2024年10月27日の衆議院選挙について、総務省から確定版と思われるデータが出たので、前回選挙同様、得票率と議席率の差を集計してみました。
小選挙区
有権者数全体から見た得票率
この視点で見ると、与党に投票している人は2割ちょっと、今回議席の上では大幅増となった(票数は前回からたいして変わっていませんが)立憲民主党も15%程度しかいないことがわかります。つまり、国民全体から見れば、与党も野党も「民意」を盾にできるほどの積極的な支持(投票)は得られていない。
得票率と議席率の差
いつものように、得票率と議席率には差が出ています。今回大敗したといわれる自民党でさえも、そして立憲民主党も、得票率より議席率のほうが増えており「下駄をはかせてもらっている」状態なんですね。逆に共産党、維新、参政党などは議席率のほうが減っています。これらは「過小評価されている政党」といえるでしょう。
この差分もグラフ化し、差分の大きい順に並べてみます。
こういうふうに、得票率と議席率にはどうしても差が出てしまうんですよね。プラスにもマイナスにも。これは選挙のしくみ上(特に小選挙区の場合)しかたのないことではあるんですが、可視化してみて、改めて次のことを思いました。
- 議席数を増やした政党、特に得票率より議席率のほうが高い政党は「民意」を盾におごらず、責任感を新たにして政治に取り組んでもらいたい。
- 選挙はあくまで民意反映のひとつの手段にすぎず、不完全なもの。だから選挙以外の政治参加手段は否定されるべきではない(もちろん、手段にもよりますが)。
なお、グラフの元データは次のとおりです。
比例代表
比例代表はさすがに小選挙区ほど差は開いていないですが、それでもやはり得票率と議席率の差は存在します。
そして差分順位を見ると、政党の顔ぶれがけっこう違っているところが興味深い。
得票率より議席率がプラスになっている「下駄ばき政党」の1位2位は自民と立憲で変わりませんが、3位は小選挙区でマイナス1位だった共産。
代わってマイナス、つまり「過小評価政党」の1位2位に入ったのが国民民主とれいわ。
そして参政は小選挙区でも比例でもマイナス(ワースト)3位、維新は小選挙区でマイナス2位かつ比例でもマイナス4位で、どちらの選挙でも「過小評価政党」となっています。
元データはこちら。
注釈
- データは令和6年10月27日執行衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査結果調(2024年11月1日総務省自治行政局選挙部)によります。ただし、「棄権・無効」は有権者数から投票数合計を差し引いた値で、同文書に基づいていません。
- 小選挙区の「諸派」にどの政党を含めるのかも、前掲文書によります。
前回(2021年衆院選)の集計結果