庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

The Fireman / Electric Arguments

ELectric Arguments[日本語解説付き国内盤]

約1ヶ月聴いてみて感じたこと。

21世紀に入ってからのポール・マッカートニー(と言い切ってしまいますが)のアルバムの中で、一番のびのびとしたポールを感じることができた気がします。

"Sing the Changes""Sun is Shining""Dance 'Til We're High"みたいに明るく朗々と歌い上げるような曲が目立つから?それもあるかもしれませんが、もっと幅広い自由さをこのアルバムからは感じます。"Lifelong Passion"以降の、今までのThe Firemanっぽいアンビエント系の音世界も残しながら、ポールらしいポップな曲もある。でもそのポップな曲も、今までのポールから「自由」な新しさがある。そういうところがのびのびとした印象をかたちづくっているような気がします。

単純に、音楽性の幅広さが「素直」だなと思います。ホワイトアルバムみたいにそれぞれキャラが立ったそれぞれの分野でスタンダードになるようなお手本曲を提示する凄さや、スティービー・ワンダーの"Songs in the Key of Life"みたいにその才能に畏怖の念を抱かせるような幅広さとは違う、「ちょっとつくってみたらこうなった」的な気軽さを感じます。でもやっぱり"Two Magpies"と"Highway"と"Universal Here, Everlasting Now"が一緒に入っているアルバムってそれはそれですごいことですよね。

率直に言って、ポールが今こういうアルバムを創ってくれたということ自体、ファンとしててはうれしいです。ポールの音楽的自由度はまだまだ広がっているんだ、と感じられましたから。あ、ユースのこと何も書いていませんが、彼もポールのサポート役に見事に徹してくれて(いるんだと思う)こそこのアルバムがこういう作品になったのだと思います。そのあたりのポールとの距離感の取り方が絶妙な気がします。

ちなみに、個人的に特に気に入っているのは、ヴォーカルの出だしを聴いて「このアルバムはいけるかも」と思わせてくれた"Nothing Too Much Just Out of Sight"、今のポールならではのヴォーカルが魅力的な"Light from Your Lighthouse"、一番メロディが頭から離れない"Dance 'Til We're High"かな。

それにしても、まさかThe Firemanからこんなアルバムが出るとは。


(広告)