(2018年1月8日、若干追記)
今年出会った音楽でその後何度も聴いているものはこちらです。
音源
The fin.
きっかけは津田大介さんのメールマガジンでした。
野村達矢(日本音楽制作者連盟理事、有限会社ロングフェロー 代表取締役社長):具体的に言うとうちのミュージシャンでThe fin.(ザ・フィン)というバンドがいるのですが、彼らは英語で曲をつくることもあって、いまSpotifyを積極的に使っています。すでに世界で30万回以上再生されている状況ですね。
津田大介(ジャーナリスト):30万回! すごいですね。CDを30万人に買ってもらおうとすると大変ですよ。
野村:じつはその数字って、日本のミュージシャンでいうとONE OK ROCK と同じくらいなんです。ONE OK ROCKとThe fin.では、前者のほうが断然知名度があるのにもかかわらず、Spotifyというプラットフォームのなかでは同じくらいの回数が聴かれていてる現実があって。
出典:津田大介「メディアの現場」2016.12.2(vol.237)
ほう、それは興味深い。で、どんなのかな?と思ってこれを聴いてみました。
The fin. / Night Time (公式)
なかなかいいなと思ってアルバム"Days With Uncertainty"を聴いたら、ほとんどすべての曲が同じくらいのクオリティだったので、気がつけば何度もリピート。この数年では一番「はじめて聴くミュージシャンのアルバムなのにまるごと気に入った」度が高かった。
音・ヴォーカルどちらも響きが心地いいんですよね。その点では、Kid Aの頃のRadioheadやSensuousの頃のCorneliusに近いかも。曲調や音楽が目指しているものは全然違いますが。
でも音響系ってわけではなくてあくまでポップスなんですよね。まあでも、このバンドの場合は、どれか1曲がぐっと心に残ってリピートするというより、アルバム全体の音世界をまるごと堪能するという感じなので、結果的には音響を楽しんでいるってことになるのかな。
なにはともあれ、とても重要なこととして、その音響が「このバンドの音」として確立されています。ということで今年一番の収穫でした。
ショスタコーヴィチ「24のプレリュードとフーガ」
ピアノ曲。バッハを元にしていることがはっきりしているのに、バッハとは違う色がはっきりあって、バッハ同様の深みに入っていくことができる。そういう曲集です。ピアノはアシュケナージのものを聴いています。
20世紀後半以降の「マーケットから離れたいわゆる現代音楽」の多くって、先人が成し遂げてないことを追求することが何よりも優先されていて素直に楽しめないというか良さがとんとわからないのですが(個人的な受容の幅の問題だとも思うのですが)、これはその対極にあるなあとも思いました。
特にお気に入りは、静かに始まり最後は力強く展開するたった4分とは思えないドラマティックな第4番ホ短調フーガ、光が水面に反射しているように音がきらめている第7番イ長調前奏曲、深遠さが胸を打つ第13番嬰へ長調フーガ、の3曲です(以下のリンクから少し試聴できます)。
あと、第22番ト短調前奏曲は坂本龍一教授の"Tango"にちょっと似てる気がします(いや順番としては逆ですが)。旋律が似ているだけで目指しているものはかなり違うと思いますが、私はどちらも好きです。
ショスタコーヴィチ「24のプレリュードとフーガ」(ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ)
ゲルニカ「銀輪は唄う」
ゲルニカのアルバムは少し前に聴いていたのですが、こちらはシングルのみ収録だったせいで漏れていて、ずっとゲルニカとしての認識がありませんでした。
で、何がきっかけで今年聴いたのかというと、チェリオの炭酸飲料「スイートキッス」の1982年頃のCMを急に思い出したから。あれって戦後間もない頃の歌のパロディだったな、当時小学生だったけどかなり好きだったし、あれってCMオリジナルなのかなと思って検索したら、ゲルニカだったのか!あの女性は戸川純で、男性は上野耕路だったのか!と本当に今更ながらに知った、という顛末です。
このCMが好きだったころから数年のち、中学生のときに「ザ・リターン・オブ・ビデオ・ゲーム・ミュージック」の「NIRO ROTAの肖像」という上野耕路さんの曲がけっこうお気に入りだったのですが、当時はあのスイートキッスCMとのつながりは当然わからず。「最近知り合いになった方と実はその昔よくすれ違っていた」という事実をはじめて知ったときのような気分になりました。
なので「収穫」というより、昔知っていた曲の「再発見」という感じですが、驚きと懐かしさでこれは何回も聴いたなあ。
2016年にはリマスターが出ているようです。
ライブ
音楽(映像)体験という点では一番すごさを感じたのはこちら。でも・・・
行く前はぐだぐだ言っていたのですが、ポールと彼の音楽はやはりそんなものは吹き飛ばした、という経験。
こちらはライブじゃないですが、この方のお話を直接伺えご挨拶もできたことそのものがライブのような経験。
こちらもライブではありませんが。まだあれから約1年しかたってないのか・・・
今年の再生回数上位20ミュージシャン
- Alc Press Inc.
- Johann Sebastian Bach
- 山川出版社
- The Beatles
- 坂本龍一
- Paul McCartney
- Cornelius
- Claude Debussy
- The fin.
- namco
- George Michael
- 小沢健二
- Wolfgang Amadeus Mozart
- ゲルニカ
- Kapustin, N
- L⇔R
- Dmitri Shostakovich
- Schumann, R.
- 大滝詠一
- SEGA
1.は英語リスニング教材、3.は寝る前に聴いている世界史・日本史の教科書ですので、音楽はそれ以外。トップ4がバッハ、ビートルズ、坂本龍一教授、ポール・マッカートニーというのはこの10年くらい変わっていない気がします。