庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

恋におちたシェイクスピア+藤子・F・不二雄「サンプルAとB」

恋におちたシェイクスピア [DVD]

天才ではなく、苦悩し時にはごまかしもする人間シェイクスピアの恋と「ロミオとジュリエット」(+「十二夜」)が見事に解け合って、張られた伏線が最後にどっと昇華していく構成。そのストーリーのまとまりかたたるや、カタルシスまで感じられるほどの映画でした(あ、でもこの映画は喜劇です)。

といいつつ、自分自身に欲求不満なところもあります。多分この映画のセリフやいろんな設定が、シェイクスピアの作品や実際の生涯とリンクしてるっぽいんです。そんなにおいがぷんぷんします。しかし知識がないため、そのほとんどが雰囲気でしかわからないもどかしさ。その欲求不満から、劇が苦手な私ですら、シェイクスピアをしっかり読んでみようかなと思えてくるほどです。

でも、「ロミオとジュリエット」のあらすじだけは知っていて助かった。この映画は、それを知らないと(全然知らない方もいないか)ちょっと鑑賞が難しいだろうからです。ここは藤子・F・不二雄先生に感謝。



なぜ藤子・F・不二雄なのかって?実は私が「ロミオとジュリエット」のあらすじを知ったのは、藤子さん原作のまんがからなのです(作画は別の方が担当)。

藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 (4) (SF短編PERFECT版 4)

このSF短編集(このシリーズ、他の作品もはずれがほとんどなく、短編SFまんが集の傑作だと思います)に、「ロミオとジュリエット」をベースにした物語が掲載されていて、それを読んだことがあるというわけです。ただし、この物語、宇宙人の視点で進みます。

どういうことかというと、「語り」が、宇宙人が地球人を学術調査したレポートになっているのです。もう読んだのが20年ほど前なのでうろ覚えですが、「光を捉える器官から液体を流した」(泣いた)とか「他の個体の生命活動を停止させるためにその個体の体内に異物を挿入する」(剣で刺す)とかそんな記述。なので書かれていることが最初は何のことかよくわからないのですが、だんだんとこれが「ロミオとジュリエット」だとわかってくるという仕組みです。ちなみに私がこれを読んだ当時は、バルコニーでお互いの名前を呼ぶ有名なシーンが出てくるまで、これがあの有名な話なのだとはわかりませんでした(そのシーンしか知らなかった)。ちなみにタイトルは「サンプルAとB」。

そんな歪んだかたちでではありますが、このまんがを読んでいたおかげで、「恋におちたシェイクスピア」も基本線は理解して(多分)楽しむことができたというわけです。


(広告)