庭を歩いてメモをとる

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上野玲「ナポリタン」

ナポリタン (小学館文庫)

私はスパゲティ・ナポリタンが大好きです。数少ない自分で料理(というほどのものでもないですが)できるメニューであるだけでなく、麺とケチャップという、個人的にこよなく愛を感じている二つの食材が合わさった代表的な料理であるからです。いや、そんなごたくはどうでもよくて、単になぜか食べ飽きないということが言いたいのですが。

そんなナポリタンについて、いろんな角度から、好奇心のおもむくまま動き、試し、旅して書かれたのがこの本。以前ご紹介した片岡義男「ナポリへの道」がナポリタンを通じて戦後日本を描こうとしたエッセイとすれば、これは直球の「ナポリタンについて」の本。

ナポリタンの歴史だけでなく、カゴメのケチャップ工場見学、全国の名物ナポリタン探訪(だけでは飽きたらずスウェーデン*1まで「ナポリタンもどき」を探しに行く!)、コンビニナポリタンの評価まで、よくぞやってくれた、という内容です。

著者の上野さんはプロの文筆家なので、こう書くと失礼なんでしょうが、まるで素人のナポリタン愛好者がとつとつと愛を込めて書き上げたような雰囲気があります。そういうところも愛らしくて好きです。

対象への愛情は、よい仕事を生み出す基本なのですね、やっぱり。

*1:ハインツの資料によると、スウェーデンは一人当たりのケチャップ消費量が世界の中でも圧倒的に多いとのこと。ただしこれはあくまでハインツのケチャップについてです。


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