庭を歩いてメモをとる

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リマ~ナスカの地上絵~帰国

リマへ

昨日は5時間程度寝ることができました。時差にはかなり順応してきたようです。でも空気の薄さには慣れきっておらず、ごく軽い頭痛がします。とはいえこの朝で高地での旅は終わり。昼には頭痛から解放されることでしょう。

ホテルで朝食を食べた後は、飛行機で首都リマへ向かいます。


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朝のティティカカ湖。


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空港のギャラリー。スペイン人に虐げられるインカ人の絵も。


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空港の電話ボックス。

途中別の空港に立ち寄り、数時間でリマに着きました。はっきりと呼吸のしやすさがわかります。空港では、日本人のガイドの方が出迎えて下さいました。また観光バスに乗り込み、リマの市街を走ります。

リマは、旧市街と新市街にわかれています。それは、バスから市街地を見てもはっきりわかりました。まず、旧市街は恐ろしく古い車が走っています。ドアに穴が空いていたりするのはそんなに珍しくなく、中にはエンジンから火を噴いて止まっているワーゲンもあるくらいです(捨ててある車ではなく、持ち主が水をかけて消そうとしていた)。もちろん街並みも古いです。それに比べ、新市街は街並みも車も新しい。また、緑も多いです。リマはもともと砂漠の気候で、人が手入れしないと植物が育たないので、緑が多いところ=お金のあるところ、だそうです。

そんな新市街のレストランでランチを食べました。お店のピアニストは、日本人の私たちを見て、「上を向いて歩こう」を演奏してくれました。


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リマのアルマス広場。

その後は、天野博物館へ。ペルーのチャビン文化を世界に紹介した実業家・天野氏が収集した土器を展示しているところです。実はここはあんまり期待していなかったのですが、日本人の説明員さんがガイドしてくれたので、ただの土器が俄然面白いものに変わりました。土器の模様の意味や見方を教わるだけでこんなに興味の度合いが増すとは驚きです。おかげで面白く見学できました。

一方、次に訪れた黄金博物館は、それほど楽しめませんでした。率直に言うと物置のようなところという印象です。照明が切れていたりほこりっぽかったりしているし、ただ雑然と展示物が並べられているだけだったので。なお、展示物は1Fが武器、地下は黄金、2Fは織物と別れていますが、この中ではやはり黄金が一番面白く感じました。

以上でリマの観光は終了。ちょっとかけ足な感じのスケジュールですが、実質5日間の日程でクスコ・マチュピチュ・ティティカカ湖・リマ・ナスカの地上絵が盛り込まれているお買い得なツアーのだから致し方ないところです。この後、リマを離れナスカに近いパラカスのホテルへ。3時間のバス行程を経て21時30分に着いた後は、夕食をとってすぐ寝ました。

バジェスタス島

ついにペルーでの最終日を迎えました。もうこの国で過ごすのも今日限りかと思うと、毎日飲んでいるコカ茶もつい味わって飲んでしまいます。 朝食後はホテルの桟橋から出る船に乗り、動物の楽園・バジェスタス島のクルーズです。

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最後のホテルはこんな感じのリゾート風ホテル。夏に来たら快適に過ごせそう。


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島に向かう途中にある地上絵。ナスカのものとは似て非なるもので、インカ人が描いたのかスペイン人が描いたのかもわからないそうです。燭台とも矢印とも言われています。


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島には鳥やアザラシがたくさん。


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鳥の大群にも遭遇。写真で見るとそうでもないですが、実際に見ると恐ろしいほどの迫力でした。


ナスカの地上絵

島から戻ったあとは、バスで最後の観光に向かいます。ナスカの地上絵です。ついに来たか、という気持ちの中、マチュピチュ以上のテンションの高まりを感じます。もちろん私以外にもこれを一番の楽しみにしていたという人も多いようです。 地上絵の観光は、ナスカ付近のイカというところからセスナに乗り、上空から見るという形になります。幸い、クルーズでは少し曇っていた空も、ナスカに来ると快晴に変わりました。

飛行場には3~4台のセスナがあり、観光客をピストン遊覧します。待っている間は、地上絵紹介のビデオを見たりして時間をつぶすものの、やはり緊張します。地上絵を見たい気持ちだけでなく、本当にあんなセスナで事故は起きないのだろうかとか、砂嵐で地上絵が見えなくなったりしないだろうかという不安感も緊張をあおります(両方とも実際に起こったことですし)。

