朝の小浜
2日目の朝。ホテル窓から。いい天気になりそう。
朝からやっているお店があるそうなので、港に向かって歩いて行きます。若狭小浜おさかなセンターという魚市場のようなところです。
そのお店、刺身処・五右衛門。ここにもオバマさんがいますね。
6時半前に開店。ここで海鮮丼をいただきます。さすがだと思ったのは魚が冷たくないこと!感激。本当においしかった。
幸せな気分で朝の静かな町をゆったりと歩いてホテルへ戻ります。信用金庫までこんな店構え。味わいがあります。
人生について考える
ホテルの部屋で、朝、頭がすっきりしている状態で、かつおいしいご飯を食べて気持ちのよいこのタイミングで机に向かって人生について考えます。今大事にしたいこと、感謝していること、課題だと思っていることを思いつくままにどんどん書き出していく。
去年までは、この「人生について考える一人旅」では、旅の一日目の夜、お風呂もごはんも終わっていい気分の時にこの書き出しをやっていました。ただ、気持ちが自由になる反面眠くなりやすいという問題があったのです。なので今回は朝にやってみたのですが、目がさえているだけでなく書き出しも整理もさくさくできて非常によかったです。
ちなみにこの「書き出し」はこの本を参考にしています。少なくとも私には、考えや悩みを整理するのにうってつけのやり方。
鯖街道の起点と魚屋食堂
ひとしきり人生について考えた後は、ホテルのすぐ近くにある「ちりとてちん」のロケ地に向かいます。
まずはホテル正面の斜め向かいにある、主人公のお母さん糸子が服を値切ろうとしていた呉服屋さん。今はドラマ撮影当時よりもかなりシックで落ち着いた雰囲気になっています。この日は定休日でした。
ホテルの脇には商店街があります。鯖街道の起点だそうです。
そしてこの通りにあるのがあの魚屋食堂!ドラマでは中に食堂がありましたが実際には食堂はなく魚売り場だけがあります。
店の脇には「ちりとてちん」出演者のサインがずらり。お店のおばさんと一緒に写っているのは魚屋食堂の娘・野口順子役の宮嶋麻衣さんです。
ここで、ドラマに頻出する焼き鯖をいただきたかったのですが、お店の方曰く「ごめん、今日はないねん・・・事前に言っていただければ用意できたんですけど。ごめんなさいね。」それは残念・・・ちなみに昨日はありました。食べておけばよかった・・・
ドラマのようにお店の前で誰かとけんかしたら仲裁のために焼き鯖が出てくるかなとも思いましたが、その時商店街には私しかいなかったので断念。
小さな商店街ですが、鯖街道資料館があります。小さなスペースながらもいろんな展示が充実していました。京都とのつながりも詳しく書かれてあり、私の地元・関西と小浜の結びつきを感じることができました。
まちの中心部へ
少し歩いて街の中心部へ。
まず向かったのが杉田玄白記念公立小浜病院(杉田玄白は小浜藩医でした)。ここは和田太郎先生(主人公のおじいちゃん)が入院したところです。
すぐ近くに小浜市役所があります。この記念碑を見ると、ドラマにとても力を入れていたことがわかります。(この後、その当時の市役所の協力体制も知ることになります。)
中心部から港のほうに向かっていくと湧水が出ているところを見つけました。「雲城の水」というそうです。
平日の昼間でしたが人が絶えることがあまりなく、みなさん、この湧水をペットボトルにくんでいました。
私も味わってみました。すっきりしておいしい水で、港のすぐ側にあるのですが塩味を全く感じませんでした。
若狭おばま食文化館
ここから西のほうにしばらく歩きます。
目的地は若狭おばま食文化館なのですが、その前に向かいにあるレストラン「濱の四季」に。
ここで先ほど残念ながら食べられなかった焼き鯖を。お箸はやはり若狭塗箸です!小浜づくしのこの焼き鯖定食を、ああ、小浜で焼き鯖を食べられた・・・と感慨深くいただきました。
入り口入ってすぐの1階では、杉田玄白没後200年記念展示として江戸の食文化と杉田玄白の業績についての展示がありました。
年明けNHKで杉田玄白のドラマをやるそうなのでいい予習になると思ってじっくり見ました。なんと解体新書の本物もありました。
(参考)ドラマについて:この記事は削除されました |NHK_PR|NHKオンライン
1階には奥にも常設展があり、そちらの展示もかなり充実しているのですが、まずは2階へ。若狭塗箸制作体験ができるということです。
2階。若狭の伝統工芸についての展示と体験コーナーがあります。
塗り箸体験
