いきなりですが、みんさんの2月15日のエッセイを引用させていただきます。
1960年代にはヒップでファビュラスだったビートルズも、解散以降はもう時代遅れだとバカにされていた事がありました。特に槍玉に挙がったのは、サー・ポールさんですね。ノンポリだの商業主義だのと、もう散々でした。
これと似た話を、70年代中盤〜後半に青春を過ごした他のある方からもうかがってちょっとびっくりしたことがあります。その方によると、当時の男子中学生の間では「クイーンとウイングスは子どもの聴くロックだ(!)」「男はキッス」「いやプログレだ」などと言われていたとか。初めてこれを聴いたときはええっ!?と思いましたね。"Wings Over America","Bohemian Rhapsody"が子どもの聴く音楽?って。
まあこれが当時の一般的な風潮なのかどうかは不明ですが、とりあえずビートルズ、特にポール不遇の時代だったって話はよく耳にしますね。売れてたのに不遇というのも不思議な話ですが。
しかし、その数年後、80年代中盤以降に青春?を過ごした私の世代では、もうビートルズは「権威」であり「古典」で、音楽好きの連中もほとんど非難しない存在になっていました。「カーマは気まぐれ」っていいねえ、なんていいながら一方で「やっぱりビートルズってすごいって言われるだけはあるね」などとしたり顔で会話していたのです。
高校のころ(1980年代後半)など、「ビートルズってみんな好きやし、なんか権威みたいやろ?せやからファンにはならん。まあアルバムは持ってるけど」とはっきり言ったクラスメートが二人もいました。ちなみに彼らが好きなのはビリー・ジョエルとa-haだったりしたのですが。
「時代遅れ」から「権威」へ。数年でなんでこんなに「位置」が変わるんだろうな、と不思議に思っていたのですが、みんさんのエッセイを読んでなるほどと思いました。
ビートルズがナツメロとしてでなく、音楽的にまだイケると世間(と言うより「ジャーナリズム」とか「ミュージシャン」か?)が思い始めたのは1980年代も半ば過ぎてからの事ではなかったかしら?!思うにこれはジョン・レノンが死んだことがきっかけになっているのではないかと。ひとつにはそれがきっかけでビートルズの音楽が改めて聴かれるようになったこと、あとはフォロワーが中期ジョン的なセンスの音楽をやり始めた事があるような。まあそんな印象を当時持っていました。そんなこんなで、80年代も終わり近くなって、やっと「警戒」せずに「ビートルズが一番好きです」と言うことが出来るようになった気がします。
ジョンの死ってやはりいろんな面でのターニングポイントになっていたんだなあと改めて認識。
あと、ポールに関して個人的に思うのは、80年代中盤以降「イデオロギーやポリシーをはっきり標榜するのがかっこわるい時代」に入ったことが、「ノンポリ」なポールを抵抗なく聴ける後押しをしたのかな、なんて思ったりもしますが。
まあ何にせよ、「位置」なんてけっこうあっさりと変わってしまうものですね。