入場前
- 午前中に関西での仕事を終え、新幹線に飛び乗る。
- 去年のVIP中止お詫びの品と妻手製のNEWバッグ&ボトルホルダーで参戦。
- 15:15ごろ武道館前に到着。すでにものすごい人。
- いい天気なのはよいがこの日差しの中限定グッズに並んでもらった友人に申し訳ない思い。
- グッズ売り場の前あたりでポールの入り待ち。
- 16:20ごろ、係の方から「まもなくです」とわざわざアナウンス。威圧的でなく「安全のためにお願いさせてもらってます」と割とやさしく案内してくださっていて、一緒にいた友人と「DJポリス的でなかなかいいね」
- 16:33、ポール登場!しかし待ってたところと反対側(右側・外車だから助手席に乗っていたことになる)なので手しか見えなかった・・・
- (左上の自動車から出てる手がポールの手です・・・)
- 何はともあれ、ポールが会場に来たんだ。去年国立競技場であのアナウンスを聞いたのでそれがどれだけ重要なことかは身にしみてわかっている。ポールの姿を一瞬見られたことよりそのことがうれしい。
- その後は武道館正面で記念撮影。
- 友人たちが集まっている公園エリアに。レジャーシートをしいてお酒飲んだり歓談したり。混雑もなくわりと静かでゆっくりできた。関西在住で武道館にはこれが2回目という私はこんなエリアがあること自体知らなかった。
- 武道館には何回来たかわからないくらいの友人曰く「武道館で開演前のこんな時間からこんなに人が集まるのははじめて見た」
- 時折席をはずして他の友人に挨拶しに行ったり。待ち合わせしなくても、ちょっと歩くとおつきあいのある同志に出会える同窓会のような場。ポールのライブはいつもそうだけど、今日は余計に「同志」感を感じる。”Come and keep your comrade warm." 平日昼間とは思えない。韓国から来られた方にも挨拶できたし、20年ぶりくらいにお会いする方も。
- 公園エリアではリハーサルの音漏れに耳を傾ける。Penny Lane、Another Girl. おお。これほんとにやったりしてはははとか冗談を言い合う。C Moon、It's So Easy。
- 友人たちに「(曲予想をわくわくしながら話しているが)ライブ終わったら、始まる前に予想してたときが一番よかったなあとか言ってたりして」と暴言を吐き「言霊ってあるから気をつけようよ」と笑いながらやんわり諫められただめな人は私です。
- 18時過ぎから入場の列に入る。しかし武道館と反対方向にどんどん進む。それだけ迂回させられているのだ。関東の友人曰く「こんだけ武道館から遠くまで並ばされたの初めて」
- この時点でけっこう疲労を感じ道の脇に座り込んだりした。
入場後、開演前
- 18:45 やっと入場。
- 席はキョードー大阪で並んだときからスタンドに決めていた。背が高くないのでアリーナ後方ではつらいことと、やはりビートルズ武道館公演ではアリーナはなかったから。
- スタンド1階南東の前方。この席を引き替えてくれた友人に感謝(後でもっと感謝することになる)
- しかしステージ、こんなに近かったっけ!当たり前だがドームと全然違う!
