庭を歩いてメモをとる

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貴志祐介「青の炎」

青の炎 (角川文庫)

天使の囀り」を読み、貴志祐介さんを追いかけてみようと思いこちらを読みました。

[物語]
21世紀初頭、湘南。高校生の秀一は、母・妹とささやかであたたかい生活を送っていた。しかしそこに、母と離婚したはずの男がやってきた。彼は酒に浸り、家庭を壊しかねない存在となった。母と妹を守るため、秀一は男を葬り去る完全犯罪を計画する・・・

[感想]
話の骨子は、男を葬り去るまでと、そしてその後それが崩壊していく過程における、いわゆる「倒叙小説」ならではのスリリングな展開にあり、そこのどきどき感がこの小説のおもしろさの基本部分だと思います。確かにこの部分だけでもかなり興奮させられます。特に前半の心理描写は見事で、すっかり主人公秀一に感情移入してしまいました。

しかしこの小説を輝かせているのは、基本部分を見事に支える枝葉の部分です。まず、青春小説として。秀一と同級生・紀子との関係を中心に、この年代特有のみずみずしい世界が流れていきます。そしてもうひとつは、冒頭からラストまで、物語の重要な場面で繰り返し登場する、主人公が湘南を自転車で走り抜けるシーン。訪れたことは数回しかありませんが、この地域は私も大好きで、そこを颯爽と自転車がゆくシーンは、なんともいえない爽快感と、そしてこの物語においては、二度と戻ってこない過去を感じさせてくれました。

「天使の囀り」ほどではないにしろ、さすがのトリビア連発も健在。やはり夜更かしをして読み切ってしまいました。さて次は何を読もうか。



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