庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

キノコホテル実演会(京都・磔磔)

アルバム「マリアンヌの憂鬱」を聴きはじめたのが10日前。これはおもしろそうだけどもうチケットは無理だろうなと予約をかけたらあっさりとれたのが一週間前。話題になりはじめている彼女たちのステージだからオールスタンディングのぎゅうぎゅうかなと思ったらテーブルでごはんを食べている人もいてちょっと拍子抜けしたのが10分前。

40分の前座の後、お約束の赤いミリタリールック(Sgt.Pepper'sみたいな)に身を包んだ彼女たちが登場しました。その後は期待以上のパフォーマンスを連発。衣装・髪型・音楽で一体感をばっちり見せてくれたかと思えば、妖艶なダンスとSキャラで「ホテル」をまとめつつ電気オルガンを上半身全体では飽き足らず膝まで使って弾き倒す支配人・マリアンヌ東雲、一番普通だなと思わせておいて終盤では支配人とともに客テーブルによじ登るイザベル=ケメ鴨川、クールな表情のままほとんど動かずベースを引き続けるエマニュエル小湊、天真爛漫な笑顔でドラムを叩きまくるファビエンヌ猪苗代と、4人の個性もはっきり出ていておもしろかった。これがわかったのは磔磔というこじんまりとしたハコのおかげでもありますが。

見た目ばかりの印象を書き連ねてしまいましたが、彼女たちの興味深いところは見た目だけでなく音楽にも大いにあります。60年代の昭和歌謡+バンドサウンド、と書いてしまうと椎名林檎やGO!GO!7188を連想する方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれはっきりとした違いがあります。椎名林檎はその多彩な表現手法のひとつに昭和歌謡がある感じですが、キノコホテルはそれ直球、それ専門。GO!GO!7188にはみずみずしさがあふれていますがキノコホテルは妖しさ充満。

この絞られた路線にもかかわらず、それぞれの歌に違うフックがありアルバムもライヴ(実演会と彼女たちは呼びますが)も飽きさせないのは、マリアンヌの作詞作曲能力に加え、演出力にも負っているところが大きいと思います。オープニングは彼女たちの世界からはかけはなれた森の小鳥のさえずりから始め(「静かな森で」)、シンプルなドラムと懐かしい電気オルガンで曲をひっぱる「還らざる海」、あの時代のギターらしいリフが印象的な「もえつきたいの」、語りで惹かれる(個人的にはこれは小沢健二以来)の「夕焼けがしっている」などをたたみかける。アルバムでも実演会でもこれら工夫の凝らされた歌の連発は快感でした。

彼女たちのこれから、楽しみです。
マリアンヌの憂鬱

ちなみに会場で偶然、8年ぶりに音楽ファンの知人にもお会いできたというありがたいハプニングもあり、ほんとに愉しい夜になりました。


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