経済学者・暉峻淑子さんによる「対話的研究会」に影響を受けて始めた、5人がリモートで行う「対話会」。
第4回は、「日本における外国人労働者制度の是非」について対話してみました。
※2025年6月22日におこなったので、参加者の意見はその時点でのものです。
どんな制度があるのか
そもそも、どんな制度があるのか、どう違うのかがわからなかったので、Copilotにまとめてもらいました。
| 制度名 | 就労人数 | 概要 | 主な論点 |
|---|---|---|---|
| 技能実習制度 | 約41万人*1 | 発展途上国への技能移転を目的とした制度。実態は労働力供給手段として機能。 | 人権侵害・低賃金・転職不可などの問題。2027年に「育成就労制度」へ移行予定。 |
| 育成就労制度(2027年施行予定) | - | 技能実習制度の後継。人材育成と人材確保を目的とし、転職やキャリア形成を可能に。 | 転職の自由(一定条件下)、日本語教育義務化、送り出し機関の公的化、地方優遇策など。 |
| 特定技能(1号・2号) | 約28.4万人*2 | 人手不足分野(介護・建設・外食など)での就労を目的とした制度。 | 支援体制の整備義務、転職可否、制度の複雑さ。2号は家族帯同可で長期就労が可能。 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 約39.4万人*3 | 専門職(エンジニア、通訳、マーケターなど)向けの就労ビザ。 | 学歴・職務内容の整合性が求められ、実務経験の評価が難しいケースも。 |
| 高度専門職 | 約2万人(推定)*4 | ポイント制による優遇制度。研究者や高度人材向け。 | 優遇措置がある一方、制度の理解・申請が複雑。企業側の活用が進んでいない。 |
| 身分系在留資格(永住者等) | 約90万人(推定)*5 | 日本人配偶者や永住者など。就労制限なし。 | 雇用の自由度は高いが、在留資格取得までのハードルが高い。 |
| 資格外活動(留学生等) | 約40万人(推定)*6 | 本来は就労目的でないが、許可を得ればアルバイト等が可能。 | 労働時間制限(週28時間)や業種制限あり。違反時の罰則も。 |
どうしても技能実習制度や特定技能が話題になりがちなので、日本の外国人労働者のほとんどがそうなのかな、と思っていたのですが、専門職、つまり技術・人文知識・国際業務ーいわゆる「技人国(ぎじんこく)」もかなり多いのですね。
さて、これらの制度。このままでいいのかどうか。
現在のしくみに賛成か反対かの意見を交わしました。
参加者の意見
※参加者の仮名は、各回の意見表明順に「A・B・C・・・」と機械的にふっています。つまり、以前の対話会のAさんと今回のAさんは同じ人とは限りません。
Aさん(外国人労働者に関係する仕事に従事)・・・賛成だが、一部の制度は一本化したほうがいい。
- 技能実習制度は廃止でいい。
- 特定技能でカバーできるから。
- 外国人労働者受け入れ側の企業から見ると、技能実習生と特定技能1号は似たようなものに見えているのが現状。
- だが、この特定技能もなくていいと思う。
- なぜなら、特定技能の1号は育成就労制度でカバーできる。
- 特定技能の2号も、技人国でカバーできる。レベルもほぼ同じ。
Bさん・・・賛成
- (住んでいる場所で見ると)農業で働く外国人が多いな、という実感がある。近くに寮もある。
- 外国人が働ける制度は必要だと思う。
- 現状の制度にも問題はあるだろうが、技能実習生制度よりも特定技能のほうがましになっていると思う。
Cさん・・・賛成といえば賛成
- 技能実習生制度はイメージが悪くなり過ぎた。
- 外国人を受け入れていくなら、完璧でなくても、制度そのものが必要。
- 外国人の子どもが学校に来たら、学びや経験の幅が広がるのではないか。
Dさん・・・賛成
- デイヴィッド・K・シプラーの「ワーキングプア」という本を読んで、考えさせられることが多かった。
- 現状の制度には、課題はあるとは思うが、賛成。
- 外国人労働者が増えることには問題もある。たとえばイギリスだと、外国人の医者が増えて、最後まで患者の面倒を見てくれないケースが増えている。
- それでも、外国人労働者がいてくれるから自分の生活も成り立っていると思っている。
よしてる・・・賛成
- 労働人口がどんどん減っていく日本には必要不可欠な制度。
- 外国人を労働力としてしか見ておらず、日本に受け入れたいのかどうかわかりにくいという意見もあるが、日本は外国人を大幅に受け入れることなく何百年もやってきた共同体なので、急に多くの外国人と共生する状況になってもうまくいかないと思う。だから、中途半端な状況が何年か続くのは仕方がない。
- しかし、人権問題だけは早急に、確実に対処・改善が必要。技能実習生制度では特に、勤務先を変えられないことが大きな問題だった。その点が改善されたのはよかった(まだまだ不十分だと思うが)。
- 中途半端な状況も仕方ないと言いつつ、今の受け入れペースで日本の労働人口減をちゃんとカバーするのは難しいのでは、とも思っている。この点、どうすればいいのかの答えは自分の中にまだない。
ほかの「対話会」
関連メモ
この「対話会」はこの会のイベントのひとつです。
