庭を歩いてメモをとる

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第58回イギリス研究会1日目・今井町(奈良)ー突然現れる江戸時代の町並み

イギリス研究会のメンバー5人で奈良の今井町へ。戦国時代に一向宗徒の自治の町として成立、その後富裕な商人が住み栄え、今も江戸時代からの町並みが残る地域です。

私は奈良(法隆寺の近く)で生まれてから20数年過ごしていましたがこの町に行ったこともなければその存在すら知りませんでした・・・

で、実際に訪れてみると、10数分でまわれるコンパクトなエリアではありますが端正な町並みが続き歩いているだけで愉しかった。でも人は連休中というのにまばら。観光地としてもっと人が押し寄せてもいいのにと思いつつ、静かだからこそ魅力が増す場所でもあるな、とも感じました。


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最寄りの近鉄八木西口駅前の駐輪場からして古い町並みを意識。


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駅から徒歩数分、この道路の右側からがその今井町。ほんとにこの一角だけに古い町並みが残っています。


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お昼ご飯は「古伊」で。


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町屋膳・山菜そば。


町家民宿 嘉雲亭

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町家民宿 嘉雲亭

宿に荷物を置きに行きました。もとは呉服屋さんで、18世紀半ばの建造。宿泊施設としては2007年4月オープン。


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部屋から玄関方向を臨む。


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箱階段。

ご覧の通りの趣深い宿ですが、エアコンはありません。が、この季節なのでそこは問題なく快適でした。そして清潔。

夕食はなしで朝は簡単なロールパンとコーヒー/紅茶とはいえ一泊5,400円というのも魅力です。

ただ、蚊がけっこういました。蚊取り線香を用意してくれますが、それでは防ぎきれませんでした。私は虫除けスプレーを急遽買って安眠を得ました。


河合酒造

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宿からほど近い場所にある河合酒造。建物は18世紀中頃建造。


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歴代内閣総理大臣による揮毫。お店の方によると本人によるものだそうです。みなさんさすがに達筆でそれぞれ味がある。


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奥に入り・・・


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酒造りについて説明を受けました。


豊田家

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豊田家。1662年建造。重要文化財。壁の模様からもわかるように木材商だったそうです。


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上には馬を、下には牛をつないだそうです。道ばたにいたおじいさんが教えてくださいました。

おじいさんは他にも、奉公に来た子は夜逃げ出さないように二階に寝させ、二階に上がれるはしごは毎晩外していたとか、いろんなお話を聞かせてくださいました。


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細部にもこだわりがあります。財力がしのばれます。


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マンホール


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町の西の端。自治都市らしく環濠があります。


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この環濠の写真を撮った位置から振り返るとそこは現代日本。今井町は突然始まる別世界なのです。


東へ

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再び東に戻り、宿のはす向かいの薬屋さんへ。置いてある商品は「演出」で、隣で普通に現代の薬を売っています。ただし、声をかけないとお店を開けてもらえませんでした。


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この道の向こうに見えるビルは、かつてスーパーマーケットだったのが廃墟になってしまっています。16世紀から続くこの今井町との落差が諸行無常な感じです。


おふさ観音

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今井町から歩いて20分くらい。薔薇で有名なお寺ですが、今は咲いていませんでした。


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子育観音のスタイ?がユーモラス。「ぼけ封じ」が御利益だから?


藤原京跡

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おふさ観音からさらに歩いて30分くらい。奈良の都って平城京だけって思いがちよね、と話し合いながら。

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大和三山のひとつ畝傍山(うねびやま)の向こうに日が沈みます。

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北側には同じく大和三山、耳成山(みみなしやま)が。美しいシルエット。


今井町「tama」

今井町に戻り、フレンチレストラン「tama」へ。ランチ・ディナーともに予約制。


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外観と店内の構造は町屋、でもインテリアは真新しい。どちらも美しい。


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庭もきれい。どの席からでもみられるようにしているそうです。


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乾杯!


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一品一品が丁寧で、味付けが繊細で上品。建物に負けていなかった。いやむしろ、建物の雰囲気と調和していたと言うべきかもしれません。
サーブしてくださった方も笑顔を絶やさず、説明も丁寧で好感がもてました。


宿に帰る

宿に帰ります。歩数計アプリによると今日は10km歩いたそうです。


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キッチンで。談話室のような存在でもあり、朝ご飯をいただく場所でもあります。ここは「江戸時代」ではなく「昭和の終わり頃」という感じ。
ここで男性メンバー同士で地酒「出世男」を。


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女性メンバーも参加。明日の予習として、三島由紀夫が三輪山を登拝した新聞記事を読んだりなど。


この日の話題(ごく一部)

(話題とそれに対する意見は、メンバー全員が賛同している内容とは限りません)

  • 英単語と漢字は似ている。ネイティブは書き間違ったときに一部だけを直さずすべて書き直す(letterをlettarと書いたとしてもaだけ書き直したりしない。漢字も、一部が間違っているだけでも全部書き直すことが多い)。そしてどちらにも日本オリジナルのものがある(和製英語と国字)。
  • 脳科学者・中野信子さんによると、タンパク質遺伝子についてセロトニンを有効利用しやすいの組み合わせを持つ人の割合は、日本人よりアメリカ人のほうが10倍多い。セロトニンが多いと不安感情が和らぐので、リスクがあってもチャレンジしやすいのかもしれない。
    • 移民の国なのでそういう遺伝子を持った人が集まるのが自然かもしれない
  • 休憩をは意識的にとる必要がある、ということを痛感するようになった
  • 子育てをしながら働くことがしやすいかどうかは、親(子どもにとっての祖父母)の助けが得られるかどうかで大きく異なる。日本社会はこの点に依存しすぎ(親の助けが得られないととたんにハードルが上がる)

(ご参考)メンバーのブログ

Daily Life of Adopted Scouser:奈良県橿原市今井町


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