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太陽がいっぱい

太陽がいっぱい 最新デジタル・リマスター版 [DVD]


[物語]
貧しい青年トムは、裕福な友人フィリップの親に頼まれ、フィリップを親元に連れ戻すためにイタリアへ向かう。しかしフィリップは親の金で遊び歩き、婚約者マージュに冷たく、トムをも見下していた。トムは二人きりで航海中、フィリップを殺害し、彼の財産と婚約者を手に入れようとするが・・・

[感想]
高校生の頃から好きで何度もビデオで観た作品ですが、今日は「午前十時の映画祭」のおかげで初めて劇場で鑑賞できました。

スクリーンで観るトム役アラン・ドロンの美貌には息をのみました。私は同性愛者ではありませんが、このドロンには惚れそうになります。顔かたちがかっこいいだけではなく(いや、だからこそ、か)、服の着こなしにも感嘆してしまいます。特に、下着なしでシャツをざっくりまとう姿(西洋ではそれが普通ですよね)にはめまいを感じるほどです。

でもこの映画、アラン・ドロンだけに頼ってるわけではもちろんなく、物語も演出も音楽も、何もかもほんとにお手本的によくできている。スクリーンで改めて観る価値は十分にありました。 物語:個人的に「才能のある若者が悪に手を染めて社会的成功を手に入れるが最後には転落する」という話がどういうわけか大好きなので(例:「赤と黒」「ジョジョの奇妙な冒険(第一部)」)、もうこの映画にはぞっこんです。というかピカレスクロマンの王道って感じですよね。 演出:海のうねりをトムの心情にあわせているところなど、うまいなあと思うシーンはたくさんありますが、今回改めて感心したのは前半でギターを部分的にスライドして見せていくシーンがラストシーンの前振りだったこと! 音楽:同じニーノ・ロータの代表曲「ゴッドファーザーのテーマ」と同じくらい、単独でもすごいけど映画と合わせるとより力を持つ作品になっていると思います。

どういうわけか、一番好きなシーンは、トムがナポリの魚市場を歩いて回るところです。様々な魚が異形のものとして描写されるある種のシュールさと(それがそのときのトムの心情を表現していることも含め)、完璧な造形の中に悪の翳りを見せるアラン・ドロンの表情が忘れられないのです。あと、サインの練習をするシーンも、もちろんラストシーンも・・・やっぱりこの映画大好きです。


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