スタッフの方に声をかけると、すぐにでも体験できるということでした。
専用の机があってそちらに案内されます。研いだお箸を洗うための水も出ています。
まな板のような作業台と、まだ真っ黒で模様が出ていないお箸、それから紙やすりが手渡されます。
ここで職人の方から説明を受けます。やすりがけをしていくこつなどを伺ってから実際に作業に入ります。
お箸をやすりで研いでいくと、お箸の中に塗り込められている色が塗られた卵の殻とアワビの貝殻がきれいな模様になって浮き出てきます。それとともに研がれたお箸の表面が粉になってやすりにくっついて行き、だんだんと研ぐことができなくなっていきます。
そんなに力はいらないのですが、浮き出る模様の幅が均等になるように一部を研ぎすぎたり研ぎ残しないようにしていくのがこつです。
模様がよい塩梅に出てきたら、お箸に水をかけて出来上がりです。このあとの微調整は職人さんがやってくださいます。
やってみると、無心になってお箸を研いでいく作業は心を落ち着かせるのにもよかったと思います。最初はいろんな関係ないことが頭の中に浮かんだり消えたりするんですが、そのうちお箸に集中していくんですよね。
お箸を一膳研ぐのには約40分かかりました。力は大していらないとはいえ楽な作業でもないので、これを一日中やっていると相当きついだろうなと言う気もします。
このお箸は持って帰ることができます。それで体験料と併せて料金が800円なのですから、かなりお得で、「ちりとてちん」ファンにとっては本当にいい記念になるものでした。
塗り箸職人さんのお話
この後、他に体験希望の人もいなかったようなので、塗り箸職人さんに「ちりとてちん」が好きでそのために小浜に来たんですよ、とお話しすると、職人さんから貴重なお話を伺うことができました。
「ちりとてちん」について
- 私(職人さん)は、ドラマでロケ地になった小学校と中学校を卒業しました。小学校はその後取り壊されてしまいました。中学は、ドラマでは高校になっていましたね。
- いったん職人にならずに町を出たんですが、28歳の時小浜に戻ってきて跡を継ぎました。
- (よしてる)え、じゃあドラマの主人公のお父さんと似てますね。
- ドラマの放送前に、作家さんかな・・・女の方と、NHKの方が父に話を聞きに来たんですよ。4時間くらい話し込んでました。作家の方はノートに熱心にメモをとっていました。私は何にも聞かされてなかったので、てっきり伝統工芸の番組でも録るのかと思ってたんですが、今思うと、「ちりとてちん」のための取材だったんですね。
- 和田塗箸店のロケに使われたのは個人の家です。番組のスタッフがここがいいと言ったので、小浜市の人がその方を説得して撮影に使えるようになったんですよ。
- ロケが始まった時はね、市役所に「ちりとてちん課」という撮影などに協力する部署ができて、職員が3人配属されていました。
- 放送されている間はそうでもなかったんですが、放映が終わってからどっと人が小浜に来ましたね。小浜駅にあんな人がいるのは見たことがなかったですよ。
- この記念館はドラマ放映の直前に、ドラマとは関係なくオープンしたんですが、ロケの間、出番まで時間のある俳優さん、特に子役さんなんかが遊びに来てくれましたね。今、この2階は静かですけど、ドラマ放映後はここからレジ(数メートル先)が見えないくらい混雑したんですよ。
塗り箸について
- 小浜の漆器職人のグループは4つ、塗り箸専門は一人だけです。でも、なくなってしまうとは思ってなくて、若い世代で継いでくれている人もいるし、まだ続いていくと思っていますよ。
- お箸は、お値段いろいろありますけど、すべて手作業のものだと一膳1万円以上はしますね。
- 手作業だと最初から最後まで仕上げるのに早くて半年はかかります。もっとかかるものもありますよ。
「興味深い」を通り越して、ドラマのファンとしては感激の、非常に貴重なお話でした・・・
最後に職人さんにお礼をお伝えしつつ、「すごく貴重なお話なので、差し支えなければ伺った内容を私のブログに載せたいんですが、かまいませんでしょうか」とご相談すると、「どうぞどうぞ。すべて本当のお話ですからね。」と快諾いただきました。
この後は、ドラマで何度か登場する、あの「線路が前を通るお寺」に行こうと思ってるんですよ、と職人さんにお話しすると、「いいところですよね。私も子どもの頃よく遊びました。」とのことでした。(続く)
この旅のメモ
続きのメモ
前日のメモ
他の年の「人生を考える一人旅」