油分(オリーブオイルを使ったカルパッチョやマヨネーズを使ったポテトサラダなど)、牛乳、ビタミンU(キャベツなど)が胃の粘膜を保護し、血中アルコール濃度が急激に上がるのを防いでくれる、というようなtipsの紹介もあります。

が、結局、アルコールを摂取してしまうのは同じなので、重要なのは「せめて1週間のアルコール総量コントロール」になるかと思います。

どう管理しようかな・・・


(以下は、本書の内容と関係のない、よしてる個人の試行錯誤の一環です。)


1週間のアルコール総量コントロール - 私の対策

こういう「記録・管理」系はスマートフォンのアプリに限ると思い、いくつか試してみました。

今のところ、「1週間のアルコール総量コントロール」という目的に合っているのは、「うちな~節酒カレンダー」だと思っています。無料です。

これは、「アルコール性肝疾患の死亡率が男女とも全国平均の2倍超」という課題を抱える沖縄県が、「県民に適正飲酒量を意識するきっかけをつく」るため制作したアプリで、「毎日の飲酒量の記録や酔いの状態の把握を気軽に行うことができる」ものです。出典:琉球新報

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カレンダーで記録したい日を選び・・・


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飲んだお酒と量をタップすると・・・(画面は最初から登録されているメニュー。自分で追加することもできます)


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1週間の(あるいはそれ以外の期間の)アルコール量がわかります。


まずはこれを使ってみようと思っています。


iOS版

うちな~節酒カレンダー

うちな~節酒カレンダー

  • Okinawa Prefecture
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料

Android版


「飲める楽しみ」を大切に

お酒好きには厳しい内容が続きました。

しかし、本書の監修者で肝臓専門医の浅部伸一さんは、あとがきにこう書いておられます。

我々の生活は多くのリスクとともにある。あらゆるリスクを排除して少しでも長生きしたい、という「ゼロリスク主義者」には、飲酒は勧められない。しかし、多くの人は、一定のリスクを取りながら、楽しみを見つけて生活している。大切なのは大きすぎるリスクを避けることである。(中略)すべての人がゼロリスクで生きる必要はない。そして、「健康リスク」を取る、ということは、自らの健康を常に意識する、ということに他ならない。

何かを楽しむにはリスクをとる必要があります。徹底的にリスクを排除する生き方なら、海外旅行にも行けませんし、そもそも外出もしないほうがいいのかもしれません。

でもそんなのはまっぴらです。

楽しむ上で、どうリスクを最小限にしていくのか。それが工夫というものだと思うのです。

浅部さんは最後にこうも書いておられます。

「飲める楽しみ」を大切にしたい。

本書を参考に、できるだけ長くお酒を楽しめるように、工夫した上での「飲み」を楽しんでいきたいと思います。




関連メモ

健康

お酒

行きつけのビアカフェでのビール講座の様子。


今はもうないビール工場の見学。


ビールを巡る若手サラリーマンビジネス小説。


村上春樹さんの好きなビールとは。


私の飲んだビール一覧(更新停止中)。

興味深かった本の要約・感想リスト


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