庭を歩いてメモをとる

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押見修造「惡の華」

惡の華(1) (少年マガジンKC)惡の華(2) (講談社コミックス)惡の華(3) (講談社コミックス)

[物語]
春日高男は、社交下手・自意識過剰・読書家の中学生。出来心で憧れの同級生佐伯奈々子の体操着を盗んでしまう。それを目撃したのがクラスで孤立し教師も含め誰にも従わない仲村佐和。仲村は、春日に秘密を守る代償として「契約」を結び、様々な背徳的・反社会的行為を要求するようになる・・・


[感想]
作者は単行本に「この漫画を、今、思春期に苛まれているすべての少年少女、かつて思春期に苛まれたすべてのかつての少年少女に捧げます」との言葉を寄せています。たしかに、思春期特有の自意識や絶望、閉塞感や欲望がうまく描き出されていると感じました。

しかし本作の見事なところは、「やはり中学生のころに感じていたことってその後の人生の土台となっているんだな」ということを思い出させてくれたこと。というか、あの頃にはあったけど今は忘れていた感覚がよみがえるというか。「昔の写真を見つけて懐かしく思う」のではなく「ふたをして隠していたものをのぞき見してしまって、あまり思い出したくないものがあったことに気づかされる」というような感じで。

そんな力を持った物語が、リアルな面と「それはまんがの中だけの話」というアンリアルな面との境界が渾然一体となって創られていたので、世界に没入することができました。その結果、しばらく忘れていた、人間の根底にある本能のようなものに触れることができた、という感じ。

現在は高校生編に移り、中学生編とはまた違った味わいを見せてくれています。続きが楽しみ。



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