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アンドリュー・パーカー「眼の誕生」

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

カンブリア紀の爆発。それは、今から5億4300万年前から5億3800万年前に、原生するほぼすべての動物門が、体を覆う固い殻を突如として獲得し、外見も急に複雑になったという出来事です。生物は地球の歴史にずっと前から登場していますが、このカンブリア紀に突然こうなったのです。動物を分類する「門」も、カンブリア紀以前は3つしかなかったのに、この「爆発」で急に38になり、あと約5億年はそのまま。

なぜカンブリア紀に限ってこんな爆発的な変化が起こったのか?これはずっと以前から生物学者たちを悩ませてきた謎でした。この謎に、1967年生まれのパーカー氏があっさりと、シンプルな説で説明をつけたのです。その説とは、− 本書のタイトルがすでにネタばれなので書いてしまいますし、それがわかっても本書のおもしろさは損なわれないと思います − 「光スイッチ説」です。

要は、カンブリア紀に入ったとき、ある生物が「眼」を獲得した。これによって、その生物は「獲物を探してとらえて食べる」ということができるようになった。それに対抗するため、食べられる側の生物には体を固い殻で覆ったり、逃げられるようになったり、同じように眼をもって危険を察するような方向で進化の淘汰圧が働いた。その結果、動物は固い殻で覆われるようになり、動物の多様性も増した、というわけです。光が進化の淘汰圧の源泉だったのです。

このシンプルな説は、当初新聞に掲載されるときも、編集者が「本当に新説か?」といぶかったほどだといいます。なぜ今になってこの説が登場し、認められてきたのか。その説の興味深さだけでなく、それが明らかになっていく過程が、まさにこの本のおもしろいところです。

技術の発達と様々な研究の積み重ね、そして著者のブライトなアイデアによって様々なことが明るみになっていきます。古生物の体色や、深海や洞窟の生物の進化のスピードが遅いこと、カンブリア紀以前には眼を持った生物はどうやらいなさそうだということなどがだんだんとわかっていく。そのプロセスは、著者自身も書いているように、推理小説チックですらありました。だから読み進めていくのが楽しかった。

こういうわくわくするような研究を門外漢にもわかるように紹介してくれた著者には感謝です。


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