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なぜ女性作曲家は少ないのか

(2020年10月1日更新)

女性の作曲家は男性に比べて少ない気がします。

本当にそうなのか。もしそうだとしたらなぜなのか。それを調べてみました。

女性作曲家と女性作家

私も以前から、なぜ教科書に載っているような有名作曲家は男性ばかりなのか気になっていました。

もちろん、昔は女性が表立った表現者として活躍することが難しい社会事情があった、ということは理解しているつもりです。

しかし一方で、同じ時代に現代でも読み継がれている作品を生み出した女性作家はいます。この違いはなんなのかと。

思いついた例を挙げてみます。

  • ジェーン・オースティンとベートーヴェン
  • ブロンテ姉妹とショパン
  • 樋口一葉と滝廉太郎
  • 与謝野晶子と山田耕筰

上記の人たちは、それぞれほとんど同じ時代を生きていますが、同時期の女性作曲家を思い浮かべることは難しいです。

これはどうしてなのか?

この疑問について、次の本がヒントを提示してくれていたのでご紹介します。


男性ホルモンと音楽

まず、実は男性ホルモンと音楽に関連性があるという実験があります。

  • 200名の被験者に様々な種類の音楽を聴かせる実験を行った。
  • どんな種類の音楽を聴いてもテストステロン(男性ホルモン)は変化した。
  • しかし、変化の仕方に性差があった。男性は音楽を聴くとテストステロンが減ったが女性は上昇した。

音楽を聴くと、男性は男性ホルモンが減り女性は増える、つまり中性化するのですね。

それが何を意味するのかは私にはわかりませんが、男性ホルモンが音楽と関連していること、作用が男女で逆であることはわかりました。

他の調査結果はどうでしょうか。

  • ラットのオスは超音波で鳴いて雌を誘うが、この音声の発生にはテストステロンが必須。
  • カエルでもテストステロン値が高いと長い間泣き続けられる。(注:ほとんどのカエルはオスしか鳴かない)
  • 16-20世紀のクラシック音楽家129名の作品2,148曲について、それらの曲が作曲されていた月を集計したところ、3月と7・8月がもっとも多いことがわかった。
    • これはテストステロンが多くも少なくもない中間値である時期と一致している。
  • 以上のことから、テストステロンと音楽には関連性があると考えられる。

男性ホルモンはラットやカエルのオスが鳴くのにも必要なのですね。鳴き声を音楽と考えると、これも「男性ホルモンと音楽」の関連を表しているといえそうです。

しかし、人間が作曲するには男性ホルモンが「多くも少なくもない」ほうがいいのですね。これは意外です。(もっと意外だったのは、男性ホルモンが季節で変わるということですが・・・)

(補足)テストステロンとは

ところで、テストステロンについては、「男性ホルモンである」ということくらいしか知らなかったのでちょっと調べてみました。

男性ホルモンのテストステロンは「男を形づけるホルモン」です。精子の生産など性機能に大きく関わり、筋肉や骨格、毛深さなどの性的特徴を発揮させます。闘志や攻撃性など精神面にも関わり、その男性の性格に大きな影響をおよぼしています。女性にもテストステロンはあり、女性の心身に少なからず影響をおよぼしていますが、男性と女性ではそのレベルに10倍から20倍の違いがあります。逆に、女性ホルモンのエストロゲンも男性にあり、脳や骨に働くことが分かっています。

ニッスイアカデミーより引用

男性ホルモンは、その男性の性格にも影響があるのですね。ものを創造したい、作曲をしたいというような気持ち・気質にも影響するのかもしれません。

それを裏付けるような、男性ホルモンと職業との関連性についての記事もありましたので紹介します。(朝日新聞の医療サイトapital「テストステロンは『長寿ホルモン』男はつらいよ 医療篇」長尾和宏医師

  • テストステロンが高い人が多い職業:音楽家、画家、俳優、建設業、猟師、スポーツ選手、軍人
  • テストステロンが低い人が多い職業:牧師、教師、医師

男性ホルモンの多い人の職業はいわゆる芸術系(音楽家も含まれていますね)と身体能力が要求される系で占められていますね。一方男性ホルモンの少ない人の職業は知識労働職という感じです。

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女性作曲家が少ない理由

で、前置きが長くなりましたが、このメモのタイトル「なぜ女性作曲家は少ないのか」についてです。

これに関係する実験結果をまとめてみます。

  • 脳の右半球に損傷が起こると、言語能力は正常だが音楽能力が失われるという症例がある。
    • よって右脳と音楽能力は関連していると考えられる。
  • 男性は胎児期から自分の睾丸などから大量のテストステロン分泌を受ける
    • → 左脳のニューロン構築を遅らせる
    • → 代償として右脳が発達する
  • 男性作曲家は何らかの原因(遺伝、病気、ストレス)でたまたま男性ホルモンの分泌異常が起き、そのために音楽能力を司る右脳がより発達し、優秀な作曲家になるのではないか
  • 女性には以上のプロセスが起こりにくいので作曲家が少ないのではないか

右脳は音楽能力と関係しているが、男性は男性ホルモンのおかげで右脳が発達しやすい(左脳の発達の遅れの代償として)。だから女性よりも作曲家になりやすい。

これが、男性に比べ女性は作曲家が少ない理由なのです。

前段で、男性ホルモンと音楽の関係をご紹介しましたが、それ以前に、男性ホルモンは音楽能力に関係のある脳を発達させる作用があるということですね。

感想

冒頭の「女性作家は多いのに女性作曲家はあまり思い浮かべられない」という疑問。

これに対して、本書の「男性のほうが男性ホルモンのおかげで右脳が発達しやすいから、女性よりも作曲家になりやすい」という説は、非常に納得度が高いものでした。

それに、言語機能、つまり小説や詩に関連する能力は、左脳に存在することが多いという事実も、この説の納得度を高めています。

右利きの人の大多数(98%あるいは99%)が、言語機能は左脳に支配されている。右脳は顔を識別したり思いだしたりする働きや、空間的な位置関係を理解する働きをしている。左利きの人の脳の構造と働きにどのようなパターンがあるかはわかっていない。左利きの人の約65~70%が左脳に、30~35%が右脳に言語機能をもつといわれている。また、右脳と左脳の両方で言語機能が統御できる人もいる。

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となると、「女性のほうが男性ホルモンが少なく右脳が発達しにくいため、左脳がより発達しやすいため、男性よりも作家になりやすい」と言えるのかもしれません。

以上はよしてるの思いつきですが、作曲家と作家におけるそれぞれの男女比の違いの理由を考えるときのヒントにはなりそうな気がしています。



本書について

本書は、以前から感じていた疑問に、ある程度科学的な視点から興味深い仮設を導きだしてくださっています。

このことは評価したいです。

しかし、客観的な記述と主観的な記述(音楽への愛情や世相への不満など)が混在している点と、根拠データの記載が少なすぎるところは不満です。参考文献リストがないことにもがっかりしました(と思ったら、出版社のページに掲載しているようです)。

読んで興味深かったけど、もっと根拠を具体的に挙げてほしかったです。おそらく読みやすさを優先して現在のかたちになったのでしょうが、重要な箇所だけでもデータを明示されていれば、より納得して読めたと思います。




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