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マイナンバー制、賛成か反対か - 対話会 第2回

男女5人がリモートで行う「対話会」。

先日、経済学者・暉峻淑子さんによる「対話的研究会」に影響を受けて始めてみたところ、続けてみようかという話になったので、今度はマイナンバー制について対話してみました。

なお、こんな感じでやってます。

  • 賛成か反対か、どちらかを必ず表明する
  • 表明された意見への否定は行わない
  • 全体としての賛成反対の結論は出さない(各自が意見をもち、その上で対話することを優先)



マイナンバー制とは

デジタル庁によれば、こういうものです。

マイナンバーは、住民票を有する全ての方が持つ1人にひとつの12桁の番号で、社会保障制度、税制、災害対策などの、法令又は条例で定められた行政手続で利用することが可能です。分野横断的な番号を導入することにより、機関をまたいだ情報のやり取りで、同じ人の個人情報の特定・確認が確実かつ迅速にできるようになり、国民の利便性の向上、行政の効率化及び公平・公正な社会を実現します。

なお、今回の対話会では、マイナンバーカードに関連した議論は対象外としました(例:保険証廃止等)。

世間の主な意見

前回同様、対話の前に、賛成・反対双方にどんな意見があるのか、おもなものを整理してみました。

賛成派の主な意見 反対派の主な意見
国民側の手続きの簡略化(例:確定申告、パスポート更新、引っ越し) 個人情報漏洩のリスクが高まる
国・自治体側の手続きの簡略化=税金の節約(例:災害時の給付金申請) 国に情報を管理されることに不安がある





参加者の意見

※参加者の仮名は、各回の意見表明順に「A・B・C・・・」と機械的にふっています。つまり、以前の対話会のAさんと今回のAさんは同じ人とは限りません。

よしてる・・・賛成

  • どんどん進めて金融資産把握を進め、格差是正につなげてほしい(預貯金付番)
    • 今の制度だと「貯金は10万円しかないが所得は900万円」のAさんと、「貯金は90億円あるが所得は100万円」のBさんなら、AさんのほうがBさんよりも自己負担(税・保険料・医療費自己負担額)が高くなる
    • これは、所得は税務署で把握できるが金融資産を国で把握する仕組みがないから。マイナンバーと預貯金口座を紐づけるとこれができるようになる。
    • Bさんのような貯金の多い人の自己負担を軽くしないことで税金を浮かせることが、税収の減った日本ではとても大事。
    • ただ、マイナンバー導入だけでこれだけもめている中、これが実現するのはいつになることやら・・・という軽い絶望感もあるが
  • 個人情報が国や自治体に管理されるのが不安だという声もあるが、すでに国や地方自治体は多くの情報を持っている
  • マイナンバーだけが漏洩しても情報は分散管理されている
    • ただし、カードのパスワードまで知られるとなりすましによる届出・証明書取得のリスクあり。そのためにも生体認証が本来は望ましい。生体認証は盗まれないし、忘れないから。究極の個人情報ともいえるが・・・
  • (参考)フィンランドでは全国民の所得を公開するところまでいっている。これがよいかどうかは別の話だが・・・:

全国民の所得を公開するフィンランド 公開日は人呼んで「全国ジェラシーデー」:朝日新聞GLOBE+

  • (参考)なぜ日本でマイナンバーが普及しないのか、韓国の研究者の考察:マイナカード「プライバシー重視」で普及しない?日韓を比べてみたら:朝日新聞
    • 韓国では冷戦期に食糧配給を受け粛清から逃れるために国民が住民管理を受け入れ、その後に医療保険・年金・運転免許証が普及した
    • 一方日本では、行政サービスが拡大した後にマイナンバーができた
    • 日本でも60年代に統一個人コードの導入が検討されたが、労働組合が反合理化闘争の一環として(本当はコンピュータ導入阻止が目的だが)プライバシー保護を訴えて退けた


Aさん・・・反対

  • 国に情報を管理されることに不安がある
    • 日本は英米に比べて民主主義が発生していない。非常時に声を上げる人がいない
    • 普段はよくても有事に悪用されるのでは(徴兵など)
  • 浮いた税を教育に使うならまだしも、防衛費などに使われても困る
  • マイナンバーのよい面としては、控除がもらいやすくなったというのはある


Bさん・・・どちらかといえば賛成

  • いろんな制度がばらばらにあるから まとめるのによい
  • 行政による管理自体はすでになされている
  • 家族の介護の際、申請主義(申請しないと行政サービスが受けられない)で手間がかかった
  • マイナンバーによる間違いや情報漏洩の心配もあるが、デメリットよりメリットの方がおおきいと思う
  • 日本で導入が遅れた原因は、戸籍があるからでは


Cさん・・・反対

  • 日本には意見をいう土壌がない(アジアの中でも日本は特に)
    • 民主主義も日本の場合は国民が自分で勝ち取ったわけではなく、突然やってきた 
    • 結果、弱い人はたたくのに 強い人は見過ごされるようになっている
  • そんな状況では、マイナンバーも権力者に有利な使われ方をするのでは?という懸念がある
  • 格差是正につながるといっても、政策や担当者が変われば方針も変わる。本当に格差是正に使うかどうか疑問
  • 情報(特に病気に関するもの)が中国やアメリカに漏れるのも不安


Dさん・・・どちらかというと賛成

  • 事務作業が簡便になる
  • 法律や制度の抜け穴利用(脱税など)がしにくくなるのでは



意見表明のあとの対話-意見をもつことの重要性

  • 市民革命がなかった日本と、革命のあった国(特にイギリス)を比べると、やはり民主主義の後輩と先輩という感じがする
  • 意見をもつことは大事だと思うが、日々忙しい中で意見をもち、表明するのにもエネルギーがいる
    • 社会問題を勉強する時間も気力もない
    • 社会の構造的な問題だろうか?(意見をもたせないように日々忙しくさせている?)
    • 参政権年齢の引き下げ等は、国民の政治参加を促しているのか?(政府は国民に政治参加してほしくなさそうに見えるが)
  • それでも、こういう場(対話会)があると、思っていたよりも自分の中から意見も出てくる


ほかの「対話会」

第1回
第3回

関連メモ

この「対話会」はこの会のイベントのひとつです。



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