[物語]
私立探偵フィリップ・マーロウは、酔いつぶれたテリー・レノックスに出会う。彼は億万長者の娘の夫だった。マーロウはレノックスになぜか惹かれ、親交をあたためていく。ある夜、マーロウはレノックスにメキシコまで逃げるための手助けを頼まれる。同じ夜、レノックスの妻が殺されていた。レノックスはメキシコで自殺してしまうが・・・
[感想]
推理小説としては、その謎の意外性などよりも、飽きさせないエンターテインメント性に惹かれました。え、まだ続きがあるの?そうだったのか・・・という展開が静かに連続していきました。
しかしそういったミステリとしてのおもしろさよりも、印象に残ったのはなんかこう体に残るというか、フィジカルに味わえるというか、そういう感覚でした。頭ではなく、体で読んでいるような気持ち。個人的に、肉体的にきつい日々の中で読んだせいかもしれませんが。
村上春樹の解説も非常に楽しんで読めました。この小説の魅力、チャンドラーのこと、いろんなことが高い密度と愛情で綴られています。