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ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」

予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

経済学では、人間は合理的に行動することとされています。価格は需要と供給の一致で決まる。これも人が合理的であるからこそ成り立つ原則です。しかしこの本では、人間はよく不合理な行動をする−しかも予想通りに−ことが述べられています。

未知の商品が出たときは、需要と供給ではなく最初に提示された価格が力を持つ。「無料」には大きな力があり合理的判断の妨げになる。楽しみでやっていたことは、報酬をもらったとたん労役になってしまう。同じ薬でも高価なら効果が高くなる。そんな、私たちが日常で接している「不合理」とそれを実証する愉快な実験が列挙されていました。

その「不合理」の内容に意外性が少ないため、どちらかというと不合理例の提示よりそれを確かめる実験のほうがおもしろかったりしたのですが、その中でも印象に残ったケースがあったのでメモしておきます。


エコノミスト誌は、ウェブ版のみ購読59ドル、印刷板のみ購読125ドル、印刷板とウェブ版のセット購読125ドルの広告を出した。被験者はウェブ版のみを16人、印刷板のみを0人、セット版を84人が選んだ。次に、「印刷板のみ」をなくして実験すると、ウェブ版のみを68人、セット版を32人が選んだ。

印刷板のみという「おとり」があるといかに合理的な判断が難しくなるか。あからさまな結果から、これは自分も広告リテラシー(そんな言葉があるのかどうかは別にして)を磨かねばと痛感しました。


デューク大学ではバスケットボールは真剣な趣味と宗教経験のあいだのどこかに位置する。チケット獲得は大変な倍率だ。そこでチケットを獲得した学生にいくらならチケットを売るか尋ねると、平均価格は2,400ドルだった。一方、チケットがはずれた学生にいくらなら買うか尋ねたところ、平均は170ドルだった。

本来なら、同じように試合を見たいのなら、価格は同じにならなければおかしいはずです。人間は、自分が所有しているものにはより高い価値を見いだすことがこの調査からわかります。私自身、最近これに近い経験をしました(幸い、その買い物はとりやめることができました)。買い物が高価であればあるほど、その買い物の欠点は見えにくくなるのもこの調査結果に似ている気がします。


誰しもここ一番の局面では合理的で納得のいく判断を下したいところでしょうが、それは実は案外難しいことでもある、ということを思い知らせてくれた本でした。


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