庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

新たなホームズ映像作品を生み出した人々はどんな志で制作に挑んだのか−ユリイカ 2014年8月臨時増刊「シャーロック・ホームズ コナン・ドイルから『SHERLOCK』へ」

ユリイカ 2014年8月臨時増刊号 総特集◎シャーロック・ホームズ - コナン・ドイルから『SHERLOCK』へ -


BBC制作「SHERLOCK」がお気に入りなので読んでみました。



ベネディクト・カンバーバッチインタビュー

(要約)シリーズが始まる前に、再度原作を読み返したり。詩を暗記しようとしたり、車のナンバープレートを覚えようとしたり。そうやって記憶力を鋭くしようと訓練する。

あれだけ地のままを演じているように見えて(それだけ達者ってことでしょうが)、やっぱり直接演技にかかわることでなくても役作りしてるんですね。



マーク・ゲイティス+スティーブン・モファット(共同脚本)インタビュー

全編、人を喰った感じの、でも聞かれていることには応えている、脚本家らしい回答の連発でさすがだと思いました。たとえばこんな感じ。

マーク・ゲイティス:コナン・ドイルはホームズを滝に落とした。そして10年後に復活させた。我々は二分半後に彼は帰ってくるだろうと予告したんです。
スティーブン・モファット:我々は本当に親切だと思います。

(インタビュアー)少しくらい(続編の)登場人物のことを聞かせてもらえませんか?
マーク・ゲイティス「シャーロック・ホームズ、それからドクター・ワトソンは登場しますよ」

あと、このインタビューで以前から知りたかったことがわかりました。どのエピソードをどちらが書くのか?回答は「時間をかけて話し合いをし、強くやりたい、自分が適任だと言う方が担当する」というもの。まあ、それしかないのだろうなあ。



三谷幸喜インタビュー

NHKのパペットエンターテインメント「シャーロックホームズ」もかなりのお気に入り(別のメモにも書きました。)。その脚本家、三谷幸喜さんへのインタビュー。

(要約)当初やりたくなかった。グラナダテレビ版という映像化の決定版があって、「SHERLOCK」のような現代版も作られていて、最初から負け試合に臨んでいるような感じ。それが最後の最後で「学園もの」というアイデアが生まれた。これなら僕にもできるんじゃないか。

てっきり、三谷さんがホームズを好きで好きで、やりたい!とNHKに企画を持ち込んだのかと思っていましたが、そうではなかったようです。やはりホームズファンでいらっしゃるだけに、原作や一部の映像作品のクオリティの高さを十分に理解していらっしゃったのだろうと思いました。

では、あの、制作発表の時の「この作品を楽しめないシャーロッキアンシャーロッキアンじゃない」という啖呵はいったい何だったのでしょう。

シャーロック・ホームズの世界を人形劇に置き換えて、しかも学園ものにすることの楽しさ、面白さというものを受け入れてくれる懐の大きさ、それを持っている人たちこそが真のシャーロッキアンだと、僕は言いたかったわけです。
なるほど。これを読んでやっと真意がわかった私は鈍感なのでしょうか・・・


そして、三谷さんの評価する映像版ホームズは?

原作に忠実という意味では、やはりジェレミー・ブレットのホームズが特別な存在です。それから、クリストファー・プラマーが演じた「名探偵ホームズ/黒馬車の影」(1979年)という映画のホームズも、かっこいいんですよ。クールなイギリス紳士で、とにかく知的な男なんですね。
やはりジェレミーホームズ、評価が高いですね。私もNHKでの初回放映当時はまってました。もともと原作が「好き」だったのが、このグラナダTVジェレミー版でホームズの「ファン」になったようなものです。それが昂じてイギリス・マンチェスターのグラナダTVスタジオを見学にも行きましたし。

「名探偵ホームズ/黒馬車の影」は知らなかったなあ。また観たい映画リストが増えました。
名探偵ホームズ・黒馬車の影 [DVD]



ところで、このインタビュー、インタビュアーの岡田育さんもホームズファンらしく、「ファン同士の会話」的角度で実にうまく三谷さんの言葉を引き出しておられます。

まさに「好きをこじらせた」行動。楽しいです。

  • 岡田:ホームズは二次創作し甲斐がある。
  • 三谷:ポワロエラリー・クイーン金田一耕助にもその面はない。そうやって読み継がれるのには、ドイルの文章のうまさ、会話のうまさ、キャラクター作りのうまさ、そして「物語としての面白さ」が大きい。

この「ドイルのうまさ」が、三谷さんの作品づくりにも通じていると感じたのは私だけではないと思います。



広告