庭を歩いてメモをとる

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天童荒太「永遠の仔」

永遠の仔〈上〉永遠の仔〈下〉

[物語]
1979年、児童虐待に遭った小学生の男の子二人と、女の子一人が病院で出会う。救いにつながるかと思われた退院記念登山で、事件は起きた・・・それから18年ぶりに、三人は再会する。それぞれ弁護士、警察官、福祉施設の看護士になっていた彼らは、18年前の事件を軸に、自分たちの家族やその記憶と向かい合うことになる・・・

[感想]
フィクションですが、相当取材をした書き上げたのではないでしょうか。それだけの迫力がありました。虐待を受けた子どもの心理だけでなく、その子どもがどういう行動をとるようになるのか。それでも、親を憎むことはできず、自分を責める方向に心が動いてしまう葛藤とは・・・親子の関係というものが、どれほど特別なものであるかという、そういう陳腐になりがちなメッセージを、老人介護問題まで絡ませることによって、陳腐化させず物語を進めていく(しかもミステリの要素も若干含ませつつ)著者は見事だと思いました。

この小説の最後のことばは、親が子どもへ伝えられるもっとも大事なメッセージであると同時に、我々大人も求めてやまない大切なものなのではないかという確信をもって、本を閉じました。



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