そうやって待つこと2時間。ついに自分たちの順番が回ってきました。私はパイロットの横、一番前の座席です。


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セスナ機。これは私の乗った6人乗りのもの。これより大きなものも小さなものもあります。


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コクピット。

エンジン音や内装からして中古の軽自動車みたいな感じなので、離陸直前まで不安でしたが、ちゃんと飛んでくれました。すぐにイカの街が見え、それから約30分たったころ、パイロットの兄ちゃんが威勢良く叫びました「アストロノーツ!」。


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宇宙飛行士。

最初に地上絵が見えたときは、写真で何度も見てきたものが新しく命を吹き込まれて現れたような、実物をこの目で見たときにしか味わえない感触が体中を覆いました。

中学生の頃、私はゲームセンターに行くのが大好きで、特にナムコの「ゼビウス」というゲームにはまっていました。この作品は、ただプレイして面白いだけではなく、キャラクタ設定の緻密さやバックグラウンドストーリーの存在など斬新で映画的なアプローチが話題を呼び、その後のビデオゲームに多大な影響を与えました。その「ゼビウス」には、ナスカの地上絵が登場します。また、サウンドトラックが史上最初のゲームミュージックのレコードとしてリリースされました。私はこのゲームをやっていた頃から、いつかナスカの地上絵を見ながらそのサントラを聴いてみたい、と思っていたのです。それを実現できる時が、やっときたというわけなのです。

「宇宙飛行機」以降、「猿」「手」「ハチドリ」「木」など、特に「ゼビウス」に登場する「コンドル」の地上絵を、細野晴臣がアレンジしためくるめく音世界とともに眺めるのは、中学生の頃からの思いの積み重ねも相まって、心を震わせるのに充分な出来事でした。



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ハチドリ。


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コンドル。


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木。道路と展望台のやぐらと比べると、地上絵の大きさがわかります。

しかし、そのような「しかけ」がない場合、地上絵観光には十分注意しなければなりません。乗り物酔いの可能性があるからです。特に今回のパイロット氏はサービス精神が旺盛だったようで、2列ある座席の両サイドのお客に平等に地上絵を見せてあげようと地上絵をひとつ見る度にいちいち旋回し、そのたびに"good?"と明るく確認してきました。私以外のみなさんにはかなりきつかったようです。女性は4人全員、着陸後速攻でトイレに駆け込んでいらっしゃいました・・・

最後のクライマックスを経て、無事セスナから帰ってこられたという安堵感と、パックツアーながら旅程をこなしてきた達成感がおしよせていたのでしょうか、その後の昼食では、みんなとてもリラックスした笑顔を見せていました。私ももちろんそうだったと思います。あとは、あの長い飛行機の旅に耐えるだけです。

帰路

バスで4時間ゆられた後、夜のリマの空港に着きました。ここで、とてもあわただしい経験をしました。コカが日常的に手に入るペルーに対するアメリカ政府の麻薬取り締まりの関係で、空港係員が乗客一人一人にセキュリティチェックの質問をするのです。どこで荷物をパッキングしたかとか、他人の荷物が入っていないかとか・・・・そうやって「運び屋による密輸」を防止しようとしているのです。そしてその後、添乗員ではなく各自が一人一人チェックインしていきます。結果的に買い物をする暇もなく、ぎりぎりで飛行機に乗り込みました。

帰りも往きと同じで、マイアミとサンフランシスコ経由でした。機内では村上龍「エクスタシー」を読んだり、モバイルギアで旅行日記を書いたりして過ごしました。

あまりの長距離フライトに疲れた往きと比べ、帰りはあっという間に感じました。本を読んだりしていたせいもあるでしょうが、やはり旅行で経験した「忘れがたい非日常」につつまれていたおかげだと思います(盗難事件は残念でしたが)。添乗員さん、ツアーメンバーのみなさん、ガイドさんには心から感謝しています。どうもありがとうございました。


後日談

旅行が終わって1ヶ月ほどたったある日、私はツアーメンバーのある方と、私の撮った写真を渡すため、銀座で食事の約束をしていました。待ち合わせ場所で会ったその方が真剣な表情で開口一番「びっくりするニュースがあるよ」。 四季の旅社の倒産のニュースでした。

添乗員さんはどうしているのかな。お元気でいらっしゃることをお祈りします。


この旅の最初のメモ


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