友人から熱烈な紹介(この作品を絶賛するというよりは、この作品を観た感想を聞きたいという)があって観てみました。
物語
2002年の香港。警官ヤン(トニー・レオン)は、マフィアに10年近く潜入しボスの信頼を得るまでになっていた。
一方、ボスは警察にラウ(アンディ・ラウ)を送り込み、ラウも昇進を重ねる。
警察とマフィアの闘いの中で、ヤンとラウ、警視とボスなどの思惑が交錯しつつ物語は展開していく。
感想
メリハリがあってエッジの立った感覚にまずしびれました。多分この映画は、物語を味わう映画なんでしょうけど、最初に惹かれたのはそっちです。独特の色味がかった映像のシャープさ、余計な説明のない突然の展開。そういえば物語のキーになる歌もヴォーカルオンリーだったりするのですが、それもある意味シャープに感じられます。優しい歌だけど。
そんな感覚に驚いた後、私にとってはちょっと複雑だった導入部*1を過ぎると、徐々に物語の重みに圧倒されていきました。
元いた組織への思いと、潜入している組織への感情。登場人物のもつ「業」(ごう)。そんな重みを感じさせながら、物語は非常にスリリングにさばかれながらどんどん進んでいくわけです。
俳優陣もそれを見事に演じています。
主役の二人はもちろんですし*2、ボスのサム役の人も、人情と非情を同居させたまさにマフィアのボスという人格を体現している感じ。
警視も、刑事を見分けるのがうまい手下も、それぞれのキャラクターを見せてくれていました。
ケリー・チャンだけは精神科医にどうしても見えませんでしたが(でも、墓前のシーンではさすがの美しさ。)。
ただ、一点だけ。ラストに、秘められていたあることが明らかになる(観客には最初からわかっていることです)のですが、それはなかったほうがよかったんじゃないかな。そのほうが、無間の「業」をより重い余韻として残せたような気がするのです。
とはいえ、シャープな演出で重い「業」を描いた、個人的には観てよかった作品です。紹介してくれた友人に感謝です。