- サプライズ、やるんだ。可能性を考えることを忘れていた。公演が楽しみというかドキドキすぎて。
- DJがライブ出演。ここからして特別感が漂う。
- でも流す曲もリミックスも同じなんだな。
- 何はともあれもうこの段階から熱気が全然違う。すでに「個人的ライブ経験の殿堂入り」が開演前から確定。
- 客席にいたファンらしき方から呼びかけがありスタンドでウェーブ開始。この熱気をアクションに昇華させる感じ。企画・実行された方には敬意を表します。
- でも思ったより回数が多かったので後半は座ったまま参加しました・・・
- ウェーブはアリーナにも波及した。この「自発的広がり感」に心が震える。
- しかし時間が押し過ぎている。今日夜行バスで帰る関西の友人や他の同じ境遇の方々の心境はいかに・・・
- DJセット、Silly Love Songsの手拍子のすごかったこと。世間(テレビとか)では「リベンジ」「ビートルズ以来の武道館」とか言われているけど、予定やりくりして大枚はたいてここに来ている人たちの大半はウィングスを期待しているんじゃないかという予想が確信に変わった。
- The Endが終わった・・・
ポール・マッカートニー 日本武道館公演
- ここまで長かったしいろいろあったけど、ポールの勇姿を見た瞬間すべてが吹き飛ぶ。
- このカウント、何?Eight DaysでもMagical Mystery Tourでもないけど・・・
- Can't Buy Me Loveかー!Venus&Marsだったらとかいう願いももうどうでもよくなる(今でも聴きたいとは思っているけれど)。
- このポールの「おりゃー!どう?びっくりした?いいだろ?(子どものような笑顔)」というようなオーラ全開だから(このオーラがポールライブの魅力の相当割合を占めていると個人的には思っています)
- そして、ポール側も武道館を特別視していることががつんと伝わったから。
- 数曲進んでいく毎に、ドームとはステージまでの距離も違うが音も違うなあとしみじみ。
- オーディエンスも違う。まったく違う。気合いの入り方が。
- ポールの真っ正面、最前列から数列までの方々は特にすごい。ポールも大喜びだろう。
- イメージフィルムがスクリーンに出ないのもソリッドでいいなあ。
- 演奏もかっちり、シリアス、タイト。かっこいい。
- ポールもバンドもこの夜が特別だと思ってくれているのか。あるいはオーディエンスの反応からアドレナリンがいつもより放出されているのか。そう思うとこちらの高揚感がさらに!
- (後日「スカパー放送があるからかも」との友人のコメントもあった。そうかも。)
- One After 909!
- 次に隣の友人と私が狂喜乱舞したのは
ウクレレフラットマンドリンがDance Tonightのイントロを奏でた瞬間。 - これはほんまもんのスペシャルなライブや!(関西人ですので心の叫びは関西弁にならざるを得ません)と腹に感じ入った。
- ポール、いつもより日本語少ない。英語メイン。
- フィルムと日本語の位置づけが低下していることから、ポールとオーディエンス両方がポールとバンドの音楽に集中する構成になっていることへの確信が深まり、じいんとしてくる。
- いや、そうじゃない。ポールは明らかに今日のオーディエンスが普通じゃないことがわかってきている。だから「思わず英語でしゃべっている」のではないか。そう思い直して、あのポールを揺さぶっている事実にさらに胸が熱くなる。
- NEWのエンディングやり直し。これもいつものポールっぽくない。演出の一部じゃなくて「思わずやってしまった」ハプニング。これもポールが「武道館の熱気」にあてられたから?いつも驚かされ、心動かされる一方だった私たちがポールを揺さぶっている?
- さらに考え過ぎかもしれないけど、日本は外国よりも新曲でしっかりリアクション返すからというのもあるかなと思ったりも。
- 何はともあれこういうとき一発でついてくるバンドもプロだなあと改めて思う。
- 「セカイハツ」って?
- Another Girl!
- リハーサル音漏れの段階ではネタにしていたくらいだったけど本番はもう別物。ぶちかまされた感じ。
- いや、ええ曲やと思うよ(豹変)
- これでこれからこの曲聴く度にしびれるようになるやんか!(過去にもFigure of EightやDrive My Carなど主にオープニング曲でこの「刷り込み」がなされた)
- どうしてAnother Girlなのか?この謎も、ポールらしいというか。
- Got to Get You into My Life!
- 曲そのものの盛り上がりでは、武道館一番はこれだったと思う。
- やはり80年か。やはりウィングスか。
- Let It Beが始まると・・・
- このLEDバンドの仕組み、初体験だったこともあり自分にとってもサプライズだった。
- この時点ではこの「白色」だけだと思っていた。
- Let It Be直後のポールの表情。
- このポールの驚きぶりを見ると、こちらが「どう?びっくりした?いいだろ?(子どものような笑顔)」をする番だ。
- Live and Let Die。スタンドでも炎の熱さを感じられるってさすが武道館、と変なところでも感心。
- この辺りになるとセットリストがどうとかウィングスもやってほしいとかは頭の中から消え去っていた。
- (I. Yamanoさん撮影)
- LEDバンド、こんなこともできるんだ。
- キョードーさんには言いたいこともいろいろあるが、ポールを呼び続けてくれていることとこのサプライズに関しては感謝しかない(言いたいことも感謝も別途キョードーに文書でお送りする予定。次に活かしていただきたいのと、直接伝えることが大事だと考えているので。)。
- サプライズがオーディエンスからのものでないことは少し残念な気はするが、今回のサプライズがある方とない方となら圧倒的にある方がよい。
- ポールの表情がわかる角度だし、スタンドやアリーナのLEDの状況もわかるし、肉眼でもポールの表情がわかる距離だしで、このスタンドS席(1階南東)は本当によかった。体力面でも時々座れるのも助かったし。とってくれた友人Mさんに感謝Again and Again and Again.
