庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

エル・グレコ展(大阪・国立国際美術館)

音楽や映画だけじゃなくて、絵画もそれが好きな人一緒に味わうと楽しい、ということでアート好きの友人Fさんご夫妻をお誘いして観てきました。


ランチ

その前に美術館のすぐ近くでランチ。高級ホテルチェーンに勤務する友人が薦めてくれたArialasca Marble*tre(アリアラスカ マーブルトレ)へ。



イタリア料理店なのですが、プラスアルファの創意が感じられるお店でした。このパスタも魚も、ソースや具材が今まで食べたことがないけど目新しさを追求しているわけでもなく素直においしいという感じ。食も進めば話にも花が咲き、気がつくと1時間半近くここで過ごしていました。


エル・グレコ展


そしてメインイベントのエル・グレコ展へ。

Fさんと私はこういう展覧会の鑑賞方法がまったく同じ、つまりまずは全体をざっと流して最後まで観てその後気になる作品をもう一度じっくり観る、ということがわかったので一緒にさらっと廻りました。Fさんは私よりアートの知識・情報が豊富なので、キュレーターが随行してくださっている贅沢な気分。

その時の印象は、まず、え、こんなにたくさんあるの?(こんなに作品の数が多いの?&よくこれだけ集めたな!)。そして、必ずしも最初からあの縦に細長い画(品のない表現ですみません)を描いていたわけではなかったんだなあ、ってこと。何より、この色使いや細部の省略は実は極めて現代的なんじゃないかということ。どれも画集を観ていてもわかりそうな話ですが、今回ここで本物を立て続けに目の当たりにしてやっとわかりましたごめんなさい、というのが正直なところです。


お気に入り

特にいいなと思ったのは以下の作品です。

「オリーヴ山のキリスト」

気に入った一番の理由は、画のタッチというか雰囲気が他のとまったく違っていて、ものすごくやわらかいところ。これは本物に接して初めてわかったことでした。描かれているのは捕らえられはりつけにされる直前のキリストという切迫した場面ではあるのですが、それとは別の美の力のようなものを感じました。


「福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り」

これは色彩のコントラストや構図も素晴らしいと思ったのですが、何よりこれが「聖ヨハネの幻視」という設定をすごく今風に描きあげている感じがしてすごいな、と思いました。誤解を恐れずに言えばまんが的というか。かっこいいです。

脱線ですが、「無原罪のお宿り」*1って英語でThe Immaculate Conceptionというのですね。この表示を見てやっとわかりました。マドンナのベスト盤"The Immaculate Collection"はここからきているのだと。こういう「罰当たり」な演出は"Like A Prayer"だけじゃなかったのか。まあだいたい名前自体がそうだとも言えますが。本名とはいえ。
The Immaculate Collection


「無原罪のお宿り」

似たタイトルですが、こちらはより巨大な(縦約3メートル)、本展覧会のクライマックス的位置づけの作品。これは単純にその壮大さとこれぞエル・グレコという構図・色使い・力強さに圧倒されました。


本来はこの後、Fさんご夫妻と作品の感想を語り合いたいところでしたが、お互い次の予定がありそれはかないませんでした。でも、ランチで気分を盛り上げ、展覧会一周目に鑑賞のヒントをいただけたのはやっぱりすごく楽しかった。感謝です。

*1:聖母マリアは母アンナの胎内にいたときから原罪を免れていた、というカトリックの教義のこと。私はこの日まで「イエスが母マリアの胎内にいたときから原罪を免れていた」という意味だと思っていました・・・


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