庭を歩いてメモをとる

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松宮健一「フリーター漂流」

フリーター漂流

けんごくんのブログで知って読んでみた本です。さまざまな年齢・境遇のフリーターへのインタビューで構成されています。

フリーターへのあたたかい視線を保ちながら(この視線が上原隆のそれに似ている感じがしました。上原氏の本は大好きで何度も読んでいます。)、ルポするところはしっかりする、という基本姿勢を評価したいと思いました。

本書を読んで感じたことはいろいろありますが、一番は、「今、特に若い人の間では、好きなことを仕事にしないとだめだ、という強迫観念のようなものがあるのだろうか?」という点です。本書に登場する何人かの人たちからは、「好きなことを」「自分の本当にやりたいことを」仕事にしたい、という言葉が何度も登場します。

たしかに、好きなことや自分の本当にやりたいことを仕事にできれば、本当に実りの多い人生になると思います。そのために若いうちからいろんな努力をすることは大事なことでしょう。

しかしそれがすべて、と思いこむのはかなりきついし、また正確ではない、とも思います。どの仕事が自分に合っているのかは、周りが決めてくれる場合もありますし、最初はどうかなと思っていた仕事が、次第に面白くなってくることもあるでしょう。

仕事を選び取り組む上で、そういう視点もあることをもっと若い人に提示するのも大事なのかな、と本書を読んで思った次第です。


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