- もちろんアリーナにはアリーナの、A、B、Cにはそれぞれのよさもあるだろう。後日、ステージの真横の席の方の写真を見てそう思った。
- Birthday、もうポールの「君らがそこまでやるんやったらこっちだってやってやろうじゃないか」的気迫を感じる。
- ラストのメドレーでLEDバンドの色がめくるめく変わる様を目の当たりにして、これは最後の完全燃焼への盛り上がり、夢が終わる瞬間が迫っている切迫感、こんな経験をさせてもらったことへのあらゆる方面への感謝など、すべての感情がないまぜになった心境を代弁してくれているかのようだと感じる。
- The Endが終わろうとする瞬間のポールの表情。
終演後
- 言葉がない。
- 通路にはビートルズ日本公演の写真が。多くの方が写真を撮っていた。
- 高校生らしき人たちの一団とすれ違った。C席の人たちだろうか。彼ら・彼女らは、50年後くらいに「あのポール・マッカートニーの武道館公演を経験した人」として、目を細めてこの日のことを思い出しながらインタビューに答えるのだろうか。歴史の証人として。
- やや時間をおいて、友人たちと呑んだ。
- しばらくは異口同音に「すごいものを見た」という話が続いた。それはそうだろう。
- 開演前に友人たちと「曲予想している頃が一番楽しい」なんて言ってた私は愚かだった(普段から愚かだけど)。そもそも、セットリストとかもうどうでもよくなるライブだったし。
- 呑んでて「Band on the RunをはずしてもMr.Kiteは残すんだなあ」とかそういう話は出たけど、"Another Girl"選曲理由も含め、その不思議さも含めてポール・マッカートニーなんだから。
- 3時頃ホテルに戻った。
- 朝起きて、昨日のことは夢だったのかと一瞬思った。陳腐だけど本当にそうだった。
- 翌朝の新聞を見ても非現実感。でも私はそこにたしかにいたんやで。
- Flying to My Home(新幹線だけど)。次男の通う幼稚園のイベントに参加して、やっと地に足がついた感覚が戻ってきた。
感じたこと
- ライブの途中で連想し、今も思うのは映画「13デイズ」の1シーン。
- アメリカがキューバを海上封鎖しようとする際、アメリカの軍艦から照明弾が発砲される。それをとがめるマクナマラ国防長官の言葉「ソ連がこの照明弾を攻撃だと勘違いしたらどうなる?これは新しい言語なんだ!艦船とミサイルでケネディとフルシチョフが対話しているんだ!」
- ポールと武道館のオーディエンスも対話をしていた。その事実とそのただ中にいるという実感は、他のどんなライブでも体験したことがないものだった。
- ポールが特別なセットリストでやるらしいという期待と武道館という(日本側が)思い入れのある場所での開催にポールがOKした事実 → オーディエンスの開演前の熱気 → 本当に特別なセットリスト、ポールやバンドのいつもとは違う演奏 → ヒートアップする観客 → 普段見せない表情を見せ思わず英語が増えるポール → LEDバンドサプライズ → ・・・一連の流れはポールとオーディエンスとの壮大なコミュニケーション。
- 私は、ライブのみならず芸術はすべてコミュニケーションだと考えています。その中で、ポール・マッカートニー日本武道館公演はコミュニケーションの規模と密度を両立させた最高のものだと感じました。
- ポールが公演後にメッセージをくれたこと、武道館まで再度足を運んだことは、このコミュニケーションの貴重なボーナストラック。
- これ以上ってもうないんじゃないか。
- この日を経験できて本当に感謝している。いろんな人・機会に恵まれたおかげだ。
- やっぱり、この人のファンでよかった。
- And in the end, the Love You take is equal to the Love You make.
関連メモ
英語版。そのまま訳したわけではなく、ポール武道館公演実現までの道のりの長さなど外国の方への説明を追加しつつ、本編は簡略化しました。
Walking in The Pleasure Garden: He said this was the Legendary Night - Paul McCartney at Budokan
ポール・マッカートニー、ビートルズ関連のメモまとめ。