高校3年の時の同級生に、同窓会で会ったとき、薦めてもらいました。女性監督が作った女性のための映画という感じだけど、すごく感動したとのこと。
[物語]
戦後すぐ、アントニアが娘を連れて故郷に帰ってきた。最初は冷たい視線を投げかけた村人も、次第に彼女の包容力に解きほぐされていく。障害者、数学の天才、同性愛者などすべての人々を包み込んでいく彼女の4代にわたる物語。
[感想]
男性の私でもエネルギーを与えられるような作品でした。女性だともっと共感できるのかもしれないけど、男でも充分感銘を受けることができました。
舞台となっている村の様子は静かで、出てくるのも社会的には弱い立場の人々なんだけど、彼らが自分たちを変えてしまうことなく生きていくさまは、強い力を感じさせるものでした。この人たち強いなあと何度も思った。自分たちの持っている「特徴」を一切否定せずに暮らしているところが。
でもこの作品の一番好きなところは、こういうことを説教臭さなしに描いていっているところです。だからすっと心に響いたのかなと思っています。
村の人々がみな一癖もふた癖もあるところ、彼らが自分たちのペースでしっかりと生きていっていること、でも唐突に死ぬこと、そんな村の様子を数十年にわたって描いていることなどに、「ホテル・ニューハンプシャー」との共通性を感じたりもしましたが、見終わった印象はまた違う。どちらも「生きていくエネルギー」を感じる点では同じかもしれないですが。あと、「よそ者がその村にあたたかいエネルギーを与えていく」という物語には、「バベットの晩餐会」「バグダッド・カフェ」との共通点も感じました。