庭を歩いてメモをとる

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石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

池袋ウエストゲートパーク (文春文庫)

石田衣良さんの本ってまだまったく読んでいなかったので、少しだけ親しみのある池袋を舞台にしたこの物語を選んでみました。10年ほど前、5ヶ月だけ東武東上線沿線に住んでいたことがあって、池袋には週末よく出かけていたのです。

物語は、ドラマ化されたのでご存じの方も多いかとは思いますが、池袋の果物屋のマコト(19歳)が、街の少年少女に関わる事件・犯罪を、マコトと少年たちの力で解決していく短編集。

最初はもっとえげつない暴力や犯罪が出てくるのかと身構えましたが、出てくる少年少女たちは拍子抜けするほど「いい奴ら」が多いし、クライムノベルの割に(しかもハッピーエンドとは限らないのに)読後感がさわやか。ストーリーにもそれほど意外性がないのになぜか引き込まれる。そんな物語でした。個人的には池袋のいろんな場所がこれでもかというくらいに出てくるところも懐かしかった。

ところで、マコトはあることがきっかけでクラシック音楽に目覚めていくのですが、クラシックが好きな登場人物で「犯罪」に何かしら関わっているキャラって、興味深くて何かしら惹きつけられるものがありますね。個人的にそう感じるのは、スタンリー・キューブリック監督「時計じかけのオレンジ」の暴力少年アレックス、村上龍「愛と幻想のファシズム」のファシスト鈴原冬二、リュック・ベンソン監督「レオン」の麻薬グループのボス・スタンスフィールド。マコトはこの3人に比べたらいろんな意味でかわいらしいもんですが。

とりあえず、この小説を読んで聴きたくなったのはバルトークの弦楽四重奏曲第4番です(ある重要なシーンで使われています。)。バルトークって未開拓なんだよなあ。明日は帰りにタワーにでも寄るか。あ、ポールの新作のデラックス盤も明日入荷だ!


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