庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

パリ、テキサス

4年間の放浪の末、アメリカの荒野でのたれ死に寸前になっている男、トラヴィス。彼は弟に引き取られた。弟は一方で、トラヴィスの実の息子も引き取って育てていた。弟の家庭で、トラヴィスは徐々に息子との絆を取り戻していく。そして行方不明の彼の妻は・・・

ロードムービーの金字塔と称されることの多い作品ですが、私個人はこの映画からはもっと静的な印象を受けました。乾いた荒野、モノローグのような台詞、人と人との関わり合いのゆっくりとした変化、そしてライ・クーダーのスライドギター。こういったパーツが一体となって独特の静けさが夜のとばりのように降りてくる。そんな雰囲気を味わえた作品でした。

そしてそんな中だからこそ、ナスターシャ・キンスキーの美しさがまたひときわ目立ってしまうのかもしれません。まさに一輪の花という感じの存在感。


ただ、一歩引いてしまうと(そんなことをする必要はないのだけれど)、どうもトラヴィスの弟夫婦が不憫でなりません。だからトラヴィスに感情移入することができなかった。そこが喉の小骨のようにひっかかってしまう私は、もっとこの作品の世界に身を委ねたほうがいいのでしょうね。


観終わった後にまずやったことは、かつての同僚に紹介してもらったライ・クーダーのライブ盤を探すことでした。


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