庭を歩いてメモをとる

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ドッグヴィル

ドッグヴィル スタンダード・エディション [DVD]

[物語]
アメリカの、人口二十名足らずの小さな村ドッグヴィル。そこにギャングから追われた女グレースが逃げ込んできた。村人は当初彼女を遠巻きに見ていたが、一人の男が言い出した「村人全員がグレースを気に入ったら彼女は村に留まることができる」案に賛同。グレースはその後、率直で健気に村人に尽くし・・・


[感想]
さすがラース・フォン・トリアー監督。人間の「業」を見せつけてくれる手腕は、この作品でもいかんなく発揮されています。同監督の「奇跡の海」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同等、いやそれ以上でしょう。特に今作では、「善意の衣をまとった人間のいやらしさ」がこれでもかというほど登場します。そしてそれが、人間を描くと同時にアメリカへの痛烈な皮肉になっているところも見事です。また、非常に複雑な感情を抱かせるエンディングも、ただでさえ強烈な印象を一層深いものにしています。まさに濃厚な一作です。

この映画は、舞台以上に簡素なセットで撮影されています。建物はなく必要最低限の家具だけが置かれていたり、道路は白線のみだったり。なので、この「見た目の特殊性」について言及されることもよくあるようですが、個人的には、この作品はそんな「特殊性」を霞めてしまうくらいの濃い個性をもった物語だと感じています。

この作品、監督の「アメリカ3部作」のうちの1作だそうですが、あと2作、何を描くんだろう。2作目の「マンダレイ」も近いうちに観てみたいものです。(2008年7月追記:「マンダレイ」を観ました。


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