約30年にわたって、男女数名で定期的に集まり続けている友人たちがいます。
ふだんは海外や日本の文化などについて雑談しながらごはんを食べたり旅行したりリモートで話し合ったりしているのですが(詳細は イギリス研究会まとめ参照)、この度、改めてひとつのテーマについて話し合ってみようと呼びかけたところ、みんなが賛同してくれたので、リモートでやってみました。
きっかけは、先日、このグループのメンバーの一人が紹介してくれた経済学者・暉峻淑子さんによる「対話的研究会」の紹介記事。地域の仲間たちが月に1度集まり、政治や経済、社会のことを気軽に話し合える場なのだそうです。これいいな、と思ってまねしてみた次第です。
ルールとして「賛成か反対か、どちらかを必ず表明する」「表明された意見への否定は行わない」「全体としての賛成反対の結論は出さない(各自が意見をもち、その上で対話することを優先)」をあらかじめ設定しました。
クォーター制とは
初回のテーマは「女性クォーター制に賛成か、反対か」。
クォーター制とは、議会や取締役会等において、マイノリティの割合を定めることです。
なお、今回の対話会では、対話をシンプルにするため、このマイノリティは「女性」としました。
例:
- 全議員の少なくとも30%は女性にすること(ルワンダの憲法)
- 取締役会の40%以上は女性にすること(ノルウェーの会社法)
世間の主な意見
賛成か反対か、対話をする前に、世間一般ではどんな意見があるのかをざっと見てみます。
賛成派の主な意見
- 女性の社会進出につながる
- 人材の多様化につながる
- 女性のキャリアにおいてロールモデルが築ける
- 男性ばかりで決めてきた社会の変革のためには、意思決定する側に一定数の女性も必要
- 女性側に参加意識や「私にも変えられる」意識がもてる
反対派の主な意見
- 実力主義に反する
- 逆差別の温床になる
私たちの意見
私たちの意見はこうでした。
よしてる(男性)
- 悩むが、賛成
- 実力主義に反するというが、そもそも女性と男性は同じ土俵にいない
- 例:高校時代(注:昭和末期の話です)、同程度の学力のはずのクラスメイトの女子の少なくない数が、大学入試が近づくにつれ男子に比べ相対的に成績が下がっていった。模擬試験をキャンセルしてそもそも受けない人さえ何人もいた。大学進学以外の道を選ぶわけでもなく、ただ消極的になっていく。
- このように女性にはあきらめが早い人たちがいるのは「女性ががんばってもたかがしれている」「女性は期待されていない」という世の中だと彼女たちが認識したからだろう。この点ひとつをとっても、女性と男性は同じ土俵にはいないと思う。
- 女性の社会進出は男性のためにもなる。「男性=リーダー・しっかりしてて当然・困りごとを解決する役割」というステレオタイプから解放される(そもそも、リーダーシップはその場にいる全員がもつべきもの)。
- 一方で、クォーター制が導入されるタイミングで女性と同じレースに参加している男性は気の毒とは思う。知人のある企業の人事担当者は「(女性の管理職割合を上げるという会社の方針があるから)女性には下駄を履かせている」と明言していた。
- しかし、メリットを考えると、このデメリットもやむなしか。
Aさん(女性)
- 賛成
- クォーター制を導入したのち、「そんなのがあったのか」くらいになるといい。
- 「特別な人でなくても意思決定ができる」ということが認識できるといい。
- (参考)メキシコは男性優位社会だが女性が大統領になった。他の女性候補者もいた。
Bさん(男性)
Cさん(女性・女子校教員)
- 一部賛成
- クオーター制の効果がどこまであるかが疑問だが、国会ならありではないか。
- しかしそれ以前に学校で意識(意思決定への参加意欲など)がつくられる。それを考えると女子高の意味もあるのでは、と思う。
- (参考)実際、女子校はリーダーシップをとりたがる女子が非常に多い。
- [他のメンバーの意見]もともとそういう生徒が女子校を選んでいるというのもあるだろう。
- [他のメンバーの意見](本人のもともとの気質に加え)女子校という場の影響もあるだろう。
その他の話題
- 中国と台湾ってもともと女性が強いイメージがあるよね。同じ東アジアでも日本・韓国とは違う。なぜだろう?
- 埼玉には県立の男女別学校が12校もある*2
- 医科大では女子だけ減点してたことがあったね・・・*3*4
- 逆クォーター制やね。
- こないだ書店に行ったら偉人伝まんがに女性が増えていた。(例:コミック版世界の伝記 | ポプラ社)
関連資料
- 「クオータ制」は導入すべき? 世界各国でも賛否「能力で選ぶべきだ」「画一的では政策立案が停滞」:東京新聞 TOKYO Web(2023年3月18日)
- クォーター制を導入している国・地域:アフリカが68.5%でトップ、大洋州が33.3%で最下位。アジアは44.2%。
- 女性の政治参加へ候補目標義務づけ 超党派で法改正検討 - 日本経済新聞(2021年3月31日)
- 世界経済フォーラム(WEF)によると、世界の国会議員に占める女性の割合は平均で25.5%
- 日本は9.9%で166位
- G7ではフランスが39.5%と最も高く、イタリアの35.7%、英国の33.9%が続いた。ドイツは31.5%、カナダは29.6%、米国は27.3%だった。
関連メモ