前回と違って、真っ当に、坂本龍一の音楽の数々をじっくり堪能できたひとときでした。得意の、「演奏者は教授一人だけどピアノは2台あって、教授の弾かない方のピアノは自動演奏か本人の弾いたラインを記憶して反復する(おそらく後者)」仕組み。
代表曲も渋めの曲もしっかり弾いてくれて、これぞ普通のファンが喜ぶ王道のコンサート、という感じでした。終盤に"The Last Emperor""Behind The Mask""+33"という個人的坂本音楽のベスト10が立て続けに演奏されたときはほんとにうれしかったなあ。
MCもなごやかなもので、ベートーヴェンの「運命」を弾きつつ、「タタン」「タタタン」では弱くてやはり「タタタターン」なんだ、とか、"Bolerish"を映画監督の命で仕方なく"Bolero"らしいけどパクリではない"Bolerish"を創ったらフランスの著作権ルールは編曲にも及ぶらしく、危うく訴えられそうになったとか、興味深い話がいろいろ聞けました。
しかしなんといっても、ピアノ独奏だけでこれだけ幅広い、そして独創性の極めて高い音楽を表現できるってところがさすがとしかいいようがなく、まだまだ新しい音楽って出てくるんだろうなっていう、大げさにいえば「希望」みたいなものまで感じられたコンサートでした。
こんな内容なら毎年でも行きたいなあ。
それと、今回、全公演24時間以内にiTunes Storeにアップという試みがうれし過ぎます。もちろんDLして今聴いています。お気に入りのミュージシャンが全部こうしてくれたらいいのに。ブート屋さんは商売あがったりでしょうけど。
※写真は、「1曲"composition0919"だけ写真撮影可。ブログなどにもアップしてもらって結構です。」という教授の意向に飛びついて携帯で撮ったものです。せっかくだからちゃんとしたデジタルカメラ持ってくればよかったなあ。